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村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)

村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)
By 河合 隼雄, 村上 春樹

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  • 発売日: 1998-12
  • 版型: 文庫
  • 225 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
人間にとって物語とは何か.現代を生きることと物語の可能性をめぐって,最も深い場所から人間をみつめる2人が,徹底的に語り合う.現代文学から恋愛,家族,さらに阪神大震災やオウム事件といった問題まで,話題は縦横に展開.『世界』掲載時に話題となった連載に加筆,新たに詳細な補注を書下し,個の新たな生き方を問う.

内容(「BOOK」データベースより)
村上春樹が語るアメリカ体験や’60年代学生紛争、オウム事件と阪神大震災の衝撃を、河合隼雄は深く受けとめ、箱庭療法の奥深さや、一人一人が独自の「物語」を生きることの重要さを訴える。「個人は日本歴史といかに結びつくか」から「結婚生活の勘どころ」まで、現場の最先端からの思索はやがて、疲弊した日本社会こそ、いまポジティブな転換点にあることを浮き彫りにする。

内容(「MARC」データベースより)
頭にうかんだことをそのまま、なるべくむずかしい言葉は使わないようにして、心ゆくまで語り合った2日間。現代に生きることを最も深い場所から問う、魂への贈り物。


カスタマーレビュー

やさしく読みやすいが奥深い対談!4
ユング派心理学派の第一人者によって、村上春樹の描き出す「物語」の意味が心理分析されてゆくような対談。村上春樹が「ねじ巻き鳥クロニクル」を上梓し、「アンダーグランド」に取り掛かっていた時期。この対談の中で、村上春樹の物語は、その中にどっぷりと浸かって、設計図のない中で創り上げていくのだと、自らの小説技法を語っている。作者でありながら小説の意味がわからない場合があるらしい。「羊をめぐる冒険」「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」などを例にとりながら、その時の状況や心理を語っている。他にも「コミットメントとデタッチメント」(村上春樹の作品を知る人には興味深いテーマだろう)やオウム真理教に触れながら、心理療法と「物語」の関連性やフィクションとノンフィクションの関連性など興味深いテーマが語られてゆく。それでいながら、言葉遣いが平易で、注釈も豊富で理解しやすいように構成されている。とても面白い対談である。

この場を借りて失礼します。4
お互いすでにかなり各自の思考・経験の限りを尽くした上でのプロ同士の対談、といった印象でした。読者が共感できる部分は限りなく深く濃く示唆的であり、時には啓示的といってもよいかもしれない言葉が次々と紡ぎ出されてきます。一方で直感的にわかりづらい部分は読み進めるのに難渋するかもしれません。それほど両氏の経験・気付き・思考・表現・対話は深く高いレベルで行われており、一般書籍としてこのレベルの対話はそう見られないのではないか?と思わされます。村上春樹が単なるファンタジー作家でないのはすでに明らかですし、河合先生が一心理療法家に留まらず、日本人全体の精神性を表現しえた日本人のよき理解者であったことはもはや否定できない事実です。この二人が対話をしてくれていたことに一読者・一日本人として非常な喜びと感動を覚えました。河合先生、安らかにお眠りください。ありがとうございました。

自分の人生という物語を紡ぐためのヒントが語られている5
他にもたくさんの複合的な要素があると思うが、村上春樹さんは小説という媒体を使って自分を深めた人であり、河合隼雄さんはユング心理学を軸にした分析及び創作活動によって自分を深めた人である。その深化の過程で、客観的にではなく自分自身の問題として、日本人や人類にとって普遍的な領域に取り組んできた二人だからこそ、本書で語られている内容は驚くほど深い。

・(日本的)「個」の問題
・物語について
・コミットメント
・結婚観
・身体性
・個性と普遍性の関わりについて
・暴力性について

これらは対談で語られている主要なトピックだが、いずれも現代の日本人が遅かれ早かれ直面しなければならない問題ばかりである。他人に責任を帰するのではなく、これらの問題に一人ひとりが己の責任として取り組んで、自分だけの物語(人生)を紡ぎだしてゆかなければならない。その個人の物語が自分自身を、周りの人を、社会を、そして、(実感はわきにくいかもしれないが)地球をも癒していく。

意味を感じられる人生を渇望する全ての人にお勧めしたい。両氏の言葉から何かしら心揺り動かされ、この世に一つしか存在しない自分だけの物語が動きだすきっかけになると思う。