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アルファを求める男たち――金融理論を投資戦略に進化させた17人の物語

アルファを求める男たち――金融理論を投資戦略に進化させた17人の物語
By ピーター・バーンスタイン

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  • 発売日: 2009-09-25
  • 版型: 単行本
  • 384 ページ

エディターレビュー

内容紹介
2006年12月に普及版刊行の『証券投資の思想革命』の続編で、1960年代後半からの米国投資業界の激変を土台として支えてきた「理論」が、どのように資産運用の実務に応用されていったかを、人物に焦点を当てて描いた魅力的な書。
『証券投資の思想革命』で示された一連の考え方(リスクとリターンのトレードオフ、分散投資の重要性、市場に打ち勝つことは至難の業であることなど)がその後どのように発展したか、具体的に実務家たちがビジネスにどのように役立てているのか、また行動ファイナンスからはどのように批判されたのかを描き出している。特に、投資の世界でパッシブ運用やインデックス運用からアクティブ運用と超過収益率(α)を求める新たな方法へ移っていく投資運用業界の変貌が生き生きと描かれており、投資運用業界のみならず、一般投資家にも役立つ内容となっている。人物に焦点を当てたスタイルは前著『証券投資の思想革命』と同じで、カーネマン、シラー、セイラー、マーコヴィッツ、サミュエルソン、といった投資運用業界における偉大なる人物を等身大に描き出す語り口は非常に読みやすく、魅力的な書となっている。著者のバーンスタインは2009年6月に逝去されており、本書が最後の著作となった。

内容(「BOOK」データベースより)
合理的経済人モデルへの行動ファイナンスからの挑戦、ノーベル賞経済学者たちのエンジニアへの転身、アルファを求めてしのぎを削る巨大な機関投資家…彼らはいったいグローバル金融市場に何をもたらすのか?資産運用理論の伝道師、ピーター・バーンスタイン最後の著作。

著者について
ピーター・L・バーンスタイン(Peter L. Bernstein)
ハーバード大学卒業後、ニューヨーク連銀を経て、空軍大尉として欧州に従軍。戦後、ウィリアムズ大学で教鞭をとった後、1951年投資顧問会社バーンスタイン・マコーレーに勤務。1973年にピーター・L・バーンスタイン社を設立し、機関投資家や事業法人を中心にコンサルティング活動を続ける。1974年から『ジャーナル・オブ・ポートフォリオ・マネジメント』誌を創刊し、編集長を長年務める。同誌は学者も実務家も寄稿するユニークな投資マネジメントに関する専門誌で、象牙の塔で生まれたキャピタル・アイデアがウォール街へ浸透していくうえで欠かせない存在となった。
金融経済学と現代ポートフォリオ理論を投資実務の世界に導入してきた語り部として、『証券投資の思想革命』『リスク』『ゴールド』など多くの著作がある。

訳者紹介
山口勝業(やまぐち かつなり)
1955年生まれ。1979年一橋大学社会学部卒、1986年イェール大学経営大学院修士、2008年専修大学大学院博士(経済学)。 日本ファイナンス学会常任理事、行動経済学会常任理事、日本証券アナリスト協会試験委員。
1979年日本長期信用銀行入行、LTCB-MASインベストメント・マネジメント、長銀投資顧問で株式ファンド・マネジャーを努め、2000年よりイボットソン・アソシエイツ・ジャパン(株)代表取締役社長。
著書『日本経済のリスク・プレミアム』東洋経済新報社,2007年、ほか論文多数。訳書『証券投資の思想革命(普及版)』(共訳、P. バーンスタイン著、東洋経済新報社、2006年)


カスタマーレビュー

90歳のバーンスタインが見せる知的活力に脱帽4
著者ピーター・バーンスタインは90歳でこの本を書いて他界した。著者の本は「リスク」しか読んでいないが、老いても驚くべき知的活力を他界の際まで維持していたというべきだろう。

効率的市場仮説、それに基づく現代投資理論の体系は、現実に観察される人間の非合理的な投資行動、さらに金融・資産市場のバブルとその崩壊を説明できないとして、行動ファイナンス学派などから批判が上ってきた。そうした問題に著者がどう考えるかが、17人の金融投資分野の理論家、実務家を紹介しながら展開する。

一番興味深かったのは、第1章の行動ファイナンス学派からの批判、挑戦への筆者の議論だ。効率的市場仮説は例えるなら、摩擦のない真空での物体の運動を説明する力学であり、現実の世界の摩擦の存在を否定しているわけではない。つまり現実の市場が完全に合理的だと想定しているわけではない。ただし、摩擦のある世界での物体の運動を説明する原理を抽出するために、摩擦のない世界を想定するのだという。

また、行動ファイナンス学派による市場参加者の非合理的な行動によるアノマリー(=摩擦)が発見されると、それを裁定(アビトラージ)する別の参加者が登場し、結局市場は効率的になっていくと説く。本の帯に書かれた「人食い鮫」とはこうした裁定者のことだ。

なるほどね・・・・と思うが、それでもやはりもっと原理的な部分で市場の動きには人間の非合理性が関与しているのではないかと私は思い続けている。株式市場を効率的にする諸制度は1700年代初頭の南海泡沫事件以来繰り返されてきたが、人間がやってしまうバブルとその崩壊が当時よりも改善されたと思えないからだ。

残念ながら3
この作品の前身となる「証券投資の思想革命」に比べると歯切れが悪くなっているのは読んでいて爽快感に欠ける。それは前作が著された時ほど単純で割り切った議論が難しくなっている今日の状況の反映で、著者の責任ではないのだけれど。翻訳が生硬で拙いのは前作同様。およそ投資のプロフェッショナルとは思えない質の低さ。これを放置した出版社にも反省を促したい。

人間の才能が生み出す、壮大な金融システム実験の軌跡4
実は、読む順番が逆だったようで、先に『証券投資の思想革命』を読んでから本書を
読むのが、時間軸に沿った自然な流れらしい、と気がついたのは、読み始めてから。
まあ、それはさておき、すごい本だ。さすが、バーンスタイン。『リスク』も、壮大な
人類と天才の英知の奇跡の物語でしたが、本書は、金融工学の黎明期に活躍した
有名人と投資会社、証券会社を取り上げて、インタビューを交えながら、いかにして
現代の金融工学、特にファイナンスの革新的な進歩(?)がなされたか、を解き明かして
いきます。

本書のはじまりは、意外にも、行動ファイナンスという、数理工学というより
は、合理的意思決定にはじまる、人間の意思決定にまつわる話から幕を開ける。

そして、サミュエルソン、ロバート・マートン、シラーなどの現代投資工学の基礎を
開いた有名人の話しを経て、リスク、リターン、CAPMにはじまり、アルファ、ベータ、
デリバティブズ、有効フロンティアなどの投資理論につながる数理金融工学の有名人、
ブラックショールズのマイロン・ショールズ、
シャープなどなど、彼ら、神にめでられし「特異な才能」を発揮し、よくも悪くも
金融資本主義の膨張に影響を与えたであろう、人間の叡智を詳細に読み解いていきます。

バーンスタインは、金融工学の理論的発展に焦点を当てていて、コトの善悪や、結果的に
金融システム、金融資本主義の暴走で世界的な金融危機を招いた、というような価値判断には
あえて言及を避けています。だからこそ、自然科学以外に、数理工学的な方法を極限まで
応用した、壮大な市場での実験に至る、人間のある意味、果てしない知的欲望の影を
感じて、大変興味深い内容となっています。