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戻り川心中 (光文社文庫)

戻り川心中 (光文社文庫)
By 連城 三紀彦

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  • 発売日: 2006-01
  • 版型: 文庫
  • 301 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に迫いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。岳葉が真に愛したのは?女たちを死なせてまで彼が求めたものとは?歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを描く表題作は、日本推理作家協会賞受賞の不朽の名作。耽美と詩情―ミステリ史上に輝く、花にまつわる傑作五編。


カスタマーレビュー

完全にしてやられました。5
藤の香,桔梗の宿,桐の柩,白蓮の寺,戻り川心中の5篇からなる花葬シリーズ。
約60ページ/篇なので,短編というには長めですが,どの作品も独自の香りを放ち,しかもよく練り上げられた力作揃い。
9割がた真相が判りかけたと思った瞬間に,全く異なった哀しく美しい人間ドラマが
現れる演出は,ただただ見事と言わざるを得ません。
「我が国のミステリの歴史において,最も美しくたおやかな名花である。流麗な文章,
纏綿たる情緒,鮮やかなトリックが,恋愛小説と探偵小説を両立させ,読者を底深い
酔いへと導く。」との解説にも,誰もが納得することでしょう。

まさに珠玉の短編集5
短編集ですが、全くはずれがありません。
まさに珠玉の言葉にふさわしい短編集です。
大正時代の空気をこれだけ再現してみせる力量には感服です。

連城三紀彦の入門者にもオススメします。
詳しい個々の内容については前の方が記載していますし、
ネタバレになるので書きませんが、
このシリーズは「夕萩心中」という本に引き継がれますので、
気に入った方はそちらもぜひ。

何度繰り返し読んでも飽きのこない、すばらしい本です。

叙情派作家の本領4
連城氏を叙情派作家の代名詞として定着させた花をテーマにした短編集。特にタイトル作は、映画化、TV化もされ代表作とされている。

「藤の香」は昔懐かしい代書屋を取り上げて、代書屋を通して様々な想いを交わす色街の女達の哀感を描く。「桔梗の宿」は作中にも触れられているように「八百屋お七」に題を取ったものだが、作者独自の世界を構築するまでには至らなかった。「桐の柩」はあるヤクザの粋な行動が実は保身のための矮小なアガキだったというユーモア・ミステリ向けの題材だが、これを叙情的に描く作者の力量は皮肉でなく見事。「白蓮の寺」は自身の幼い頃の記憶に残る母親の殺人場面と火事の場面の謎を探るため、過去を辿って行くうち自己の意外な運命を知るという鮮やかな構想の作品。「戻り川心中」は心中未遂の上、蘇生した菖蒲に自身を重ねて傑作歌集を残した歌人の謎を追う話。生物学的に枯れた花が蘇生する筈はないので、もとより本格風には書けない。これを読み手に語る順番と叙情性とで一編の物語に仕上げるあたりが作者の手腕か。

謎の焦点を物理的なものから人間の機微に変えて新しいタイプのミステリを構築した傑作短編集。