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人間蒸発 [DVD]

人間蒸発 [DVD]
監督: 今村昌平

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  • Amazon.co.jp ランキング: #86468 / DVD
  • 発売日: 2004-01-23
  • アスペクト比: 1.37:1
  • ディスク枚数: 1
  • 形式: Black & White, Color, Dolby
  • オリジナル言語: 日本語
  • 実行時間: 130 分

エディターレビュー

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   今村昌平監督が手掛けた劇場用長編ドキュメンタリー映画。あるサラリーマンが失踪し、その許婚が彼を捜し求めていく。ここでは俳優の露木茂が監督の分身として登場し、彼女に付き添いながら取材を試みていくという趣向なのだが、おもしろいのは本作が決して失踪ドキュメントではなく、それを追う女の変貌の記録として屹立していることである。
   カメラを向けられ続けていく中、彼女が次第におかしくなっていく様子が、ひとつひとつのリアクションから濃厚に醸し出されていき、いつしか事件の真実を追うといった趣旨からどんどん外れていくあたり、人間の複雑怪奇な内面を目の当たりにしてしまったかのような戸惑いさえ受ける。ここで彼女が変わるのは、事件の流れのせいではなく、あくまでもカメラのせいであるかのようにも思え、それはワイドショー的なニュース映像がはびこる現在の意図的な先駆けのように思えてならない。カメラ、映像、マスコミといった要素がいかに人を変えていくかに鋭く迫った確信犯的意欲作である。(的田也寸志)

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
劇場公開当時、その画期的で衝撃的な内容が話題を振り撒いた『楢山節考』の今村昌平監督による劇場用ドキュメンタリー。現実に失踪した男性を探しだすため、婚約者・佳江とレポーター・露口茂が共に行方を追った7ヵ月間の物語を描いている。

内容(「Oricon」データベースより)
今村昌平監督が手掛けた劇場版ドキュメンタリー。婚約者に失踪された実在の女性と共に俳優・露口茂がその真相に迫る。


カスタマーレビュー

今なお、いや、今だからこそ衝撃作5
私が物心ついた時にはすでに今村昌平は映画を撮っていなく、復活作を撮り出してカンヌのグランプリを取ったかつての名匠、というくらいの理解でした。しかも彼の初期の作品はあまりビデオ化されてなく、何とも評価しがたい監督だったのも事実です。しかしぽつぽつと『豚と軍艦』や『にっぽん昆虫記』などを見ることが出来て分かりました。彼はエンターテインメントの体裁の中に強烈な主張を込めることの出来る、日本の巨匠の1人なのです。

そしてこの『人間蒸発』です。そもそもこんな映画が可能だったことに驚きを感じます。これも東大安田講堂の時代故なのでしょう。ドラマの世界より現実の方がドラマ的に先行しており、ずっと強烈だったと聞きます。だから1970年代に今村昌平が虚構のドラマを撮らなくなってしまった理由もよく分かるのです。そして彼が『ゆきゆきて、神軍』の制作協力をしたのも当然だったことも分かりました。

普通の人間にも色々な闇があり、蒸発するにたるだけの理由がある、ということをまざまざとこの作品は見せつけてくれます。そして残された人間達も闇を持っており、そして蒸発するわけではないものの、解決するとは思えない混乱の中に迷走していく姿が露わにされます。そしてこのドキュメンタリー自体が混乱と不和の中に迷走していくのです。今なおこの映画は衝撃的であり、また今だからこそ衝撃的です。
川島雄三監督は代表作『幕末太陽傳』で、主人公がスタジオを飛び出て町中を走り抜けていくというラストを考えていたそうです(斬新すぎて実現せず)。この時の助監督が今村昌平。きっと途中でセットを解体するあのシーンは、川島雄三から学んだものを実現したものだと思うのです。

ドキュメンタリーもまたフィクション5
結婚式の前に突然失踪した婚約者を探す早川佳江という女性。露口茂がレポーターとなり、カメラと共に捜索を続ける彼女を追うが、やがて婚約者の二重生活が明らかになる…。社会における人と人の繋がりの脆さに自分自身をも見失って呆然とする女性…。

しかしこの作品の狙いはむしろ、ドキメンタリー自体の脆さ、成立の不可能性を示すことにあったと思います。
捜索をめぐり激昂する関係者たちは、「はい、カット」の一言で黙り、スタッフが“セット”の障子や襖を片付ける間、おとなしく座っています。そして、カメラが回り始めると、再び猛然と話し出します。彼らは“出演者”になっていると思えるのです。佳江さんはやがて婚約者を探す気力を失い、レポーターの露口茂が好きになったことをカメラに向かって告白します。彼女は“主役”を演じているように思えます。

今村監督は「ドキュメンタリーもまたフィクションなのだ」ということを、この“作品”で鮮やかに示していると思います。

実験作の極みだぜ5
記憶、証拠、欲望、裏切り、好奇心、愛、事実、嘘。この映画は何かをハッキリさせる為に始まったはずなのに、むしろそれをもっと分からない物にする結果に終わったような感がある。

一言で言えば、「危うい」。全てが全て一か八かの大勝負的なスタンスで仕掛けられている。通常の頭の持ち主だったら、こんなイイ意味でも悪い意味でも未知数なモンを、映画の題材にしようとは思わないだろう。前衛は命がけやなと、感心させられた。と同時に、今村昌平ってのはやっぱり嫌な人だなぁと思った。

この映画の出演者の何人かは、この映画に人生を随分苦しめられたろうと思う。原一男の「ゆきゆきて、神軍」や、井坂聡の「FOCUS」でも感じたことだが(Focusは完全フィクションだが、ドキュメンタリーを主題にしているという意味で)、ドキュメンタリーの危険性というか、真実を探求する危うさみたいなモンが実に生々しく、描写でなくて、写実されていて、恐い。

終了20分前ぐらいのところで、現実とフィクションが短い間に何度も何度もリヴァースする演出には感動した。監督はこの映画の感想を内容的に「足りなかった」と言っているが、たしかに希望通りきっちりハッキリはしなかったが、逆に深みのある歪みが制作陣の焦燥感と同時に描かれているのは、強烈だ。

なんかロンブーの「ガサ入れ」を見てるような感じもした。だんだん結末がハッキリしてきても、果たして番組その物が虚構(やらせ)ではないのか?というウンザリするほど、裏なる裏に、精神が着いて行くことを拒絶したくなってくる。

ちなみに本編を全部見終えた直後に、特典映像の今村昌平インタヴューを見るとかなり面白い(そんなに長くないし)。逆に本編を見る前にインタヴューの方を見てしまうと、ネタバレしてしまうので、注意。今村監督、安らかに。