パリの胃袋 (ゾラ・セレクション)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #405518 / 本
- 発売日: 2003-03
- 版型: 単行本
- 446 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
舞台は食の殿堂パリの中央市場。ガラスと鉄で作られたこの近代建築のなかは、活気あふれる喧騒に満ち、肉、魚、野菜、果物、チーズと、いたるところ食物の山、山、山。飽食と肥満が美徳のこの世界に、骨と皮ばかりにやせ細ったひとりの若者が入り込む。この男フロランは、一八五一年のルイ・ナポレオンのクーデターの折に無実の罪で南米ギアナに流され、苦しみぬいた末に脱走を果たして、ひそかにパリに戻ってきたのだった。市場で働く人々は、この哀れな男を初めは暖かく迎えるが、やがてうさんくさい異分子の匂いを嗅ぎつけ、彼の行動を監視して隙あらば追い出そうとする。正義と友愛を夢見ているフロランは、安楽な生活を守ろうとする彼らのひそかな敵意に苦しみ、ついには政治的陰謀に加担して第二帝政そのものの転覆をくわだてるのだが、さて、その結末は…。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ゾラ,エミール
1840年、パリに生まれる。フランスの作家・批評家。22歳ごろから小説や評論を書き始める。1862年、アシェット書店広報部に就職するが、1866年に退職。1864年に短編集『ニノンへのコント』を出版、1865年に処女長編『クロードの告白』を出版。1870年、アレクサンドリーヌ・ムレと結婚する。1871年『ルーゴン・マッカール叢書』第1巻『ルーゴン家の繁栄』を出す。その後『居酒屋』、『ジェルミナール』を経て1893年、『パスカル博士』をもって『ルーゴン・マッカール叢書』は完結。また自然主義文学の総帥として論陣を張り、『実験小説論』(1880年)を書いた。1888年、女中ジャンヌ・ロズロとの関係が生じ、その後2児をもうける。1891年には文芸家協会会長に選出。1897年暮れからドレフュス事件においてドレフュスを擁護、1898年1月、「私は告発する!」という公開状を発表。そのため起訴され、同年7月イギリスに亡命。翌年6月に帰国、空想社会主義的な『豊穣』『労働』などを書いたが、1902年9月29日、ガス中毒により急死。遺骸は1908年にパンテオン廟に移された
朝比奈 弘治
1951年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、明治学院大学文学部教授。専門は、19世紀小説研究、特にフローベール(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
ゾラは鋭い
藤原書店の企画で数十年を経て新訳が出た作品。パリの中央市場を舞台に、富める太っちょと困窮したやせっぽちの対立をコンセプトとした一人の男の転落の悲劇が描かれる。
パリ中央市場に並ぶ食物の描写はあまりにかきすぎていて、想像が追いつかなかったが、この本は本質的には社会小説であると思う。
ゾラがよく描く、無責任な人の群れとそれによって追い詰められていく個人。不気味な他者を排除していく、同じであることをよしとする社会のあり方。ただ自分のささやかな幸福を欲しいと願いながらも大事に巻き込まれていく主人公の不幸。といった要素があふれ、ゾラの社会を見る目の鋭さが光っている。
名脇役クロード(「居酒屋」のジェルヴェーズの長男)が最後に叫ぶ、「まっとうな人間というのはなんて悪党なんだ」というセリフは、ほとんど罪無き主人公を追い詰めていった太っちょの偽善を喝破するものであるが、それはただ空しく響くところに、彼のやりきれなさが感じられる。
ちなみにクロードには叢書14巻「制作」において悲劇が待ち受けている。
食べ物が語る・・・「ふとっちょ」と「痩せ」の対立
パリの中央市場(レ・アール)を舞台とし、理想に燃える孤独な男と、彼をおしつぶすような安逸に満ちた商人たちの生活を描く。
ありとあらゆる食品についての細かな描写が、時には食欲を刺激し、時には嫌悪感をもよおす。あたかも、グロテスクなほどに豊穣な食べ物が本書の主な登場人物であるかのようだ。
ここまで、「食べ物」を主役にフィーチャーした小説は見たことが無い。
フランスの「食」に興味のある人、食に関わる仕事をしている人なら、きっととても面白く読めるのではないだろうか。
たとえば、市場をいきかう女達の卑しい噂話と、さまざまなチーズの織り成す一場面は、それだけで独立したシュールな戯曲のよう。また、市場で育った野性の男女の恋愛も、山のような食べ物のなかではぐくまれていく。
特に面白かったのは、ボッシュの挿絵入りで展開される、「ふとっちょ」と「痩せ」の対立構図で世の中を見ていく論。あの人は太っちょ、この人は痩せ、この人は太っちょになりたい痩せ、この人は痩せのふりをした太っちょと、分類していくのが、とても面白かった。自分の周りの人たちもそうやって分類してみたら面白いのではないだろうか。





