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日米同盟の静かなる危機

日米同盟の静かなる危機
By ケント・E・カルダー

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  • 発売日: 2008-11
  • 版型: 単行本
  • 479 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
日米関係は近年目に見えない形で、徐々に深刻に弱体化しつつある。日米同盟にしのびよる危機は、軍事、政治の両面で深まる一方だ。かつて駐日アメリカ大使の特別補佐官を務め、随一の日本通の学者として知られる著者が、日米同盟を再構築する処方箋を示す。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
カルダー,ケント・E.
1948年、米国ユタ州生まれ。ジョンス・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)エドウィン・O・ライシャワー東アジア研究センター所長。ハーバード大学政治学部でライシャワー教授の指導を受け、博士号を取得。1983年から2003年までプリンストン大学ウッドロー・ウィルソン政治大学院で教鞭を執る。米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長(1989‐1993)、駐日米大使特別補佐官(1997‐2001)を歴任。2003年より現職。90年度大平正芳賞、有沢広巳賞、97年度アジア・太平洋賞大賞受賞

渡辺 将人
1975年東京生まれ。シカゴ大学大学院国際関係論課程修了(米政治外交)。1999年ジャニス・シャコウスキー米下院議員事務所、ヒラリー・クリントン上院選本部=アル・ゴア大統領選陣営ニューヨーク支部アウトリーチ局(アジア系集票担当)を経て、2001年テレビ東京入社。報道局経済部記者「ワールドビジネスサテライト」ディレクター、政治部記者として総理官邸、外務省、防衛庁、国会を担当。テレビ東京退社後、2008年コロンビア大学ウェザーヘッド研究所を経て、ジョージワシントン大学シグールセンター客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

浮き彫りにされる日米関係の現状4
私は、この本を日米同盟の歴史と現状を理解する目的で読みました。外交の専門家の方は、著者の示した危機感とそれに対する処方箋に注目されるのでしょう。著者は同盟を維持発展させる立場を取っていますが、日米同盟に対してどんな立場にあろうと、現状を知ることは大切だと思います。本書はそのための十分な材料を提供しています。

著者は同盟の柱が「深刻な腐食」を受けていると危機感を表明し、一見良好な関係が続いている中で必ずしも可視化されていない問題をつぶさに取り上げています。個別の分野については、政治・経済・文化何れの側面でも関係が希薄化するか、他国との関係と比較して優位性を失っているいうことを明示。一方、より大きなフレームワークの上では、同盟締結時点の「経済と安全保障の政治取引」という構図が大きく変質している点を指摘しています。

現状の延長線的発想での取り組みでは、日米関係はいずれ思わぬ激震に見舞われる必然にあるということを感じさせられる一冊でした。

現在の日本と米国の関係を根本的に考える上で、多くのことを考えさせてくれる知日派米国人による好書である5
 中国経済が急成長するにつれて、米国のアジアを見る目は変化している。日米の特別な同盟関係を今後も維持していくには何が必要なのか。本書は、米国有数の知日派研究者による示唆に富む提言書である。

 ライシャワー元駐日米大使に師事した経験を持つ著者は、太平洋を挟んで異なる文化を持つ日米の関係は、軍事力、経済の相互依存、文化・政治交流の「3本の柱」に支えられているという。

 9・11テロ以降、安全保障面の協力は大きく進んだ。だが、直接投資や人的交流は失速している。政治、経済、文化など多くの分野で交流を活発にし、日米の政策協調の土台をもう一度、鍛え直さねばならな い。
今こそ、もう一度、日本と米国の関係を根本的に考える上で、多くのことを考えさせてくれる好書である。



特異な同盟故に、維持する為には不断の相互努力が必要4
 昔、マンスフィールド米国元駐日大使が「(日米関係は)世界で最も比類なき
二国間関係」と評した日米関係。当然、その関係の大元には安保条約が有り、且つ
(どちらも対中貿易がトップになったとは言え)太平洋を挟んで太い経済関係が
あり、更にはリーダー(予備軍も含め)クラスの人的交流・・・といったものが
存在してました。

 しかし、現在はそれぞれのパイプが弱くなっていると。その反面、北朝鮮の
核兵器や台湾海峡問題、アジアの緊張は解決するどころか、一向に見通しが
立っていません。

 加えて、著者曰く「(戦後60年で)日米同盟の意味も変わった」と。アメリカは
日本に経済的な優遇を図る(日本からアメリカへのアクセスは制限しない。その
逆は制限を受け入れた。日本の発展とともにそれは次第に解消されていった)
日本はその見返りとしてアメリカに軍事基地を提供し、費用負担まで面倒をみる
と言った風に。

 では、タイトルにあるような「静かなる危機」を乗り越えるにはどうすれば
良いのか?そもそも「静かなる危機」とはどんなものなのか?と言ったものを
政治、経済、軍事、人的交流、過去の同盟例(日英、英米、米中、米独。著者の
論を借りると平時の同盟として、日米同盟はここまで長く続いていることが珍しい
同盟なのだとも(ついでに書くと欧米系と非欧米系というまれな組み合わせでも
ある)。最長は英ポのそれ)と言った面から掘り下げています。

 例えば、「静かなる危機」として・・・アメリカでは知日派が減っている
(日本関係への研究費は急激に減っている)、アメリカに於けるアジア系コミュ
ニティでは日系人がトップだったが、近年中韓系に抜かれた。日系企業はニュー
ヨークを本拠地に商売を行うが、中国はワシントンでロビー活動を強力に行って
いる、アメリカの国会議員が日本に来る人数は減っており、とうとう1人になった
年も有る・・・といった実例を挙げています。

 つまり、アメリカに於ける日本の存在は急速に希薄化しています。そんな状態で
「今までと同様のこと」を行っていても同盟は維持できない、と。換言すれば
今まで以上に日本からアメリカへの片思い状態が強くなっているのです。

 日米同盟の賛否はともかく、これがあることによって日本が終戦から60年で
現在の様な国力を持ったのは事実。そして隣人との関係を考えるならば、アメリカ
を信用せざるを得ない(これはアメリカも一緒。中国が日本以上に巨大な市場に
なったとしても、共通の価値観が無い以上、現在の日米と同等の関係にはなれない)
という現実がそこにあります。イデオロギー云々は横に置いて、現実にある問題
を把握し、考えるに役立つ1冊です。

附:時間の無い方は最終章「将来への処方箋」から読むのも有りと思います。
それまでは課題設定・把握と実証なので。実際、正面から挑むと結構な時間を
取られます・・・