「炭素会計」入門 (新書y)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #211431 / 本
- 発売日: 2008-05
- 版型: 新書
- 198 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
二一世紀の環境危機は、これまでの公害や環境問題とわけが違う。公害は、有害物質が排出され被害が生じる問題だから、有害物質を出さないようにすれば解決できた。だが、地球環境の危機は、地球が暖まるという問題だ。エネルギーを消費する限り、熱が発生し、炭酸ガスなど温室効果ガスのせいで、大気圏に蓄積していく。これを防ぐ唯一の方法は、炭酸ガスの排出を大幅にカット以外にはない。不平等条約である「京都議定書」の失敗を繰り言のように並べるのではなく、省エネ大国・日本だからこそできる「炭素税」「炭素会計」「炭素隔離技術」のプランを大胆に提言し、日本発の国際標準こそ日本のビジネスチャンスを広げる道であることを明らかにする。
内容(「MARC」データベースより)
日本が「低炭素文明」の牽引役になる処方箋はこれだ! 温暖化対策の切り札であると同時に、日本にビジネスチャンスを与える「炭素税」「炭素会計」「炭素隔離技術」のプランを提言し、分かりやすく解説する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
橋爪 大三郎
1948年神奈川県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻教授。専門は社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
アル・ゴアが喜びそうな本であるが・・・・
どういうわけか橋爪大三郎氏が、炭素本位制について論じる本を書いた。彼は主に財政制度の面から、「炭素会計」の導入を促している。国連のアドバイザーの末吉竹二郎氏の「カーボン・リスク」とならんで、日本政府の環境政策のイデオローグとなるべき本である。
橋爪氏は炭素税をいきなり10%加算し、中央に集まった時点で再配分していくべきであるとしている。しかし、これは政策として実現性を加味していない議論である。低炭素社会を仮にも実現するならば、エリートや富裕層がまず負担し、それをモデルにして中流層を引っ張っていくというモデルであるべきである。したがって、橋爪氏は、まずは富裕層に対する累進課税を提案すべきであっただろう。
橋爪氏がいうように、日本の環境技術は国家戦略に為りうる。しかし、まずは余裕のある層から負担して貰うべきである。また、ヘッジファンドや投資銀行は、原油価格の高騰でトレーディングによる利益を出しているので、これらの企業に対する課税をファンドにおける軽減税率ではなく、一般企業並みに扱い、ディスクロージャーをしっかりさせることで、税源は捻出できる。日本や世界のの下流社会をさらに苦しめる「炭素税10%」は有害である。
また、橋爪氏の議論は場合によっては環境ファシズムに繋がる危険性をもっている。例えば、185ページで、彼は炭素を削減しない国にアメリカが軍事出動すべきだと書いているが、これなどは国連を中心とする「世界政府」を危惧するアメリカの保守派が懸念している「環境ファッショ」の思想そのものである。
この本は、取り扱いに注意を要する本であるが、橋爪氏のいう「グリーン・イニシアチブ」の発想は、日本の独自の産業政策に繋がる部分があり、評価できる。
CO2ガス総排出量=負の公共財を、世界は、人類は管理できるのか
CO2ガス総排出量=負の公共財を、世界は、人類は、国家間対立、世代間対立のことを考えて管理できるのか。これは、地球温暖化の本質的テーマである。
「炭素会計」とは、一般的に、事業活動におけるCO2等の温室効果ガスの排出量およびその削減量
をCO2に換算して、その事業を評価するしくみのことを指す。
本書では、「炭素会計」は、CO2排出削減のための手段として、特に、税・規制・取引に着目して、これらの手段を介して世界レベル(国家レベルで)統制的にCO2削減をめざす方法論を指している。
世界レベルの統制のためには、国家間対立の解消が必要となる。この点でも抜かりなく、世界に対して日本が取るべき態度についても本書では明示的に提言をしており、さまざまな立場の人々にレビューされる条件をクリアしていると思われる。
今後、こうした「炭素会計」を実現するためのプロセスや方法論の詳細について、喧々諤々の議論がされることと思うが、こうした議論を我々がキャッチアップするための「入門」として好適である。更には、今後の炭素会計の議論の動向に照らし合わせて、本書を何度も読み返し、新しい価値を発見するだけのポテンシャルを秘めている本だと思う。
日本だけの視点
今となっては,洞爺湖サミットで日本が気候変動に関して世界をリードすることができなかったことは,記憶が薄れつつある.著者が提唱する「グリーン・ジャパン・イニシアティブ」も,空虚な印象を与える.
「炭素会計」が結局,単に排出権に代表されるようにマーケットの材料にされるだけで,本当に排出削減に役立つのかそのあたりの検証を期待して本書を紐解いたが,ただ単に日本が有利になるために何をすべきかということを繰り返しているだけ.グローバルな視点に欠けているように思える.
BRICs諸国はじめ,発展を維持したまま削減を進めるためには,日本の貢献が大きいと思うのだが,そのあたりのメカニズムを提唱するにおいて,本当に排出権が役立つのか疑問を感じているが,その疑問に答えていない.




