見ることの塩 パレスチナ・セルビア紀行
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #165409 / 本
- 発売日: 2005-07-29
- 版型: 単行本(ソフトカバー)
- 457 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
救い無きテロルの連鎖、増幅する憎悪!荒廃した風土と人心を前に人は何をなしうるのか。現代のアポリアに凝然と佇む深い苦悩と思索の旅。
内容(「MARC」データベースより)
鉄条網、土嚢、検問の兵士たち、壁に遺された無数の弾痕…。救い無きテロルの連鎖、増幅する憎悪! 荒廃した風土と人心を前に人は何をなしうるのか。現代のアポリアに凝然と佇む深い苦悩と思索の旅。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
四方田 犬彦
1953年生まれ。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文化比較文学を学ぶ。ソウルの建国大学、コロンビア大学、ボローニャ大学で客員教授、客員研究員を歴任したのち、現在は明治学院大学教授として映画史を講じている。『映画史への招待』でサントリー学芸賞を、『モロッコ流謫』で伊藤整文学賞と講談社エッセイ賞を受ける。2004年に文化庁文化交流使としてイスラエルとセルビア・モンテネグロに派遣された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
知らなかったということの恐ろしさ
パレスチナの状況については、興味を持っていたので一通り知っているものだと思っていたが、一読して持ちあわせていた知識の誤りと底の浅さに愕然とした。これは一体何なのだと背筋が寒くなった。もっともアメリカ寄りの報道で知りえることの限界がそこにはあるにせよ、こんな状況であるとは全く腹立たしい。一様にしたり顔の評論家たちや日本のジャーナリズムの怠慢を激しく罵りたい思いである。セルビアにしても同じこと。何から学べば良いのか、何を信じればよいのかという人の価値観を形成する情報ソースの選択と吟味を重要視しなければならない思いで一杯になる。
これは大変貴重なルポルタージュである。感情を出来る限り排除しようとしている姿勢にも共感できる。それにしてもこの世界には、言いたくはないが、「絶望の連環」が厳然と横たわっている事実に慄然とする。
こういったことをもっと勉強しなければ、知らず知らずのうちに他人の頭を殴りつけて全く気づきもせず、平気な顔をしている人間になってしまう。そんなことを強く意識させる本である。
心と頭を揺さぶられる
イスラエルと旧ユーゴスラビアのルポ。
パレスチナ・セルビアに同情的なスタンスから書かれています。
ただ、そんなことよりも私が感銘をうけたのが、宗教対立などというキーワードでくくれるような、バカバカしい二項対立の構造なんてない、ということ。要するに私たちの社会と変わりありません。自分たちの社会の問題をより先鋭化させるとどうなるのか、考えさせられる重みのある本です。
ドイツ・オランダ・ポーランド系イスラエル人は、スペイン系イスラエル人を差別し、かれらはアラブ系イスラエル人を差別する。この構造をいっそう複雑にするロシア系イスラエル人の存在。セルビア人もアルバニア人も、またクロアチア人も虐殺は行っていた。宗教対立ありき、ではなく虐殺と紛争の方便として宗教が持ち出される事実。この対立構造に当てはまらないがゆえに双方から差別。迫害を受けるロマ。
知識として知っていても、改めて、目で見て、肌で感じた人の書いた本を読むと、重みがちがう。単純な二項対立の枠組みが、いかに自分の思考を停止させることか。
水戸とセルビア
パレスチナとバルカンにおける連鎖的な報復状態の記述を読んで、
頭に浮かんだのは、最近読んだ山田風太郎『魔群の通過』でした。
日本史上類を見ない悲惨な内戦と作者が位置付けた水戸藩天狗党の物語が、
異国において現在も繰り広げられている惨状と一本の線で自分の中でつながりました。
「なぜ、どうしてこうなったかわからない」
環境と感情が産む報復的戦争状態は人間の極北の状態として、
特異な地方の紛争としてでしか受け取らない向きもあるかもしれませんが、
日本人にとっても、けっして対岸の火事ではない世界だと思いました。





