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ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場

ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場
By フィリップ・デルヴス・ブロートン

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  • 発売日: 2009-05-21
  • 版型: 単行本
  • 480 ページ

エディターレビュー

内容紹介
アメリカで2008年に発売されると、たちまちニューヨークタイムズのベストセラーとなり、ウォールストリート・ジャーナルは「心胆を寒からしめ、非常に面白い」と評し、フィナンシャル・タイムズは「呆然とするほど魅力的」と絶賛したノンフィクション。
「資本主義の士官学校」と呼ばれるハーバードビジネススクール(HBS)。その内部を元デーリーテレグラフの記者であるイギリス人が描いたとあって、面白いことは請け合いだ。

出版のタイミングが絶妙。サブプライム問題に端を発した世界的経済危機にはHBSの卒業生が多数関わっている。著者は2006年卒業組だが、金融バブルを仕込んだOBたちの横顔を含めHBS全体が拝金主義に傾斜していった様を活き活きと体験として描いている。

いろんな人物がHBSの授業に訪れる。著者にとって印象的だったのがGEのジャック・ウェルチ。「企業はもっとも重要な組織だ。あらゆるものがその周囲を回っている」というウェルチの発言に、著者は「過去三〇年来もっとも敬意を払われてきた経営者がこんなことを言ってのけたことに、びっくり仰天した」と失望を隠さない。

著者は、『ハーバードMBA留学記』の著者で監訳者の岩瀬大輔氏(ライフネット生命副社長)と同級生。その岩瀬氏は、「誰もが感じていた不思議な居心地の悪さの正体」と題した解説を書いている。そのなかで本書のフレーズを引用している。
「私たちの社会は、自己陶酔的な表計算屋、パワーポイントのプレゼン屋によってなるほんの一握りの人間の階層に、過大な力を与えすぎてしまったのだろうか?」

HBS学校当局は。本書の内容に反発して、学生の目に触れないよう、ケンブリッジ界隈の本屋からなくそうとしたらしい。あのプライドの高いHBSが、と思えば、そのあわてぶりが興味深い。

内容(「BOOK」データベースより)
メリル・リンチを破綻寸前に追い込んだスタン・オニールエンロンを破綻させたジェフ・スキリングイラク戦争の当事者ブッシュ前大統領、世界を牛耳るハーバードMBAはこうして生まれる!英国人ジャーナリストの留学記。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ブロートン,フィリップ・デルヴス
バングラデシュ生まれの英国育ち。1994年ニューカレッジを卒業、2006年にハーバードビジネススクールでMBA取得。デーリーテレグラフの記者としてニューヨーク、パリに勤務。現在は、フリーのジャーナリストとしてフィナンシャル・タイムズなどに寄稿している

岩瀬 大輔
ライフネット生命副社長。東京大学法学部卒業、2006年ハーバードビジネススクールでMBA取得

吉澤 康子
翻訳家。津田塾大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

批判精神を失わなかった著者のハーバードMBA留学記4
ジャーナリストである著者が、ハーバードビジネスクール(HBS)にて自分が体験したこと、感じたことを率直に書いている本です。日本語のタイトルはやや挑発的ではありますが、本書を読み進めると分かる様に、著者は決して徹頭徹尾HBSの批判者というわけではなく、批判精神を失うことなくHBSで学んだ人、というのがふさわしいと思います。

多くの学びの機会に感謝する一方で著者が批判しているのは、合理主義の全能性、というべきものなのだと感じます。本書では著者が様々な"机上の空論"にあきれる様子がところどころで描かれています。おそらく、本書を読んだ多くの人々が、自らの働く現場においても、現場感覚より合理主義が優先される状況を思い浮かべながら、この本の様々な場面に首肯するのかもしれません。

もっとも大切なのは人間性や感性といったものであることには異論はありません。しかし一方で、ビジネススクールやその他機関が産みだしてきた、問題解決のための知的枠組みは、決して無用とはいえないと思います。これら知的枠組み(時にノウハウと謂われるもの)は、ある問題について考える際の貴重なヒントを与えてくれる場合が少なくありません。

重要なのは、このような知的枠組みの装備や思考力などに代表される頭と、人間性や感性のような心のバランスなのでしょう。もしビジネススクールが一方のみに傾斜しているのなら、それは危うい傾向といえるのかもしれません。著者が警鐘をならしているのは、まさにこの点にあるのではないでしょうか。(職業選択についての著者の意見は、やや斜に構えた感を受けたりもしますが)

一点だけ惜しまれるのは、著者の深い洞察とビジネススクールで学んだことについての専門的な記述が(ある程度不可避とはいえ)同居してしまっていることでしょうか。これら専門的記述を話が理解できる範囲で省いた方が、より読者を引き込めたのかもしれないと感じます。

HBSの様子がいきいきと描かれていて、読み物としても秀逸であり、著者と同意見の人も、そうでない人も、貴重な洞察を本書から得られると思います。

ビジネス・スクール=金儲けを学ぶための場所 の現実を教えてくれる4
ハーバード・ビジネススクールへの入学から、授業風景、クラスメートとの
ぶつかり合い、就職活動までの様子を、生き生きと描き出している。
そして著者が感じた違和感と、ビジネススクールの問題点を指摘する。

残念ながら、クラスメートに日本人は出てこない。一方で中国人やインド人の
話がよく出て来るのは、単なる偶然か、それとも国の勢いの違いか。

著者が指摘する問題点の中で、注目すべきと思うのは、
しょせん、金儲けの方法を教えるところに過ぎないのに、
同校の卒業生が「世界に違いをもたらすリーダー」とされている
点だ。ビジネス界のリーダー(になると仮定しても)が、選挙で選ばれた
政府やその他いかなる私人よりもすぐれている根拠はないし、
それは、一握りの人間に富が集中することの正当化につながる。
  
また、ハーバードに特有な問題として(細かなことだが)
1. 先端技術的な科目が弱いこと(なのに、同校の卒業生は
   実力以上に自分のことを頭が良いと思っているらしい)
2. ビジネス経験を持たない教授が起業を教えていること
 (だから、常にあら探しに余念がない)
ことだという。

これからMBAに挑戦する人にとっては、必読の書であり、
MBAホルダーがどういう種類の人間なのかを知り、
ひいては、アメリカ資本主義の理解にも役立つ本だと
思う。

MBAに対して幻想を抱いているすべての人に推奨できる5
 MBAに対して幻想を抱いているすべての人に推奨できる好著である。特に(HBSに限らず)Business Schoolを志望する者はまずは本書を読んでから本気で準備を開始するかどうかを決断した方が良いだろう。
 本書は、私が米国Business Schoolに対して感じていた違和感(私は作者のような文才はまったく持ち合わせておらず他人に対し説得的に示すことはできないが)を豊富なエピソードをもって見事に表現してくれている。もちろん、一卒業生によるHBSの授業や学生の描写および評価に過ぎないものであるが、例えば(作者の同期生でもある)本書の監訳者による散漫なブログ編集本(いかに宴会三昧の生活を過ごしながらも優秀な成績でHBSを卒業したかを描くことに多くのページが割かれている)よりも、はるかに読みごたえがあると言えよう。