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最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?

最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?
By ポール・コリアー

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  • Amazon.co.jp ランキング: #6015 / 本
  • 発売日: 2008-06-26
  • 版型: 単行本
  • 320 ページ

エディターレビュー

内容紹介
貧困国問題のキーワード「ボトム・ビリオン」(最底辺に生きる10億人)の出典、ついに日本でも刊行。アフリカ経済問題の第一人者による援助にかかわるすべてのプレイヤー(国、機関、団体)への根本批判、超辛口の書。
柔軟性を欠く先進国、
縦割りの国際援助機関、
貪るだけの石油・建設企業、
そして、知性を欠いた善意のみに終始するNGO――
著者は、いずれも地獄の縁に生きるアフリカの人々を本気で救おうとはしていない、と断じる。
本書は一般向けに(世界の有権者へのアピールとして)書かれているが、最新の研究成果から、内戦と民族間の憎悪・所得の不平等・政治的抑圧などとの間に相関関係がないこと、民主制の下でも援助金が機能しない場合が多々あること、天然資源の収益が大きい場合民主政府は独裁政府の経済成長を上回れないこと、根本的な政策転換は内戦後ほど起きやすいこと等々、統計データに基づいて意表を突く事実を陸続と挙げ、既成の貧困国イメージを粉砕していく。そして、最貧の国々を捕らえる四つの罠――1「紛争の罠」2「天然資源の罠」3「内陸国であることの罠」4「劣悪なガバナンス(統治)の罠」の新たな克服法を提唱する。

内容(「BOOK」データベースより)
サハラ以南のアフリカ諸国の惨状、最貧の国々を捕らえ続ける四つの罠。柔軟性を欠く先進国、貪るだけの石油・建設企業、善意のみのNGO。誰も地獄の縁に生きるアフリカの人々を本気で救おうとはしていない。最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?

著者について
ポール・コリアー(Paul Collier) :
オックスフォード大学アフリカ経済研究センター所長。世界銀行の開発研究グループ・ディレクター、アフリカ問題のイギリス政府顧問などを歴任。アフリカ経済の世界的な権威。中谷和男(なかたにかずお):
元NHKヨーロッパ・アラブ・アフリカ総局長。おもな訳書に『テロマネーを封鎖せよ』『ザ・サーチ』など。


カスタマーレビュー

貧困国問題の冷静な分析と提案4
世界の極貧国についての原因分析と、それに対する対処を提案した本。先進国/途上国という二分法の中から脱出し、途上国の中にさらに最底辺国という区分を設けた。この概念設定により、極貧国を途上国一般の問題から切り離して提示する。こうした極貧国はアフリカに多く存在するため、アフリカ中心の議論だ。ただし、極貧であることがアフリカ固有の問題(「アフリカ・エフェクト」)だとは著者は認めていない。

本書は事例を提示した本ではない。アフリカの貧困の実態について、事例を挙げて提示したものではない。それは、ジャーナリストが鮮やかに書いている他の本を見ればよい。本書はデータを多く用いた、抽象的分析と提言の書だ。それも、全体的にきわめて冷静な、ある意味では冷酷な分析だ。貧困から容易に抜け出すことのできない国々の現状と、それに対してできることの僅かさ。その僅かな中でも、できるだけのことをなそうと提言する著者。非情な努力である。それは、こんなに貧しい人々が生きる世界に自分が生きていることへの強い憤りに根ざしている。

著者の分析によれば、極貧国を極貧から脱出できないようにする「罠」は以下の四つである。(1)紛争の罠、(2)天然資源の罠、(3)内陸国の罠、(4)悪い統治の罠。私には特に、天然資源に関する話題に眼を開かれた。資源があるからといって発展できるというより、むしろ資源がある方がその国を発展から遠ざける。また、資源国では民主主義よりも独裁制のほうが発展は早いという指摘。さらに、近年の中国が行っているアフリカ資源外交は、アフリカ諸国を貧困に固定するだけだ、という主張。

これら原因の分析に続いて、グローバル化が極貧国に与える影響が考察される。人・金・物の高い流動化は、逆に極貧国から資本を逃避させる結果になっている、と。以上をふまえて、四つの対策手段が語られる。(1)資金援助/技術援助、(2)軍事介入、(3)法の制定、(4)貿易政策。これらは現実的に語られている。資金援助が功を奏さないのはなぜか。ある時期までは技術援助のほうが有効であること。また、軍事介入の必要性。イラク、ソマリア、ルワンダ、マダガスカルの例が引かれる。さらにあまり重視されない、法制定の重要性と、関税を中心とする貿易政策について。加えて、これらの対策の検討に基づき、各国の援助政策の誤りや、クリスチャン・エイドなどNGOの誤りが鋭く批判される。

これらの分析や対策を「上から目線」「新植民地主義」「逆差別」と批判するのはたやすい。しかし実際に先進国は「上」にいるのである。軍事介入をしなければ、国は好転しない。極貧国を特別待遇しなければ、彼らは貧困から抜け出せない。理想を語ることは容易にできても、現実にできることはごく僅かだ。本書を貫くのは、現状についての冷めた眼と、ある種の諦念であろう。

私には次の言葉が印象に残る。特にアフリカ援助に携わるわけでもなく、アフリカ問題が単に「遠い国のことでしかない」私には。
「しかしあなたの仕事が開発と関係がないために、自分には責任がないと考えてはならない。あなたは市民であり、市民であることには責任が伴うのである。[...]この過失【第二次世界大戦における政治的過失】によって彼らの子供たちは大量殺戮されることになった。再び回避可能な大惨事へ迷い込むことを阻止するのは、すべての市民の責任である。/そして、それは避けることができる。」(p.285)

今日の開発問題を考える際の一級書3
アフリカ問題の大家が、今日の開発問題の盲点に挑みます。ただ、大家といっても単なる学者ではありません。世界銀行の実務官僚の経験にうらずけされた実体験・豊富な資料を駆使して論議を進める姿に、英国の開発学の層の厚さを感じました。 中味といえば、漠然とした、植民地後遺症論やグルーバル化悪化論を退け、エビデンスを示しながら、先進国援助の問題、内戦がビジネスとなっトいるアフリカ諸国の現実、有効な対策を打ち出せないでいる国連機関の姿、独善的なNGOの現状を横軸に、ボトム・ビリオンの国が陥っている4つの罠の惨状を縦軸にして、世界人口の底辺の人々10億人の苦悩を記しているのは圧巻です。アフリカ問題、いや開発論を学ぶ方にとって必読の本と言ってけして過言ではありません。今、世界経済が沈滞に向かう中、このような人々の生活をどう守るのか、いや、寧ろボトムビリオンが広がるのをどう防ぐのか。80年代の世銀の構造改革路線の轍を踏まない工夫が求めれている時に、思考の出発点を提供してくれます。そういいながらなぜ評価が低いのか。それは訳文の質です。原著に忠実に訳さんとするあまり、日本語として非常に分かり難い表現が多々みられそれが核心的な部分の表現の箇所に多かったのが非常に残念でした。海外出張中にアメリカの空港で原著を入手してそちらで読了しました。少々辞書を引く労力を厭わなければ原著を読まれるのも一法です。

現代の貧困問題をよく分析した好著である4
 ここのところ、金融危機をきっかけとして、大企業による非正規雇用者の解雇のニュースが連日続いている。
 これをきっかけとして、格差問題が再び盛んに議論されている。
 どうやら、政府も重い腰を持ち上げて、これらの問題にも少しずつ対策を打ち出しつつあるように思える。

 ところが世界に目を向けると、表題のとおり、10億人もの人々が貧困にあえいでいるという。
 本書は主にアフリカの諸国で、貧困から立ち上がれない人々にスポットを当て、なぜ貧困から抜け出せないのか、なぜ援助をしても立ち上がることができないのか、なぜ天然資源の豊かな国が経済的に発展できないのか。といった疑問に正面からぶつかり、一つ一つひもといている。
 そのうえで、10億人の人々を救うためには、技術協力に重点を置いた援助、秩序の維持のための軍事介入、そして問題点解決のための国際的基準作りを提唱している。
 軍事介入については異論はあるが、最終章にある国際憲章については、前半で分析した問題点を踏まえてよくできている。

 特に、先進国が農産物を保護するために補助金を支給している点については、先進国の国民に損害を与えている以上に、途上国に損害を与え、「政策の失敗」であると切り捨てている。

 現代の貧困問題をよく分析した好著である。