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陸軍大将今村均―人間愛をもって統率した将軍の生涯 (光人社NF文庫)

陸軍大将今村均―人間愛をもって統率した将軍の生涯 (光人社NF文庫)
By 秋永 芳郎

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  • 発売日: 2003-02
  • 版型: 文庫
  • 332 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
不条理と混乱の中に裁かれて、はるかな孤島に青春を空費する部下将兵の不幸に際会し、将たるがゆえに自らに十字架を課し、荊棘の道を歩まねばならなかった偉大な軍人の生涯―人間愛をもって、ジャワ、ラバウルに栄光をしるし、常に日本軍将兵の心の拠り所として慕われた“人情将軍”の魂の軌跡をたどる感動作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
秋永 芳郎
明治37年1月、長崎県佐世保市に生まれる。関西学院高等部英文科に学び、毎日新聞記者をへて作家となる。一時期、浜本浩、長谷川伸両氏に師事する。太平洋戦争中は、陸軍報道班員としてマレー戦線に従軍する。昭和14年、朝日新聞1万円懸賞長編小説に次席入選。同16年、第1回航空文学賞受賞。平成5年11月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

なけた4
今から30年ほどもまえに小学生のころ読んだ戦記本で、名前まで覚えていたのは陸軍軍人ではこの今村中将(後に大将)である。その内容は勇ましい話ではなく、今村中将のインドネシアでの軍政の評判とか、輸送船が沈められたき重油まみれの顔で笑ったとかそんな話であった。日本軍が第二次世界大戦中にアジアで快進撃したとか、蛮行をはたらいたとか、いやそんなことはないという話はよく聞く。そんな中で今村中将の話が小学生の印象に残ったのは、やはり、無意識のうちにもっていた日本軍へのひけめに対して、インドネシア人から受け入れられ、連合国も容易に罪にとえなかった人格者が日本軍人にいたという誇りや安堵感を感じたからだろう。そんなことからかふと中古本屋でタイトルを目にした時に手にとってしまった。内容は、戦場における勇ましい英雄談や日本賛美や連合国への敵愾心をあおる内容ではなく、一人の人間としての生き方と、彼をとりまく日本人の生きぶり(戦いぶり)で占められている。そしてそのような彼の姿をやはり心ある連合国の人は認め、そこに生じた人間としてのつながりが彩を加えている。この今村中将に比して、とかく世知辛い世の中に、今の自分のふがいなさの口実を求める自分の怠惰や幼稚性を感じずにはいられなかった。
文章はたんたんとしたものだが、それがむしろ今村中将の自然体をそのまま表しているようである。なかでも引き上げ船から日本の陸地をみたときの日本人の描写は装飾はなにもないが、静かにかみしめるようなものであり、心のうちでなけた。
人は人の生き方から学ぶのだとするのなら、「軍人=軍国主義」というような単眼に陥ることなく、こういう人間の存在を伝えていくことが今の教育において重要ではないかと感じる。

上に立つものとして5
この本は、戦闘がメインではなく敗戦の後の囚人生活にこそ主題があると思います。戦闘や陣地構成、食料の自給自足にいたるまで見事に指揮し終戦まで多くの兵士を無駄死にさせる事のなかった名将。ここまでは、戦争中の話です。今村氏の立派なところは戦後の日本兵捕虜の待遇改善に奔走した事から始まります。また、各戦勝国から戦犯にされ一国の刑期が終わり日本に帰るも、部下が残っている島に行き、この戦勝国の刑期が終わっていないと部下とともに服役をしています。このようなすばらしい人格は、現代においても必要であり「上に立つもの」の手本の一つなると考えます。戦記本ですが、人生勉強にはもってこいの本であると思います。

最も尊敬でき評価の高い帝国陸軍大将。5
陸軍省や参謀本部の幕僚は目を覆うばかりで日本を敗戦に導いたが、現場の司令官には尊敬できる将軍はいた。今村均、栗林忠道、本間雅晴の面々だろう。その中でも最も素晴らしい高級将校が今村均大将だ。今村大将ご本人の回顧録の他に伝記としては、秋永芳郎氏(本書)、土門周平氏(陸軍大将・今村均)、角田房子氏(責任 ラバウルの将軍今村均)、日下公人氏(組織に負けぬ人生)等々の著書があるが、それぞれ描き方ポイントの重点の違い、描き方が様々で面白い。本書の特徴は、バンタム湾上陸から蘭印軍無条件降伏調印、ジャワ軍政、親友本間雅晴の苦悩、インド駐在武官拝命、第八方面軍司令官として餓島戦、山本五十六との接点と別離、ラバウル地下要塞、終戦以降、部下を気遣う囚舎の永い日々生活については、木目細かい描写でとても満足している。確かに本書は上に立つ将が如何に部下に対し人間愛を持って統率したかをテーマに重点を置いて書かれている。理想的な上司であり、組織のトップであり、斯様な人物は滅多にいない。一方で進級・進路の悩みと両親の思い、陸軍士官学校や陸軍大学校の入試、学業、卒業時のこと、先妻銀子や後妻久子とのこと等については記述が少なく、陸大首席軍刀組としての若き今村均のことが興味深く、より紙面を割いて欲しかったと言える。(まあその辺は角田房子氏の著書で読めばいいのだが。)