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近代の奈落

近代の奈落
By 宮崎 学

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  • Amazon.co.jp ランキング: #451728 / 本
  • 発売日: 2002-11
  • 版型: 単行本
  • 475 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
部落の偉大な「おや様」松本治一郎、美と理念の使徒・西光万吉、反逆者・平野小劔―歴史に呼び出された男たちの壮絶なドラマだが、これは歴史をたどる旅ではない、自分ならどうするか…その追跡である。被差別部落からみた近代。突破者がつきあたった事実―。

内容(「MARC」データベースより)
水平社以来の部落解放運動を担ってきた人間たちとその土地に焦点を定め、彼らが、また多くの部落民たちが何を考え、どう行動してきたのかを追跡する。『部落解放』の連載に加筆して一冊にまとめる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮崎 学
作家。1945年京都生まれ。早稲田大学法学部中退。高校時代に共産党に入党し、早大時代は学生運動に邁進。その後、週刊誌記者、家業の土建・解体業を経て、戦後史の陰を駆け抜けてきた半生を綴った著書『突破者』がベストセラーに。1999年より月刊『部落解放』誌上で「近代の奈落を歩く」の連載開始。福岡・奈良・京都・大阪・和歌山・長野などの各地の被差別部落を訪ね、大正時代から戦後に至る日本近代化の歴史を背景に被差別部落で展開されてきたドラマ―人びとの闘い、生き方、人物像をほりおこしながら、日本近代と社会運動を再検証する試みをおこなう


カスタマーレビュー

熱い運動家たち5
何らかの運動経験を持っている人なら、この熱い運動家たちの力強さに感動し、また後ろめたさを感じるのではないだろうか。中途半端じゃ、運動はできないということがよく描かれている。

2002年の掉尾を飾る名著5
第一作「突破者」も名著ではあるが、奥の深さ、対象の重さ、そして汲み取るべき思想の数々、という点で本書は優る。文字通り宮崎学の代表作となるだろう。

被差別部落を旅し、差別撤廃の第一線で闘ってきた歴戦の勇士を歴訪する。あるものは既に故人となり、あるものはいまだ健在である。いわゆる<同和利権>の存在が明るみになるなど、部落解放運動をめぐる昨今の環境は生易しいものではない。遅れてきた高度成長の果実を享受する姿勢は是としながらも、「自前」の運動を失くしてきた運動の未来に危惧の念を寄せる宮崎。そうした視点は、戦争に勝って差別を無くすというスタンスか、差別を無くして戦争に勝つ、というスタンスかという究極の二択の延長線上にある。そしてこの二択は独り差別の問題に留まらず、あらゆる「異議申し立て」の思想に随伴する問題でもある。

中上健次と坂口安吾をめぐる見解には異論が無いわけではないが、2002年下半期の名著に位置づけられるべき本である。

坂口安吾を感じた5
宮崎氏の叙述のスタイルに、安吾を感じた。テーマはあくまで重い、日本近代化全体を見直す、というものなのに、語り口が軽快で読みやすい。「うだうだ言うな、結論だけ言え!」みたいな姿勢が心地よかった。疑問点が2つ。「水平線上の赤と黒」(←この章タイトル、キマッテル!)の章。平野(アナ)と高橋(ボル)の対立点を簡潔にまとめた後で、著者は前者に共感する。しかし当の部落問題について、要は、部落差別の問題は部落民自身の手で解決するしかない、といわれてしまえば、剥奪されていることが逆に特権に裏返りはしないか? では差別者とされる、部落民以外の人になすすべはなし、糾弾されるのみ、ととられないか?「中上はある時点から文化人になったのだ」という点は私は正しいと思う。で、著者は「私は違う。私はアウトローだからだ」と言う。それに異論はない。が、これからは(というよりすでに今も?)どうか?本人の意識と言うより、周りが宮崎氏を「文化人」としてしか、対しないのではないか?