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美徳の経営

美徳の経営
By 野中 郁次郎, 紺野 登

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  • 発売日: 2007-05
  • 版型: 単行本
  • 250 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
生きるための経営における賢慮の知とは?「美しく」なるほど、「したたか」に。人間中心のイノベーションこそが企業の卓越性を生みだす。いま、求められるリーダー像とは何か。知識時代の経営の本質。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
野中 郁次郎
一橋大学名誉教授、カリフォルニア大学ゼロックス知識学名誉ファカルティー・スカラー、クレアモント大学院大学ドラッカー・スクール名誉スカラー。1935年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、富士電機製造を経て、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学、防衛大学校、一橋大学、北陸先端科学技術大学院大学、一橋大学大学院国際企業戦略研究科各教授を経て現職。竹内弘高との共著“The Knowledge Creating Company”(邦訳『知識創造企業』東洋経済新報社)は知識経営に関する書籍として世界で最も引用されている

紺野 登
多摩大学大学院教授、コラム代表。1954年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、博報堂、北陸先端科学技術大学院客員助教授を経て現職。博士(経営情報学)。「知識産業」の新事業開発、次世代リーダーシッププログラム、ワークプレイスの開発、その他デザイン企業・組織の変革に携わる。2004年~2006年グッドデザイン大賞審査員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

日本的経営の真髄を再発見5
「美徳」という概念は、近代的な経営論とは一見隔たりを感じる向きもあるかもしれないが、論理分析的な経営や戦略に対して、本書では人間的な知や社会的な価値をより重視した、新しい時代の経営の資質を「美徳」と表現している。
それは人のあり方に焦点を当てたものでもある。

更に「美徳」を実践に結びつける為の知が、高質の暗黙知としての「賢慮(フロネシス)」としている。賢慮型リーダーの代表とされているチャーチルは以下の6つの要素を強く持っていたとされる。
 (1)善悪の判断基準を持つ能力
 (2)他者とコンテクストを共有して共通感覚を醸成する能力
 (3)コンテクストの特質を察知する能力
 (4)コンテクストを言語・観念で再構成する能力
 (5)概念を共通善(判断基準)に向かってあらゆる手段を巧みに使って実現する能力
 (6)賢慮を育成する能力
こうした要素は必ずしも一貫しておらず、一見矛盾しているものがあるが、優れたリーダーに求められるものは、「善」を軸に持ち、現実の矛盾した要素の中で、中庸を知ることが出来るかということだとしている。複雑な経営環境の中で、(決して妥協ではなく)清濁合わせ飲むしたたかさを持つことが、求めるリーダー像である。

質の時代の経営指南書5
現代のリーダーに求められるリーダーシップ像を示唆してくれる書である。

「「美徳の経営」とは、共通善を念頭に社会共同体の知を活かす経営」と著者は示している。著書のキーワードである賢慮(フロネシス)は、アリストテレスが提唱した概念である。米国の哲学者マッキンタイアが『美徳なき時代』において、これを最も重要な知として復権させた。現代のリーダーには、賢慮のリーダシップが求められている。賢慮とは、全体の善のために、その都度の文脈や状況において最良の行為を選び実践できる知恵(最高の暗黙知)であると著者は説く。賢慮のリーダシップの典型として、第二次世界大戦で対独戦を勝利に導いたチャーチル首相を挙げている。グラミン銀行のムハマド・ユヌスやホンダの本田宗一郎、エーザイの内藤晴夫、キヤノンの御手洗冨士夫、セブンイレブンの鈴木敏文にも共通したリーダーの要素があると説く。確かにポーターやバーニーの戦略論には人間的視点は存在しない。賢慮は、「実践(の論理)」と「質」の経営に重きを置く人間的視点を持ったリーダシップの要素と感じる。

毎日のように報道される現実の企業事件を横目に、じっくり腰を落ち着けて読みたい知識経営の指南書である。

こころを練るために5
知的創造プロセスで、SECIモデルを紹介し暗黙知から形式知へのループが重要であることを説いた著者が、こころを語ります。
知識が資産になり、収益を生む出す時代だからこそ、その知識を使用する人間のこころのあり方を先に正さなければならないと感じました。

内容は実践的なことはほとんどありません。著者と一緒に、ただひたすら思考の渕にたたずんで、「美徳」とは何かを語り合う、そんな気分にさせてくれる本です。

哲学書を読んでも小難しくて理解出来ないと言う人でも、本書はわかりやすく且つ、古典となっている哲学書のエッセンスは網羅されています。
経営者ならずとも、「目先の金」を追いかけることに疲れた人には、一読をお勧めします。