カフカ・エッセイ―カフカをめぐる七つの試み
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #833353 / 本
- 発売日: 1990-01
- 版型: 単行本
- 263 ページ
カスタマーレビュー
美しい書物
まず書いておきたいのは、この書物がとても美しいということだ。──数葉の写真とカフカの筆跡やデッサンが随所にちりばめられ、杉浦康平さんのブックデザインで装丁された、所有することへの欲求をかきたて、読まずともただ眺めているだけでなにかしら満たされた思いにひたることさえできそうな本書には、「カフカのアクチュアリティ」として二編、「多面体としてのカフカ」として五編、計七編のエッセイが収められている。
ユダヤ神秘主義をもって「カフカ解釈というあの屍るいるいの戦場あと」(16頁)に新たな屍をさらしたショーレムとの往復書簡をふりだしに、天才作家と天才批評家との運命的な出会い(?)が生んだベンヤミンの二つのカフカ・エッセイ──そこには、「〈裏がえしの神学〉をもち続けて歴史的唯物論を動かす、すなわち、生けるカフカをもってマルクスを動かすというきわめて遠大な戦略が抱懐されていた」(68頁)──を詳細に論じ、そのベンヤミンの本歌取りのおもむきをもつアドルノのカフカ・エッセイ、そして、アドルノのエッセイとの対応関係が見られるドゥルーズ=ガタリのカフカ・エッセイ──「…何よりもドゥルーズにとってカフカの生とは一つの戦略となしうるものだったのだ。このカフカイストの戦い方は、確かにマゾヒストの戦い方に近いのではあるが…」(126頁)──へと、しだいに加速しながら叙述が進む第一部。
第二部では、眼の人カフカと触覚の人ベンヤミンの対比にはじまり、カフカの言う「音楽」が「食物」や「断食」のイメージとからみ合うものであったことを確認し、ともかく、この電話線から聞こえてくる音楽[『城』第二章で、Kが助手たちに城に接なげせた電話口から聞こえてきたざわめきの音──引用者註]は、哀れな聴覚よりももっと深いところにしみ入ることを求めているかのようであった。カフカはそうしや「曰く言いがたいもの」を〈音楽〉という言い方で言っているのだ」(257頁)と結ばれる「カフカの「非音楽性」」がいい。

