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晩鐘〈上〉 (双葉文庫)

晩鐘〈上〉 (双葉文庫)
By 乃南 アサ

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  • 発売日: 2005-05
  • 版型: 文庫
  • 684 ページ

エディターレビュー

出版社 / 著者からの内容紹介
「話題作『風紋』の続編」母親を殺害された娘。殺人犯の父親を持った少年。運命が変わったあの日から七年…。

内容(「BOOK」データベースより)
母親を殺害された高浜真裕子は、そのとき高校二年生。心に癒しがたい傷を負った。一方、加害者の子供たち大輔と絵里は長崎の祖父母のもとに預けられ、父と母を知らずに成長する。運命が変わったあの日から七年、かけがえのない人をもぎ取られた真裕子の心の傷は癒えるのか。殺人犯の父親を持った子供たちは、その運命を受け容れることができるのか。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
乃南 アサ
1960年、東京生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務などを経て作家生活に入る。1988年、『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作に選ばれる。1996年、『凍える牙』で第115回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

絶妙のバランス5
上下2巻ですが、おそらく読み出したら
全部読んでしまう、と思われるのでまとめてのレビューです。

「風紋」の後日談ということで暗い話になるのは
もう覚悟していましたが、やはりかなり深刻な話なのに、
つい読みふけってしまいます。ハード版で読んではいましたが、
今回手頃な(そうでもない値段ですが、この作品に
は惜しくない金額だと思います)文庫版になり、やはり
手元に買ってしまいました。

こういう物語を構築する場合、作者があまり表に出てきすぎると
ご都合主義になり、物語の現実味が薄れるのですが、
そうかといってただ観察者みたいな書き方だと
ノンフィクションみたいになりますし、、
なかなか難しいと思うのですが、
乃南アサ、その辺のバランスはやはりさすがです。

「風紋」事件の関係者のうちもっとも
傷ついた主人公二人、被害者の娘の真裕子と
加害者の息子の大輔、そのうち
真裕子は救われるが、大輔は救われない、というラストは
いろいろ意見があったようですが、
私はそこが非常にうまい、と思いました。どっちも救われるのではちょっと現実味が失われますが、そうかといって
どっちも救われなければ読んでる方もあまり救われません。

いろいろ考えさせられる内容ですが、やはり、多少なりとも
幸せだった頃の家族に思い出が残っていた真裕子が
最後には何とか再生できたのに対し、「風紋」時には
まだ小さく、そういう記憶を何ももてなかった大輔が
ああいう結末を迎えたのはなかなか意味がある、と思いました。

読んだ後楽しくなるような小説でないのは間違いありません。
が、それでも読んでしまうのはやはり物語の力強さだと思います。
時間も気力もある時是非ご一読をおすすめします。
(風紋から読んだ方がいいと思います)

ミステリーというよりはドキュメンタリーっぽいかも4
「風紋」「晩鐘」と読み進んできて、片時も目を離せない、いったい何時になったら肩の荷が下りるのか、ずっとそんな感触を味わい続けてきました。結局、一連の事件は一つの帰結を見るけれど、でも、真の意味で安堵はもたらされない。これは机上の空論等ではなく、実在のドキュメンタリーに近いと強く感じました。
私自身、8歳年上の新聞記者(しかも社会部)と結婚したため、真裕子の心理が手に取るようにわかる件があります。更に今は二人の性格の異なる娘を持つ身となり、全く違う二つの視点から本書の内容に共感を抱きました。乃南氏は、殺害された母の心情については敢えて殆ど描写していませんが、母が女性としての自分を求めた心理そして当時高校生だった真裕子が、亡き母の代わりとなる存在として知らず知らず建部に惹かれていく過程の心理は、もはや他人事ではありません。犯罪加害者側の登場人物の崩壊の過程は、何もここまでおとしめなくとも…と感じるほど徹底していますが、この小説が現代の犯罪抑止力になれば、乃南氏の意図も報われると言えるかもしれません。

これは・・・5
読むほうにも相当な精神力が必要だと思った。特に高校生くらいの子が読むんであれば、自分の暗い部分がひきずりだされそうで、結構怖い小説だなあと感じた。自分も決して、無垢なものの前で全部をさらけだす勇気はない。純真な大切な人が、自分のダメなところを見透かしているような気がする、そんな気持ちは本当にしんどかっただろうなあと思う。ありきたりな言い方だが、主人公の1人、大輔は本当に母親の愛情に飢えてるのだと思う。祖母の愛情は本当に深かったのだろう。真裕子に関しては、「風紋」から読んできてやっと息がつけた感じがした。タイトルもぴったりだと思う。