商品の詳細
大地の咆哮(ほうこう) (PHP文庫)

大地の咆哮(ほうこう) (PHP文庫)
By 杉本 信行

価格: ¥ 780 1500円以上は送料無料 詳細

発送可能時期: 在庫あり。
販売、発送は Amazon.co.jp

8 新品/中古商品価格 ¥ 57

おすすめ度:

商品の詳細

  • Amazon.co.jp ランキング: #105846 / 本
  • 発売日: 2007-09-03
  • 版型: 文庫
  • 410 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
現代中国をどう認識し、どう対応するのか、日本の対中外交はいかにあるべきか----上海総領事であった著者が、末期がんの病苦をおして書き上げ、2006年に刊行されるやベストセラーとなった本書。中国の実態を鋭く抉って各界の絶賛を浴びたその内容は、文庫化にあたっていささかも古びることなく、むしろ現実の方が本書の議論を前提に進行している感さえある。
外交官としての長年の中国勤務の体験をもとに、実際に担当し、かつ現地で見聞した情報を踏まえた叙述には、視点の鋭さと深さ、説得力がある。政治・経済・外交・軍事から農村問題に至るまで、"現代中国の真実の姿"を幅広く見極めようとする著者の真摯な思いが行間から伝わってくる。
2004年5月の上海総領事館員自殺事件の折、総領事として部下を守れなかった無念から本書を執筆したという著者。"近くて遠い隣国"との付き合いを考える上で、思わずハッとさせられる示唆に富んだ好著である。

内容(「BOOK」データベースより)
中国をいかに認識すべきか、近くて遠い隣国との“あるべき外交”のかたちとは―上海総領事であった著者が、末期がんの病苦をおして書き上げ、ベストセラーとなった本書。外交官としての長年の中国勤務の体験を踏まえ、政治・経済・外交・軍事から農村問題に至るまで、実情に即した現代中国の光と陰を見事に抉り出している。真の日中友好を模索する上で、新たな座標軸を提示した好著である。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
杉本 信行
昭和24年、京都市生まれ。昭和47年、外務公務員採用上級試験合格。昭和48年、京都大学法学部卒業。同年、外務省入省。昭和56年、経済協力局技術協力第一課首席事務官。昭和58年、在中華人民共和国日本国大使館一等書記官。昭和61年、在フランス日本国大使館一等書記官。平成3年、経済協力局国際機構課長。平成5年、交流協会総務部長(台湾)。平成8年、欧州連合日本政府代表部公使。平成10年、在中華人民共和国日本国大使館公使。平成13年、在上海日本国総領事館総領事。平成17年、日本国際問題研究所主任研究員。平成18年8月3日逝去。享年57歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

外交官からみたチャイナリスク4
 本書は、2004年春に上海の日本総領事館で一人の館員が自殺したことが契機となり書かれたものである。また、同年秋の一時帰国中に、末期がんであることがわかり、「これまでの経験をもとに、現在の日中関係に何か貢献したいという思いが強くなり、周囲の勧めがきっかけとなって本書を書くことを決意した」とも書かれている。このような大事件が同時に自分にふりかかるという異常事態の中で、自分の体験をベースに現代中国の認識とその対応、外交のあるべき姿を書き記したものである。
 本書は、上記の背景を知った上で読むべき本である。多少筆者の推測が多く入り込んでいるきらいがあるが、書けることは全て書こうという著者の強い意思を感じる。特に江沢民以降の現代中国に対する懸念や批判は、外交官をし続ける限り執筆は不可能だったと思う。
 個人的にはもう少し若かりし頃の体験を書いてほしかった。1974年9月からの約二年間の中国での語学研修と一年間の米国での研修後、調査部企画課を経て本省アジア局中国課に配属となったのが1978年1月だという。同年7月からは記録係として交渉の現場に臨んでいる。わずか2年の研修で重要な交渉の記録役を務めるレベルに達していることが驚きである。
 尤も著者の動機からいって、そのような話はどうでもよかったのであろう。しかしながら、著者がおそらく最も逡巡したであろう部下の自殺の真相は、結局ひとことも書かれることはなかった。

実体験は何よりも重く現実を教えてくれます。5
同級生から教えてもらい読ませてもらった本書。本書の存在はどこかの見か
けて記憶の片隅にあった程度でした。
率直な感想はこんな本があったのかという驚きの一言に尽きます。

外交官として日中関係に四半世紀以上従事してきた筆者。まえがきで述べら
れている共産党である「中華人民共和国政府」と「一般中国国民」を一緒に
考えないほうがよいという前提。
これは非常に大切なことだと経験上感じます。特に日本の報道や情報を観て
いると両者を混同しがちですから。

外交官らしく筆者の視点は非常に現実的であり、問題発見力に長けており、
また全て実体験から語られているため納得するだけの説得力を感じる。
また、著者の1974年文革の真っ只中での語学研修の様子は衝撃的である。今
の大連や中国から想像することすらできない状況であり、ちょうど今、我々
が見聞きする北朝鮮の監視、管理体制に近かったことが良く分かる。

その時代から日中平和友好条約、改革開放、高度経済成長、小泉時代まで日
本の外交官として第一線で関わり、日本の立場から現実的な台湾も含めた中
国の「光」の「影」を述べている。

中国に精通し、親中派というよりも誰よりも中国を愛してるような愛情をす
ら強く感じる。だからこそ、毎年広がる格差問題を心配し、隣国として、一
人でも多くの国民が幸せになるように共産党政府にとって耳が痛いような厳
しい見方、意見を述べているのだと思う。
それが日本にとっても安全保障と国益となることが著者の一貫する信念であ
る。

著者の視点は常に弱者の生活にあり、その関連で水、電力、戸籍、年金、教
育問題などにも言及されておりこれほど現代中国について現実的に書かれて
いる資料、著書はないのではなかろうか。
大連という大都市で住んでいると全く見えてこない9億といわれる農村、農民
の現実。都市部の4億の人々が中国の多くの富を享受。そしてその中にいる自
分・・・・・・。

文革、大躍進、四人組など多少の歴史的な予備知識も必要であり、経済、政
治本のような面もあるため読むのに時間がかかるが、著者の主張は終始どう
すれば日中がより親密に相互理解できるようになるのか、そのための著者の
私案もいくつか述べられている。

最後に遺作となってしまった著者の早すぎる死が残念でならない。あとがき
を読むと著者の最期の思いが伝わるようで涙が出そうになった。

今、大連で比較的自由に豊かで幸せに暮らすことができるのは著者のような
外交官、努力した人々のおかげであることに感謝したい。

中国と付き合う人へ 最後の咆哮を聞け4
 余命幾許もない筆者は「現在の日中関係に何か貢献したい」ため、
「現代中国をどう認識し、どう対応するのか」をテーマに執筆しました。
筆者は現代中国を可能な限り広く客観的に描いたため、読めば必ず勉強になる部分があります。
個人的にはODA、台湾、リストラされた不満分子の話は有意義でした。
また農民や反日暴動など闇の部分を多く取り上げ、その闇が生まれるシステムを説明しています。
脆弱性も含めて現代中国を認識することが、チャイナリスクへの対処の第一歩だというのが、
本書の論旨だと思います。

 本書は文章と内容が硬いため、現実に中国と向き合っている人に向いています。
それゆえ読者を満足させられない点が目につきます。例えば前上海総領事という立場上、
靖国問題については歯切れが悪く、日本政府の数々の失策についてはほとんど触れられていませんし、
アメリカ等を交えた国際政治の観点が欠けています。また国内問題と経済分析については、
筆者は専門家ではないため、大部分は他文献からの引用で目新しさがなく、分析は若干甘いです。

 そんな読者にぜひ読んでほしいのが、巻末の付録「日中を隔てる五つの誤解と対処法」です。
批判だけなら子供でも、分析だけなら学生でもできますように、中国の欠点ばかりを論うだけで
何一つ具体的な対応策がない、幼稚な中国関連書が世に溢れています。本書はそれらとは一線を画し、
中国人との歴史対話という、現場における最も重いテーマについて、背景を整理した上で、
筆者の経験を基に、具体的な対処マニュアルを提示しています。これが本書の白眉です。
中国と付き合っている人は、筆者の最後の咆哮を真摯に受け止め、実行に移してほしいと思います。