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イン・ザ・ペニー・アーケード (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

イン・ザ・ペニー・アーケード (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
By スティーヴン ミルハウザー

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商品の説明

After the success of his first novels (Edwin Mullhouse and Portrait of a Romantic), Steven Millhauser went on to enchant critics and readers with two short story collections that captured the magic and beauty of his longer works in vivid miniature.

The seven stories of In the Penny Arcade blend the real and the fantastic in a seductive mix that illuminates the full range of the author's gifts, from the story of "August Eschenburg," the clockmaker's son whose extraordinary talent for creating animated figures is lost on a world whose taste for the perverse and crude supercedes that of the refined and beautiful, to "Cathay," a kingdom whose wonders include elaborate landscape paintings executed on the eyelids and nipples of court ladies.


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  • Amazon.co.jp ランキング: #66152 / 本
  • 発売日: 1998-08
  • 版型: 単行本
  • 258 ページ

エディターレビュー

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   ダルキー・アーカイブ・プレスが、ミルハウザーのあの素晴しい短編集を、アメリカ文学シリーズの1冊として再び世に送り出すことになった。巧みな描写力に加えて、人間の才知と酔狂に対するミルハウザーの深い洞察があますところなく発揮された物語の数々は、真実と超現実的な美しさの両方を兼ね備えている。

 『Lives of the Monster Dogs』の著者、クリステン・バキスと、「アウグスト・エッツェンブルグ」を書いたミルハウザーは、同じ夜に同じ主人公の夢を見たのではないだろうか。両者とも名前をアウグストといい、両者とも創作家として、人間と人間もどきの違いは何かという難問に直面する。

   主人公のアウグスト・エッシェンブルグは、ほんの短時間ではあるが、ほとんど生きていると見まがうほど精巧な動きをする、からくり人形を作りあげる。彼の技法はしかし、ハウゼンシュタインによって下劣な形で模倣される。ハウゼンシュタインが作ったのは、観客がより喜びそうなしろもの…セクシャルな側面が異様に強調されたからくり人形だった。うねるように動く巨大なヒップ、流し目の好色な顔、そして大きな胸。芸術は大衆娯楽のえじきとなった。そしてアウグストのパトロンは、彼の人形ではなく、お色気ロボットの方を選ぶのである。

   カフカの「断食芸人」のように、アウグストもまた、経済状況を顧みず、芸術家としての衝動に駆り立てられるまま自らの芸術へと戻っていく。この衝動こそ、独立系出版社という名の芸術家にも求められるものではないだろうか。

出版社/著者からの内容紹介
 遊園地のペニー・アーケードの様々な仕掛けに子供達が胸躍らせるように、本書の読者はミルハウザーの圧倒的な想像力の前に大いなる驚きと興奮を味わうことだろう。からくり人形師の信じ難いまでに洗練された芸術を描く傑作中篇「アウグスト・エッシェンブルク」を含む巧緻極まりない短篇集。

内容(「BOOK」データベースより)
からくり人形師の信じ難いまでに洗練された芸術を描く傑作中篇「アウグスト・エッシェンブルク」を含む巧緻極まりない短篇集。


カスタマーレビュー

ミルハウザーの原点5
「最後のロマン主義者」ミルハウザーの短篇集。とことんまで突き詰められた職人的な技巧がもたらす驚異、その偏執的な情熱というのがミルハウザー作品の普遍的テーマであるが、本書の「アウグスト・エッツェンブルグ」はその典型である。「エドウィン・マルハウス」「J・フランクリン・ペインの小さな王国」そして長編「マーティン・ドレスラーの夢」などもその系譜の作品だが、「アウグスト」はその中でも物語的な枝葉が少なく、ミルハウザーの世界を非常にピュアな形で味わえる原型的作品。「雪人間」はもっと幻想味の強いユーモラスな作品だが、ここでもミルハウザーの特質は明らかだ。

職人芸や人工物に対するミルハウザーの嗜好にはどこか子供っぽいものがあり、時計を分解して中のメカニズムに驚嘆する少年のような無垢な感性を感じさせる。同様の主題を扱った小説は他の作家にもあるが、ここまで一貫して同一の主題を追いかけているという点では稀有な作家だと思う。また彼の小説はその細かい描写や表現の隅々まで非常に丁寧に誠実に作られており、ミルハウザー自身も彼の描く登場人物のように職人的誠実さとこだわりを持ち合わせたアーティストである事を感じさせる。それが読んでいて非常に心地よい。天才肌というより職人肌の作家である。

本書の第二部は初期の作品らしくミルハウザー的テーマは希薄だが、丁寧に語られる繊細な物語はやはり彼独自の感触を持っている。「東方の国」はミルハウザーがカルヴィーノやボルヘス、ユルスナールにも通じる硬質な幻想のつむぎ手であることを証明する佳品であるが、その中にも形而上学に入り込み過ぎない独自のリリシズムを感じさせるのがミルハウザー。精密で美しい工芸品のような作品集。

天才からくり人形師の人生を描いた「アウグスト・エッシェンブルク」が、抜きん出て素晴らしかった5
 その道の名人が、精魂込めて作り上げたガラス細工の陶器のような作品。冒頭の「アウグスト・エッシェンブルク」が、収録作品中では群を抜いた出来映えで魅了されました。
 十九世紀後半のドイツ。からくり人形の天才的な作り手、アウグスト・エッシェンブルクの人生を、映画のフィルムが回るように映し出して行くストーリー。芸術と卑俗なものとの衝突、夢の成就にひた向きな芸術家の信念とジレンマ、時代の流れに浮きつ沈みつする人生。そういったモチーフが、鮮やかに文章の中に盛り込まれていたところ。素晴らしかったなあ。
 物語の最初のほう、十四歳の誕生日を迎えたアウグストが、父親のヨーゼフと入った緑のテントの中で自動人形に魅せられてしまうシーン。彼とからくり人形との運命的な出会いを描いたそのシーン辺りから、魔術的、蠱惑(こわく)的な魅力を持つ話に夢中にさせられましたね。文章によるデッサンが実に精緻で、静かな気品をたたえていたのも味わい深く、好ましかったです。
 この珠玉の名品のほか、「太陽に抗議する」「橇(そり)滑りパーティー」「湖畔の一日」「雪人間」「イン・ザ・ペニー・アーケード」「東方の国」を収録した一冊。
 柴田元幸氏の訳文は、とても読みやすいものでした。

ガラス玉の向こうに5
「ペニー・アーケード」とは、小銭1枚(=1ペニー)で遊べる、遊園地のゲームコーナーのこと。子どもの頃、誰もが時がたつのさえ忘れて夢中になった不思議な空間。あの胸弾む感覚が、この本の中にはびっしりとつめこまれている。しかも、とてもエレガントに。第一部にあたる「イン・ザ・ペニー・アーケード」では、少年時代、小さな町のほの暗い博物館の片隅で、一枚の動く絵に心を奪われてしまった、天才からくり人形師の生涯が描かれている。時代という名の大きな流れに立ち向かった彼の背中は、透明なガラス玉のように美しい。