インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #121607 / 本
- 発売日: 1993-10
- 版型: 新書
- 163 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
失踪した友人を探してインド各地を旅する主人公の前に現れる幻想と瞑想に充ちた世界。ホテルとは名ばかりのスラム街の宿。すえた汗の匂いで息のつまりそうな夜の病院。不妊の女たちにあがめられた巨根の老人。夜中のバス停留所で出会う、うつくしい目の少年。インドの深層をなす事物や人物にふれる内面の旅行記とも言うべき、このミステリー仕立ての小説は読者をインドの夜の帳の中に誘い込む。イタリア文学の鬼才が描く十二の夜の物語。
内容(「MARC」データベースより)
失踪した友人を探してインド各地を旅する主人公、彼の前に現れる幻想と瞑想の世界。インドの深層にふれるミステリアスな内面の旅行記。イタリア文学の鬼才が描く十二の夜の物語。
カスタマーレビュー
インド夜想曲
最初はよくあるインド好きのヒッピー文学と思いきや、インドはただの舞台でしかなく、その内容はボルヘスの作品のように幻想と思考と知性に満ちているといえるだろう。インドの独特の風土を利用しながら、いつの間にか自分がどこにいるのかわからなくなるような不思議な感覚、友人探しという読むものを引き付けるミステリー性を備えながら、哲学的な命題を探るような短編を重ねあわせたような奇妙な旅行記。最初に書かれた無意味とも思える命題が結論のあっけなさを納得させる循環性はポーの作品と近いような気がした。とにかく幻想的で非常に面白い作品である。訳者の須賀氏が解説で述べているように、「だまされたと思って」是非一度読んでいただきたい本の一冊である。
どんな幻想小説よりも幻想的な、あり得ない旅の記録
タブッキの小説は幻想的と言われるが、他のどんな幻想小説にも似ていない。この小説も神秘的なイメージに満ち満ちているが、真に非現実的な事件は何も起きない。ただ淡々と、「ぼく」がインドで出会う人々や事物が書き連ねられているだけである。ところが麻薬のように病みつきになるタブッキ独特の語り口と、核心をさらけ出さずほのめかすにとどめるという文学的詐術があいまって、ただ奇想天外なだけの幻想小説では太刀打ちできない強烈なイメージの「場」が形成される。タブッキは幻想を描写しない。タブッキは読者の心の中に幻想や神秘を作り出す。タブッキの「レクイエム」には「ある幻覚」と副題がつけられているが、彼の小説にはどれもまず一個の「幻覚」として構想されているような気がする。結局す!べては誰かの心の中で起きていることという印象が強く、それが作品全体にやはり幻覚めいた浮遊感を与える。「インド夜想曲」はそんなタブッキの幻覚がもっともおいしい状態で味わえる傑作である。名人芸に達している「さりげない」幻想性の匙加減といい、各々の断片的エピソードの核をなすイメージの美しさといい、絶品としかいいようがない。更にタブッキのもう一つの特徴である小説全体に施された文学的詐術=仕掛けも見事。最終章を読み終えた読者は個々のエピソードの神秘を越えた更なる迷宮へと連れ去られる。タブッキは凡庸な作家のように「説明」(=ご丁寧な謎解き)をしないので、ただ煙に巻かれただけと感じる読者もいるかも知れないが(私も最初はそうだった)、妙に気になって何度も読み返すうちにはまってしまう。それは軽やかで短いタブッキの世界の裏側に、読者のイメージをどこまでも広げて行く懐の広さがあるからだ。タブッキは癖になる。
鏡の向こう
インドの混沌とした空気が伝わってくる。読者は主人公と共に失踪した友人を探しながら、スラム街のホテルやすえた汗の匂いのする夜の病院など、インド各地を旅するだろう。そして、最後の章に行くにしたがい、自分がインドにいるのではなく、鏡の向こう側に迷いこんでいることに気づく・・・そんな感じにさせられる作品である。なんとも不思議な読後感。とてもおもしろい。





