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ハドリアヌス帝の回想 (ユルスナール・セレクション)

ハドリアヌス帝の回想 (ユルスナール・セレクション)
By M. ユルスナール

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  • Amazon.co.jp ランキング: #207899 / 本
  • 発売日: 2001-05
  • 版型: 単行本
  • 379 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
旅とギリシア、芸術と美少年を愛したローマ五賢帝のひとりハドリアヌス。その稀有の生涯を作者が内側から生きて語る「ひとつの夢による肖像」。著者円熟期の最高傑作。

内容(「BOOK」データベースより)
病を自覚し、みずからの治世と命の終焉が遠からぬことをわきまえたひとりの偉大な政治家が正式な皇位継承者への書簡の形を借りた独白に内側からついていけばそれでよく、一度あわせた周波は最後までとぎれることなく読者を導いてゆく。

内容(「MARC」データベースより)
20世紀文学の古典と賞揚されるユルスナールの遺業を6巻に精選。1では、旅とギリシア、芸術と美少年を愛した皇帝・ハドリアヌスの稀有の生涯を作者が内側から生きて語る、「ハドリアヌス帝の回想」を収録。


カスタマーレビュー

長年の愛読書5
二〇年以上前、図書館で発見して以来の愛読書です。ついにフランス語初版にまで手をだしました。
ローマを訪れたときは、ミケランジェロも見ず、チボリのハドリアヌス帝の別荘遺跡までいき、危うく土の穴に落ちそうになったりしながら、往時を偲びました。
多田さんの翻訳は、故・渋沢龍彦氏も賛美される見事な流麗なものです。

この作品の影響力は相当強く、フランスで一番人気のあるローマ皇帝をハドリアヌスにしたとさえいわれています。

塩野七生「ローマ人の物語」でも、文学作品として一級と評価しながら、ユルスナルの眼を通してしかハドリアヌスを見れなくなるのは危険であるように書いていたようです。この小説が歴史とそのものと間違わせるほどの喚起力・魅力をもつ証拠でしょう。

ユルスナールが作り上げたハドリアヌス自体の人格には魅せられますが、果たして歴史的事実にどれだけ近いか不安になるほどです。この沈着賢明現実的でありながら進歩的、しかも感情豊かな人格を前にすると、人生の教科書にしたくなる危険性さえあるのではないでしょうか?

ローマ皇帝の「声」、そして彼と共に生きた作家5
マルグリット・ユルスナールによるこの作品は、死を迎えようとしているローマ皇帝プブリウス・アエリウス・ハドリアヌスが、自らの生涯を養子マルクス・アウレリウス(『自省録』で著名なローマ皇帝)に対して書簡に於いて語るものです。一兵卒時の血気盛んで奔放な生活、トラヤヌス帝死後のローマ帝国の相続、深い信頼を寄せていたトラヤヌスの妻プロティナ、治世時の精力的な活動、その間も絶えず止まぬ思考、生涯を通して続く数々の愛の営み、そして死に対する深い観想。
詳細な調査に基づいてユルスナールが物したこの作品は、彼女の重厚な文章とあいまって、正に一皇帝の「声」として読者の脳裏に響き渡ります。この「声」が何処か遠く深いところから響いて来るように感じられる理由は、ユルスナールの次の言葉が明らかにしています。「確かなのは、私の努力がすべて、自分自身の人格を放棄し消去して登場人物にわが身をゆだね、その声を聞くことに注がれているということです」(『目を見開いて』第11章)。そして、彼女の作品中の登場人物のなかでも、ハドリアヌスとゼノン(『黒の過程』の主人公)は彼女の心の内で共に生き続けたのです。
yamashinaさんのレビューで言及されていた、塩野七生の「ユルスナールの眼を通してしかハドリアヌスを見ることができなくなることは危険である」という発言に対しては、ユルスナール自身の言葉による補完が必要でしょう。「(論考あるいは歴史書ではなく、小説を書くのは)ひとりの人間あるいは複数の人びとを通してはじめて伝えられるある種の視角、ある種の世界像、人間の条件のある種の描写を提供したかったからです」(『目を見開いて』第5章)。つまり、塩野七生も「ある種の視覚、ある種の世界像」を提示する作家達の一人なのです。

まるでハドリアヌス帝が自身の肉声を綴ったかのような、ユルスナール畢生の名作5
塩野七生氏「ローマ人の物語」9巻で一部引用されていたユルスナール畢生の名作です。ハドリアヌスが軍で出世し、帝位に登極するまで、その直後の四執政官経験者粛清事件、帝国を巡察する旅の日々(地中海を夜航海する場面・砂漠の夜を過ごす場面は実に美しい情景描写です)、そして後継者選定の苦悩、死期を自覚しての達観に至るまで、ほぼ忠実に史実そして帝の内面を帝自身が綴ったかのようなモノローグで構成されています。全編を通じて漂う寂寥感が本書をたまらなく魅力あるものにしています。特に「ローマ人の物語」のファンの方には是非一読することをお薦めします。