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孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
By 有栖川 有栖

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  • 発売日: 1996-08
  • 版型: 文庫
  • 402 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
英都大学推理研初の女性会員マリアと共に南海の孤島へ赴いた江神部長とアリス。島に点在するモアイ像のパズルを解けば時価数億円のダイヤが手に入るとあって、早速宝捜しを始める三人。折悪しく嵐となった夜、滞在客のふたりが凶弾に斃れる。救援を呼ぼうにも無線機が破壊され、絶海の孤島に取り残されたアリスたちを更なる悲劇が襲う!

内容(「BOOK」データベースより)
紅一点会員のマリアが提供した“余りに推理研的な”夏休み―旅費稼ぎのバイトに憂き身をやつし、江神部長以下三名、宝捜しパズルに挑むべく赴いた南海の孤島。バカンスに集う男女、わけありの三年前、連絡船の再来は五日後。第一夜は平穏裏に更けるが、折しも嵐の第二夜、漠とした不安感は唐突に痛ましい現実へと形を変える。晨星落々、青空に陽光が戻っても心は晴れない…。


カスタマーレビュー

江神二郎の鋭敏な才知が謎を打ち砕く4
英都大学推理研に加入した紅一点マリアの誘いで南の島でパズル遊戯に耽る事になった江神部
長とアリス。そして型通りの展開に為るわけでして。本書は題名にもパズルと冠してある様に
内容の事象にも、孤島の盤上にピースを埋め込むような雰囲気があって愉しい。
島中にてんでバラバラに散る25体のモアイとゆう着想だけでユニークだが、それに挑戦する三
人の姿(特にアリスとマリア)にコチラの気分も弾むなあ。いかにも本格って雰囲気・構想も
魅力だが、そこに付随してくる瑞々しい精神は特筆ものですネ。

そして圧巻であり納得のラストを演出する江神二郎。幕間なく進み完結したと思われた悲劇と
いう虚像を俊敏な弁別によってぶっ壊し(!)、そして華麗に再構成しパズルの如く完成へ導い
てくれる。江神さん....カッコよすぎます。。あなたも贅沢な頭脳労働に耽ってみませんか?

個人的ベスト5
個人的に女王国も含めた江神シリーズ中の白眉だと思うのが本書だ。

氏らしく、論理の糸がたぐられていく興奮はシリーズ随一ではないだろうか。

結末まで読めば、あらゆるジーンは必要不可欠であったことがわかる。


とりわけ中原中也の詩を引用しつつ夜の海に漕ぎだすシーンは詩とのシンクロが非常に印象的な場面だが、少し恋愛要素が強すぎ陳腐な気もしたものだ。

だが読了してあのシーンさえロジックを組み立てる1つのブロックだったことに気付かされる。
心温まるシーンの裏には、冷たい論理の罠が張り巡らされている。

よく本格ミステリは人が描けていないと言われるが、上質なミステリにおいては人の感情の機微や人間性さえパズルの一つのピースに過ぎないのがよく分かる。

パズルはモアイだけではない。人と彼らの性格や発言までもが、この孤島のパズルだ。

恋愛部分が好き4
アリスとマリアの恋愛に当たる部分が邪魔と感じる人もいるようだ。たしかに本格トリックに、そういった要素は野暮というか軽く感じられるかもしれないが、いや、それゆえに物語性が増したのではないかと思う。有栖川はこの世代の本格ミステリー作家のなかで文章がうまく、またストーリーメーカーとしても上レベルをいく作家と思っている。もちろんミステリー部分もうまくトリックも考え抜かれた代物である。そこへ恋愛が絡み、とても味わい深い一つの「小説」に完成されてると思うが。実際マリアの人物像はすばらしく描かれており好みの性格だ。