日本人の目玉 (ちくま学芸文庫)
|
| 価格: |
おすすめ度:
商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #561431 / 本
- 発売日: 2005-06-08
- 版型: 文庫
- 583 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
「虚子と放哉の間で理論を、西田と九鬼の間で思考を、青山と州之内の間で美を、安吾と三島の間で構成を、川端において散文を問い、そして小林秀雄にたどりついた」。俳句、哲学、美術、演劇、小説、そして文芸批評。巨人たちへの敬虔なオマージュでなく、むしろ今なおわれわれを強くとらえてやまない多彩なディスクールを横断しながら、彼らの反面が隠し持っている途方もない異形性、不気味さだけがもちうる強度を露わにしてみせる。ロゴスの節度ではなく、アレーティアの脅威にこそ捧げられた、異色の近代日本批評史、恐るべき思考の力業。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
福田 和也
1960年、東京生まれ。慶応義塾大学大学院修士課程修了。慶応義塾大学環境情報学部教授。『日本の家郷』で三島由紀夫文学賞、『甘美な人生』で平林たい子賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
いやはや……
何はともあれ、まずはめでたい、と言わせて欲しい。
さて、本書は処女作『奇妙な廃墟』と双璧を成す、
福田和也の評論集である。
直喩的にも、隠喩的にも、日本人の目玉とは何かを問う
その内容は、文庫版の表紙が示す通り不穏であり、
全編に渡って刺激に充ち満ちている。
わけても小説形式の川端康成論で、一種のパンク精神を
見いだす様に感嘆させられた。
小林秀雄論や洲之内徹、碧梧桐など、読者によって
様々なお気に入りを見いだすことができるだろう。
あなたが真の意味で思索を楽しめる人なら、
触れて後悔することはまず無いと言い切れる。
それだけの評論だ。とにかく、文庫化が喜ばしい限り。
福田氏の最高傑作
多産の評論家、福田和也の最高傑作。
この人の上梓するものは玉石混交、というか、石、偽玉が圧倒的に多いが、コレは心血を注いでマジメに書いている。
ただ、それだけにこの人の限界も残酷なまでに漏出している。
不動の保守主義者たるべしとの思いの強さは他の比較的マジメに書いた著書にも散見されるが、どうしても評論の眼が「不動」にはなれない。
立ち位置が常に変化し、視点が衛星のように対象の周辺部をクルクル回遊している。
私はこの人は本質的に阿佐田哲也や田中小実昌らと同じカテゴリーに属していると思う。
ただ、かれらのように己の中の抜き差しがたいインチキ性を自覚していない(ように見える)ところが氏の現代性(商業主義)を明示している。
福田和也の目玉
福田和也の最高傑作の一つであり、師匠の江藤淳を若くして超えようとした野心的な一冊。
白眉は川端論と思う。
川端は、人間や、その生命や、善や、道徳など、何も信じていない。
その彼岸にある美しさのみが真実である、と。
決して日本の伝統美を謳いあげたのではない、この川端のパンク・暴力性を看破できるのは、この著者ならではである。
また、本書では洲之内徹論もすばらしい。
多作で知られる著者ではあるが、それでも著者が日本文学の、もっと言えば日本語で書かれた文章の最高の目利きの一人であるからこそ、彼の雑誌から多くの作家が生まれているのだろう。著者の眼力を示す格好の一冊。




