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原典訳マハーバーラタ〈2〉 (ちくま学芸文庫)

原典訳マハーバーラタ〈2〉 (ちくま学芸文庫)
From 筑摩書房

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  • 発売日: 2002-03
  • 版型: 文庫
  • 456 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
パーンチャーラ国の王女がパーンダヴァの五人の兄弟の共通の妻になる。パーンダヴァの名声は高く、国が繁栄したので、クル族の長子ドゥルヨーダナはこれを嫉み、叔父シャクニと謀ってユディシティラ(パーンダヴァの長兄)を賭博に招いて破り、王国と財産を奪い、生理期間中の妻を裸で引きまわして辱しめた。パーンダヴァたちは二度目の賭博にも敗れ、十二年間森で暮らし、十三年目には人に知られぬよう生活をしなければならなくなった。パーンダヴァたちはカーミヤカの森へ向けて出発した。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
上村 勝彦
1944年、東京浅草に生まれる。1967年、東京大学文学部卒業。1970年、同大学院人文科学研究科(印度哲学)修士課程修了。サンスクリット詩学専攻。現在、東京大学東洋文化研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

マハーバーラタ25
 マハーバーラタのすばらしさは言うまでもない。また、そのあたりのすばらしさは原典訳マハーバーラタのシリーズ、第1巻のレビュー・ライターによって書かれているので、ここでは省かせていただく。

 “原典訳マハーバーラタ第2巻”はサンスクリット版の第一巻“最初の巻(アーディ・パルヴァン)”の後半部分と同じくサンスクリット版の第二巻“集会の巻(サバー・パルヴァン)”の翻訳で構成されている。原典訳の第1巻翻訳の内容が、神話、民話、書き出しの契機、バラタ族の起源など、主に予備知識的な内容に紙面を割いていたのに対して、こちらの第2巻はそのほとんどがマハーバーラタ本編の内容となっている。また後続の巻に見られるような、学術問答や教典説教的な内容の会話も比較的少なくなっている。そのためか、他の巻に比べてストーリー展開も早く、また他の巻のように挿話による話のとぎれが少ないためか、より取っつき易いはずである。

 登場人物の性格が飲み込めてくるのもまたこの巻からである。登場人物の心理や行動が詩的に洗練されて描かれ、第1巻よりもさらに文学的である。特に心理描写に至っては、古代の作品に於いてまれにみる繊細な描かれ方である。多少のネタバレをおそれずその例を挙げるとすれば、羅刹女ヒディンバーとパンダヴァの五王子の一人ビーマセーナとの恋である。食人鬼という立場であるヒディンバーと食べられるヒトであるビーマセーナのそれぞれの立場を超えた恋の描かれ方はまさに現代文学に劣らぬ繊細な心理描写である。
 同時に登場人物の個性ある駆け引きや、力強い動き、女達の奥ゆかしさは多少の時代遅れを引きずってはいる物の、現代人にとっても共感できる部分があるかもしれない。

 現代に於いて、このような壮大な作品が2000年の時を超えて、日本語という全くサンスクリット語と互換性のない言語のしかも口語というスタイルで書かれた単行本を、書店で入手でき、自宅で読めるというのは、ある意味奇跡である。