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仕事と日本人 (ちくま新書)

仕事と日本人 (ちくま新書)
By 武田 晴人

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  • 発売日: 2008-01
  • 版型: 新書
  • 299 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
資本主義であれ社会主義であれ、近代以降のあらゆる国家は「労働」を賛美してきた。しかし、こうした仕事観が常識となったのは、それほど昔のことではない。私たちの御先祖様は、金回りがよくなると、仕事を勝手に休んでいた。彼らは「労働の主人」たりえたのだ。それに比べて、現代の労働のなんと窮屈なことか。仕事の姿は、「会社」の誕生によって大きく変わったのである―。江戸時代から現代までの仕事のあり方をたどり、近代的な労働観を超える道を探る「仕事」の日本史200年。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
武田 晴人
1949年生まれ。経済学博士。専攻は日本経済史。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。現在、同大学院経済学研究科教授。近世から現代までの経済現象をさまざまな視角から研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

「仕事観」の整理のために4
本書のはしがきで引用される「働きマン」のなかのセリフ「私は仕事したな、と思って死にたい」。
このセリフは、幸せな職業人生を送った(または現に送りつつある)、極限られた人々にしか勝ち取れない言葉では、本来はないはずだ。人生の最も活動的な時代、睡眠以上の時間を費やす「仕事」に対して、賃金という対価を得るため以上の意味を見出せない現実に本当に心のそこから満足している、といえる人は少ないのではないだろうか。
本書は「働くこと」が即「生きること」であった時代から日本における労働観の変遷をたどり、労働=生産管理の必要上生じた「就労時間」や「賃金」、「残業」といった近代的諸概念が、「働くこと」の本質的意味を見失わせているのではないか、と問いかける。もちろんその答えは読者一人一人の考え次第。「飯の種」として割り切って働くことを否定するわけではない。
どんな結論に至るにせよ、管理職も新入社員も、定年間近の方も非正規の方も、時にはこんな本を読んで、「自分が何のために働いているか」について考えてみることも大事だと思う。

さまざまな視点から経済を紹介4
労働に関する人類、特に日本人の捉え方の変遷とそれをもたらした社会環境について、多くの引用を交えながら解説しています。
経済学での「労働は苦痛」という「常識」はマルクス経済学が生み出したというのは慧眼でした。また報酬のない労働について評価しない経済学というのも然り。経済は私にとっては専門外ですが、楽しく読めましたし、さまざまな新しい視点も参考となりました。
ただ引用したグラフや表に発表年の記載がないため、いつの時代の話なのか、注意して本文を読んでいないと混乱することがかなりありました。

歴史的経緯を疎かにしてはなりませぬ5
労働経済学者による近年の労働問題(若年無業者層問題や過労死といった両極端なものね)
についての新たな切り口の提示です。

最終章までは、「労働」という言葉の系譜学や、「残業」や「給与」の歴史的な形成経緯を
追跡し、最終章で著者の見解が提示されます。その過程で、労働環境の国際比較や通時
的な比較にも触れられ、非常にもりだくさんな内容になっています。

歴史的な形成経緯を追うところは、さほど重厚な文献サーベイに裏打ちされたものとはいえ
ないし、用語の系譜学的な部分でも、必ずしもそのテーマでの浩瀚な研究をベースにしてい
るわけでもなく、行論の中で触れられる国際比較も、ややアトランダムな印象。
しかし、これらは新書という形態上十分許容できるかと。
むしろ、従来、経済的な数字で計られ、政策的な(というかむしろ党派的な)観点からのみ
俎上にあがっていた問題に、比較と歴史的考察という別の理路を示している点が重要。

著者自身の見解にしても、取り上げられた問題に対する明確な態度表明とか処方箋提示と
いった類のものではないので、「その先は??」という置いて行かれた感が漂うものでは
ありますが、しかし、新たな方向性を示した、ということが重要。

諸々勘案して、案件に対して、自分でちゃんと考えていく手掛かりを示してくれているとい
う点で、とってもお奨め中。それは、上述のような理路や方向性を示すことによって、扱わ
れている問題群について考えるにあたって、ついつい陥りがちな、視野狭窄に陥っていたこ
とに気づかせてくれるから。
毎朝「会社行くの嫌〜」とか言ってちゃいけませんな(←自戒)。