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アジア主義を問いなおす (ちくま新書)

アジア主義を問いなおす (ちくま新書)
By 井上 寿一

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  • 発売日: 2006-08
  • 版型: 新書
  • 251 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
いま、東アジア共同体をめぐる議論が盛んになされている。その一方で、日本は中国、韓国と相互不信を深めつつある。こうした状況は、一九三〇年代の雰囲気と酷似している。当時の日本も、中国との緊張を高めながら満州国を建設し、「東亜協同体」構想を掲げていた。しかも意外なことに、アメリカとの関係が最重要視されていた。では、なぜその努力は実を結ばず、日米戦争が起きてしまったのか?本書は、満州事変から日中戦争への流れを、近代日本の岐路で常に現われた対米協調とアジア主義の相克という視点から振り返り、日本がアジアの地域主義を考えるときの普遍的な課題を浮かび上がらせる。

内容(「MARC」データベースより)
満州事変から日中戦争への流れを、近代日本の岐路で常に現われた対米協調とアジア主義の相克という視点から振り返り、日本がアジアの地域主義を考えるときの普遍的な課題を浮かび上がらせる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
井上 寿一
1956年東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業。同大学大学院法学研究科博士課程、同大学法学部助手などを経て、学習院大学法学部教授。法学博士。主な著書に『危機のなかの協調外交―日中戦争に至る対外政策の形成と展開』(山川出版社、吉田茂賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

1930年代「日中関係」史3
1930年代の日中関係史、あるいは中国に関する日本当局や知識人の言説に興味がある人にお勧めの本。

タイトルは「アジア主義」を掲げるが、実質は1930年代の日中関係史に終始している。当時の日中関係のプロセスを知るには、文章も平易で簡潔であり、もってこいだろう(ちくま新書の坂野潤治さんの著作の影響が少なくない)。けれども、「アジア主義」に興味がある人には、かなり物足りない。というのも、井上さんのおっしゃる「アジア主義」は、端的に言えば「日中提携」のことだからだ。

本論では中国との関係以外、アジア諸国と日本の関係には言及がない。もっぱら日本・満洲・中国・英米のせめぎあいを扱っているだけ(その記述自体からは得るところが大きい)。1930年代の日中関係という「歴史の教訓」のみをもって、今日の東アジア共同体を照射するのは、やや無理がある。

アメリカを巻き込んだかたちでの東アジア共同体という結論部分も、現実的ではあるが、ある意味多くの人が抱いている感覚だろう。やっぱり物足りない。

蛇足を一点。表記ミス、改行時のインデントのミスなど、文字組に関する問題が頻繁に見られたことは残念だった。

賛成できません。1
 この秋、新書、選書をいくつか読んだのですが、本書
にだけはコメントしておかねばと思いました。
 アジア主義とは、かつて竹内好が整理したように、近
代日本の思想的対抗軸の軋みから生じた鬼子のような
もので、これを解きほぐそうとするなら、何より客観的な
歴史考証をもってあたらねばなりません。しかし、歴史
学の現状は、未だそこには到達していないようにみえま
す。(例えば、有馬学『日本の歴史23 帝国の昭和』参
照)その中で、本書が満州国と東洋モンロー主義、そし
て東亜新秩序と大東亜共栄圏、これらの観念と各時期
の史実を関連付けて論じていることは、全く意義のない
こととは思いません。
 ただし、それだけで「アジア主義の歴史的経験の継承」
を言うのは、少し乱暴に過ぎませんか。著者は、現在の
アメリカの覇権主義を上手に受容するための日中主導の
東アジア共同体を提案していますが、もう一方の覇権を
目指しているように見える中国が、これに簡単に同調す
るとはわたしには思えません。同じ夢のような構想なら、
まだ姜尚中さんの「プロジェクトとしての東アジア」(『在
日』)に賭けてみたい気がします。うーん、やっぱり賛成
できないな。

20世紀の「アジア主義」に学び、21世紀の「アジア主義」を考える3
 現代の日本、東アジア、アメリカの関係は1930年代と似ているという。当時の「アジア主義」の生成と展開、そしてその挫折の過程を追跡しながら、現代の我々がどんな『アジア主義』を構築すべきか論じた本。
 アイデアとしては大変けっこうで、過度に保守主義あるいは理想主義に傾かず、詳細な進路を示す。
 強大化する中国とアメリカのはざまで、「東アジア共同体」のあり方について我々は議論しなければならない。そもそもペリーの来航からして、対中国貿易との絡みによるものであって、近代の日本・中国・アメリカの関係は切っても切れないものなのである。