失われた時を求めて〈1 第1篇〉スワン家のほうへ (ちくま文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #27291 / 本
- 発売日: 1992-09
- 版型: 文庫
- 759 ページ
カスタマーレビュー
手軽に読める
今まで「失われた時を求めて」を読もうとすると、 大きなハードカバーしか無かった。 この文庫本が出て、手軽に購入できるようになった。 また、通勤電車の中で読めるのもうれしい。 内容が内容なので、自分で所有してゆっくりと 読まないとなかなか読了できないので、 この価格で出た意義は大きいと思う。 続きも購入したいと思う。
めげそうなあなたへ
マイペースな「私」、気まぐれな哲学、人名の嵐に遭って、もう耐えられないかもと思う方に、全巻をよろよろと読了した者から禁じ手を。この700頁に渡る第一巻で特に銘記すべきは次の4箇所だけです。
1.45頁10行~72頁1行のまだ子供の「私」がママのおやすみのキスを待ち焦がれる部分。2.74頁6行~79頁15行のマドレーヌを浸した紅茶が「私」の記憶を呼び起こす部分。3.301頁11行~304頁15行のマルタンヴィルの鐘塔の描写。4.580頁18行~585頁2行の「私」の年上の友人がヴァントゥイユのソナタを聞く部分。(中でも2が全体を通して最も比重が高い)そして、一巻だけで終わりにしたい方には特別に710頁13行~721頁1行の中年になってボワ・ド・ブローニュを再訪した「私」の感慨。
人名は必要なときには後で再度訳注が付くので暗記は不要です。上記の部分から興味が広がったり、読了後に待つ極上の味を共有できる方が一人でも増えますように。
意識の流れに身をひたす
マルセル・プルーストによる大長編小説。第一部「スワン家のほうへ」は、三つの部分からなる。第一部「コンブレー」では、主人公が幼年時代を過ごしたコンブレーの思い出が主体となり、寝る前の母のくちづけ、家政婦フランソワーズのマドレーヌの香りとコンブレーの連想、コンブレーの日曜日、そして、メゼグリーズとゲルマント二つの方角への散歩の四つの主題が語られる。
第二部「スワンの恋」は、時代が15年ほど遡り、エレガンスの権化であるスワンが、ココットのオデットに熱を上げ、遂には結婚するに至るいきさつを紹介する。
第三部「土地の名、――名」では、いくつかの土地の名の連想から、旅行に出る計画を立てる少年時代の主人公がいるが、健康上の理由から医師にとめられる。仕方なくシャン・ゼリゼに遊びに行った彼は、スワンの娘ジルベルトと知り合いになり、恋に落ちる。そして、今に時代は移り、主人公は昔を振り返って、時の流れに愕然とする……。
この長大な小説のエッセンスを一言で要約するのは不可能に近いです。話の筋の進行とともに、要所要所で主人公の回想や、事態に関する詳細な分析が入り、その組み合わせの独特なバランスの上に、全体が成り立っているからです。強いて言えば、タイトル自体にエッセンスがつまっているように思います。それなりに裕福な家に生まれ育った、身体の弱い一人息子が文学に目覚めていく、その歴史をつぶさに見ていく、というところでしょうか。
私自身は、プルーストの、人間観察眼の鋭さ、また、意識の流れを徹底的に追う、その緻密さに惹かれました。一つの感情の動きを、その微細な原因にいたるまで、何ページもの情報量を割いて、徹底的に見つめぬくスタイルは、この小説ならではでしょう。主人公の意識の流れに身をまかせ、彼の感情の動きに同化して読んでいくと、百年前のフランス人と、現代に生きる自分の意識がシンクロする、そんな書物です。




