東京エレジー (ちくま文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #553286 / 本
- 発売日: 1989-07
- 版型: 文庫
- 196 ページ
カスタマーレビュー
絵は見事だが「ガロ」的調和の範囲内
村上春樹との共同作業で作品を目にする機会の多いイラストレーターのまんが集。これ以上は省略できないほど切りつめた線で、高度成長前の東京やその近郊のまちを叙情的に描く。一本の線がなまめかしい。その絵は滝田ゆうよりもリアル、蛭子能収よりもモダン。洗練と素朴とが共存する希有な絵である。
ただ敢えて「ガロ」的なステレオタイプと言うこともできる。また彼が描く少年時代の思い出は、私自身の思い出と重ならない部分が多い。小さい頃の私はいつも何かに脅えており、大きくなってからの私には、目指すこととなすべきことが常にあった。私にとっては、刹那の楽しみよりも日常の平和が必須であり、だから私の記憶には血の匂いなどなく、高校時代には世俗の楽しみも酒煙草も無縁であった。そして、これはとても幸運なことであったと思う。
つまり、現実の「過去」は、こうしたセピア調の回顧談ほどには甘くないのである。ノスタルジアに酔うのもいいが、私にはどこか別の世界を覗いているようで、入り込むことの難しい作品であった。
「ぼく」という存在が気になる。。
ちくま文庫のまんが好きだ。水木しげる妖怪まんが集、やまだ紫昔せっせと読んだっけ。安西水丸といえば、私のなかで村上春樹と安西水丸コンビの印象が強烈なため、ストーリーがある漫画を読むのは初めて。いつも話題の中心ではなく脇にいる「ぼく」という存在に共感してしまう。

