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組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか
By 菊澤 研宗

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  • Amazon.co.jp ランキング: #129907 / 本
  • 発売日: 2000-11
  • 版型: 単行本
  • 270 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
 本書は、「組織の経済学」にもとづいて旧日本軍の不条理な行動を分析した書です。 軍事の歴史を経営・経済学理論で分析したという点で、本書は異端書です。また、本書は、あの不朽の名著「失敗の本質」と逆の主張をしている点にも特徴があります。
 これまでの多くの軍事史家は、日本軍が非合理であったために失敗したとしていますが、本書では日本軍が合理的に失敗したことを理論的に説明しています。とくに、本書ではその典型的な事例として「ガダルカナル戦での日本軍の失敗」と「インパール作戦での日本軍の失敗」を分析しております。
 この日本軍と同じ不条理な現象が、実は現代の日本企業にも起こっているように思います。今日多発している企業の不正も、無知や不道徳さから起こっているのではなく、むしろ不正であることを十分知りつつ、合理的に行っているのであり、非効率であることを知りつつ、合理的に行っているのではないかと思います。
 このような会社組織の不条理に悩まされている社会人の方々に、ぜひ一度読んでもらいたいと思います。そして、このような組織の不条理からいかにして脱出するかを知りたい人は、本書の続編である次の本を読んでいただきたいと思います。

 菊澤研宗著『命令違反が組織を伸ばす』光文社新書 2007年  

内容(「BOOK」データベースより)
ガダルカナル、インパール…その作戦選択は、合理的な判断の結果だった。日本軍に内在する非合理性が導いたもの、戦場という異常な状況でのみ発生する、過去の例外的な行動―とされてきた不条理な行動を、最新の「組織の経済学」理論で読みなおす。

内容(「MARC」データベースより)
現代の企業・官僚組織と、日本陸軍。そこには、変わらぬ組織の病理が潜んでいる。不条理な行動に導く原因は、人間の非合理性にあるのではなく、実は、人間の合理性にあった。不条理な行動を「組織の経済学」理論で読み直す。


カスタマーレビュー

あらゆる組織人の必読本5
 一般に、勤勉かつ優秀な人材を集め、最高の教育を施し、考え得るもっとも合理的な行動をとれば、どんな組織でもその分野で勝者となりうる。これが一見真理のように見えることを否定する人はいないだろう。しかし、現実は必ずしもそうではない。それは、恐らく組織人として生活した経験のある人ならば思い当たる例が身近にも存在しているはずである。

 では、なぜそうなるのか?  この問題に対し、最新の経営学理論を用い、かつて日本で屈指の「優秀を指向した組織」であったにもかかわらず無残な敗北を喫した日本陸軍を分析することで一つの妥当性のある解答を示したのが、菊沢氏の本書である。

 かつて日本陸軍がその幹部候補にきわめて充実した教育を行ったことはよく知られている。にもかかわらず、なぜ太平洋戦線で緒戦はともかく、あれだけの敗戦を重ねたのか?「補給軽視」「特定戦術に固執」今までの戦史書の常套文句である。しかし、もともと優秀な上に充実した教育を受けた参謀達がなぜ同じ失敗を繰り返さざるをえなかったのか?本書の斬新さは、これを経営学理論から説明したことにある。

 本書の斬新さはもう一つ、人間とは不合理性を必ず有した存在である、という前提に立っていることである。今までのこうした類書は、意思決定をする人間は、完全に合理的に行動しているという前提で、どのようにかつて振る舞い、また振舞うべきか、と論じてきた。本書では、それが時には組織を滅ぼすことがありうることを証明している。

 これら以外にも、新たな驚きが本書には満ちている。

 結局、組織とは何か。その中での戦略、意思決定はいかにあるべきか。伝統的な戦略本における解答では満足できない人は、本書により新たな考える視点を得る事ができるだろう。

軍事学と経済学の見事な融合4
 「なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか」の菊澤氏による日本陸軍の研究書である。本来は経営学者である菊澤氏が、防衛大学で教鞭を執った際に、WW2での旧日本陸軍の行動についても経営学の理論で説明が付くことに気が付いたとのこと。
 その理論は先の書と同じなのでここでは省略するが、限定合理的でしかない人間が自分は完全合理的であると錯覚することにより、組織としては非効率で非倫理的な結果を招くのである。この不条理の例としてガダルカナル戦・インパール作戦を分析している。逆に限定合理的なことを自覚して効率的・倫理的に不条理を回避した例としてジャワ軍政・硫黄島戦・沖縄戦を説明している。
 硫黄島、沖縄での戦いは悲惨な例ではあるが、実は最も米軍に損害と恐怖を与えた最良の作戦であり、ガダルカナルの白兵戦は上層部が優秀で合理的だったから失敗したという結論はユニークで一読の価値がある。優秀で合理的な人物の作戦が失敗し、誤った指示をはぐらかして現場が最適解を見つけた作戦が成功するというのは非常に興味深い。
 さらに現在の企業においても同じ現象が発生していると指摘する。対策として、オープンで批判的な意見交換により新戦略を模索し、漸次的に組織を改編するアプローチこそが組織の生き残り策であると提案する。

新年会をサボってでも読みたい一冊ですよ!5
 21世紀の正月を読書で過ごすにはまたとない一冊だった。「組織の不条理」これは、中間管理職の一人として常々感じることだ。しかし、不条理に対して、20世紀までの私は個人的な憤懣の域を出たことがなかった。分析し、解決するツールを持たなかったためだ。20世紀は組織の不条理にやり場のない憤りを押し殺してきた中間管理職の方々、公務員、私企業は問わない。新年会を一つサボってでも読む価値がある。組織の不条理に対する憤りを、改革するエネルギーに還元できる可能性を本書から得ることができる。組織の不条理を分析し、克服する武器を提示してくれているからだ。本書は学究の世界の成果を現実の組織経営上の問題点へのアプローチへと見事に融合させている。では組織の不条理を克服するにはどうすればいいのか?その問いにも著者は明確な答えを用意している。これについては読んでからのお楽しみとしておくべきであろう。

 組織経営については様々な著作が出ている。その多くが、人間が完全合理的に行動できることを前提にして、分析、対策を論じている。読者にしてみれば、「それはそのとおりなんだけどね。でもね。」と言いたくなるものが多い。しかし、本書はそうした「あるべき論」とは一線を画している。その分析手法は、従来の研究に見られた、「人間が完全合理的に行動できる」という前提に立つものではなく、「人間は機会主義的であり、限定合理的である」という現実に立脚した分析である。そして嬉しいことに「完全合理的」、「限定合理的」、「機会主義」といった用語も本書では丁寧に解説されているので、私のような組織経営論には疎い者でも容易に理解できるように工夫されている。

 新制度派の組織分析手法を用いながら、「組織の不条理」の典型であるインパール作戦やガダルカナル戦を分析し、結果として非合理的でデタラメ極まりない作戦が、意思決定の各局面では、緻密なコスト計算に基づいた合理的なものであったことを指摘している。また、失敗例の分析に留まらず、組織の不条理を克服した例として硫黄島戦、沖縄戦をも分析している。「悲惨な戦闘でした」で片付けられがちなこれらの戦闘について、日本に在る司令部と、戦闘の現場に有る部隊間において、いかにして不条理が発生し、どのようにしてそれらが克服されていったのかを浮き彫りにすることに成功している。

 組織経営論としても、戦史分析としても非常に斬新的であり、読者に解り易いように気配りが随所に施されている。研究され尽くしたかに見えるこの分野を、著者は再度、組織経営論の手法を駆使して歴史からの教訓を掘り起こすことに成功している。

 さらに、戦史分析のみならず、実は日本の企業は今でも大東亜戦争で日本が陥った経営失敗の二の轍を踏みつづけていることも指摘している。分析手法一つで、大東亜戦争時の日本の経営からここまで明確に教訓を抽出し、現在の日本企業の経営分析にもそれらは対応できることを本書は証明している。