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パレード (幻冬舎文庫)

パレード (幻冬舎文庫)
By 吉田 修一

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  • Amazon.co.jp ランキング: #687 / 本
  • 発売日: 2004-04
  • 版型: 文庫
  • 309 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
都内の2LDKに暮らす男女四人の若者達。本音を明かさず、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め……。

内容(「BOOK」データベースより)
都内の2LDKマンションに暮らは男女四人の若者達。「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
吉田 修一
1968年長崎県生まれ。97年「最後の息子」が文学界新人賞を受賞しデビュー。2002年『パレード』(小社刊)で第一五回山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で第一二七回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

世にも奇妙な物語5
もう一度読み返してみようかとはじめて思った本だ。

ふとしたことで一緒に暮らすようになった5人の「平凡な物語」。のはずだった…。最終章を読むまでは…。

お互い干渉せず、適度に親しく毎日を送る。メンバーの一人、大垣内琴美、通称「琴ちゃん」は「上辺だけの付き合い? 私にはそれくらいが丁度いい」と言う。

それが最終章で衝撃的な事実が明らかになる。しかし、衝撃を受けるのは「読者」だけ。そう、すべて知っていたかのように…。

最終章を読み終えて、しばらくたった後再び読み返せばお気楽学生の良介も、酒癖の悪い未来も、怪しい少年サトルも、面倒見の良い直樹も、そして琴ちゃんの言葉もとても不気味なものに思えてくる…。




※この本は5人の語りで書かれていますが、始めから順に呼んでください。でないと意味不明になちゃいます。

みんなは本当に知っていたのだろうか?5
読んだあと、無性に他の人の感想を聞きたくなりました。
「こわい」などという一言に丸め込んでしまうのは、あまりにももったいない気がして
何に怖さを感じたのか、どこに共感できるか、あるいは嫌悪するか
おそらく人それぞれ微妙に違うであろう読後感を知りたくなる、魅力的な小説でした。

魅力的ではありますが、決してグイグイ引き込まれる小説ではありません。
4人の男女が色恋抜きのちょうどよい距離を保ちながら共同生活をする物語は
海外ドラマのようにクールで楽しげですが、特にこれといった事件が起きるわけでもなく
読んでいて少し退屈、だけど面白いという感じです。
登場人物も軽薄でつかみどころがない感じなのですが、それぞれがモノローグで語る本当の自分は意外に真っ当で
馬鹿そうに見えるけど、実はいろんなことを考えているんだねと共感したくなります。

そうやって軽く読んでいるうちに、不思議な違和感が胸に広がってきました。
人に見せている自分と、本当の自分との食い違い
他の人をどこか見下しながら、それに合わせて自分を演出して作るやさしい空間の空虚さ
気楽なドタバタした日常の描写の中に、その違和感が少しずつ広がっていくのがたまらなく不気味で
だから最終章で物語ががらりと転換したときには、こわいというよりも、安心感すら感じました。
退屈だけどスリリングで、現実感がないのにリアル。すごい小説でした。

こわい!!!5
 最初は楽しげに読み出したものの、最終章を読み終えると「ぎゃ-!」と叫び出したくなるほどに恐ろしくなりました。彼らは表面上とても平和に、穏やかに暮らしている。でもそれは他人を干渉しない、いわば「チャットルーム」の中で生活しているようなもんだからだ。5者5様、それぞれに抱えている問題があり、でもそれについて語ることはなく、そこで「話しても良い話題」だけを無意識に選んで暮らしている。こわいのは、暗い部分を持っている彼らではなく、相手に黙認されているという状態。それはストレートに生きられなかった者達が共有する礼儀なのではないかと思いました。共存するにはプライバシーを守ることは不可欠だ。例えば毎日顔を逢わせる同僚でも、休日何をしているかまったく想像が付かない人もいる。ついたとしても自分が作り上げたその人のイメージからくる思い込みかもしれない。

相手が見ている自分が本当の自分ではないように、自分が見ている相手も本当の相手ではないかもしれない。自分が知っているのは、目の前にいる相手のことだけだ。だったらそれを信じるしかないのだけれど…。小説のように真上から人間模様を見ることができたらいいのに。いやそれもつらいか?わからない。なんだかとってもこわくなっていつまでも寝つけなくなる、同時に何度も読み返してしまいそうな不思議な魅力を持った1冊です。