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刑事たちの夏〈上〉 (幻冬舎文庫)

刑事たちの夏〈上〉 (幻冬舎文庫)
By 久間 十義

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  • 発売日: 2000-08
  • 版型: 文庫
  • 390 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
新宿のホテルから大蔵省高官が謎の転落死を遂げた。警視庁捜査一課刑事、松浦洋右はトップの意向に抗して独自捜査を始める……。警察、政財界の不正を暴く刑事魂を描いた傑作ミステリー。

内容(「BOOK」データベースより)
新宿・歌舞伎町のホテルから男が謎の転落死を遂げた。被害者は大蔵省審議官。疑獄事件の容疑者に何度も名を連ねたことのある灰色高官だった。警視庁捜査一課刑事、松浦洋右は所轄署と連携して現場に向かうが、警視庁上層部は強引な捜査終結指令を出す。松浦はこれに抗し独自の捜査を始めた。警察腐敗をまっ先に予言したミステリーの問題作。


カスタマーレビュー

あなどってはいけない4
ポップで軽快な書き出し、美人キャバクラ孃を恋人に持つ警官が主人公、
と言う感じで、何となく大沢在昌の軽快刑事物、なんて読んで行くと。。。
これがなかなか骨がある。

標題通りの刑事達を中心に物語を進めるが、単純な謎解きは、徐々に政
界と官庁、そして警察組織自身を巻き込む巨大な疑獄に発展して行く。
そして結末に至につれ、意外な厳しさをストーリーに加え、まさかの展
開から予想外の収束を迎える。気楽に、ポップに構えていたら、足元を
すくわれた。
主人公を取り巻く登場人物もなかなか魅力的だけど、人物の深堀りは、
政官の巨悪の構造の根深さを解くうちに、ちょっと浅くなってしまった
感がある。人のドラマが微妙に浅くなって終わった気がする。

とは言え、かなりのボリュームの疑獄を良いテンポで描き切って、作者
の今後の活躍が予想できる作品だった。
読後必ずしもさわやかではない結末は、政官の闇の深さを垣間見たせい
によるものだろうか。バブル崩壊後の経済の後始末がいまだ付け切って
ないなぁ、と思わずため息をついてしまったのでした。

構想力と人間模様4
 癒着し合う権力が闇に葬ろうとする事件を,複数の刑事たちがそれぞれの立場から,それぞれの流儀で明らかにしようとする。警察ひとつとっても,諸派閥のキャリアとノンキャリアに属する複数のキャラクターとその生き様が印象深く描き出されている。大がかりな物語であるが,構想は明快かつ巧みであるから,読みやすい。

 もしジャンル分けするならば,社会派推理小説ということになるのだろうが,そのジャンルの名人である松本清張の諸大作と比べても遜色ないと思う。ただ松本のやや陰湿で情緒的な文体にくらべると,ジャーナリストの書く文章のようでクセがなく,楽に読める反面,陰影に乏しい気はする。
 正義を信じて命をかける主人公の姿には,とても共感できた。