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めくるめく世界 (文学の冒険シリーズ)

めくるめく世界 (文学の冒険シリーズ)
By レイナルド・アレナス

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  • 発売日: 1989-05
  • 版型: 単行本
  • 329 ページ

カスタマーレビュー

現実と幻想を行き来する果てしない冒険4
メキシコの理想の国家を目指して苦難を乗り越える実在の修道士の冒険物語。歴史的な記述を大幅に誇張し、何年もの牢獄での暮らしや、そこからの脱走など修道士の人生をコミカルにより生き生きした物語に移していく。とにかく読む人をのめりこませるだけの力のある文章。この小説を書いた後に作者のアレナス自身もキューバでの過酷な刑務所の暮らしや、幾度の失敗を経てアメリカでの亡命等を経験し、どうしてもこの物語とオーバーラップしてしまう不思議。日本やアメリカなどの都市化された場所では生まれない小説です。本当の感動を味わいたい人にお薦めです。

恐るべき語り部の出世作5
キューバを代表する作家アレナスが世界を驚かせた出世作。
69年、かのガルシアマルケス『百年の孤独』とともに、
フランスのメディシス賞を受賞した。

18世紀の実在のメキシコ人神父セルバンド師が、権力に追いたてられ、
新世界から旧世界への途方もない冒険に繰りだす遍歴物語。

騎士道小説、ピカレスク小説、実験小説など多様な手法が用いられる。
また、いわゆる魔術的リアリズムの要素もふくむ奇想天外さの一方で、
権力と異端、抑圧者と被抑圧者の関係が執拗に暴かれる。

アレナスはそこに、弱者の逞しい想像力と不屈のユーモア精神をちりばめる。
そしてそのユーモアには、強者には決して属さない知性が裏打ちされている。
セルバンド師こそまさに『夜になるまえに』のアレナスその人ではないか。

アレナスに関しては、『ユリイカ』01年9月号で特集が組まれており詳しい。
本書は、読み進めると思わずにやりとしてしまう、類稀なる傑作小説である。

買いです。5
ひとりの人物を「物語」として描き佇立させること、そしてその人物の周囲に読者として我々が立つこと。そういった読むという行為の基本的な構図を、この作品を読んでいる間、僕は何度も自分に言い聞かせなければいけませんでした。所与のものとして受け止めている現実のほうこそが、実は別の現実を生きている自分が見ている長い夢、そんななにかのメタファーを連想するほど、我々の現実からあまりにかけ離れている小説空間であるにもかかわらず、時空のよじれに迷い込んだように、僕はこの作品世界に親しみを感じてしまいました。