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イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)

イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)
By トルストイ

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  • 発売日: 2006-10-12
  • 版型: 文庫
  • 364 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
■いま読みたい人間の「死」の秘密、トルストイの後期代表作、待望の新訳

トルストイの文体が持っている「音とリズム」を日本語に移しかえることを意図した新訳。近代小説への懐疑をくぐり抜けた後の、新しい作風を端正な文体で再現する。

内容(「BOOK」データベースより)
19世紀ロシアの一裁判官が、「死」と向かい合う過程で味わう心理的葛藤を鋭く描いた「イワン・イリイチの死」。社会的地位のある地主貴族の主人公が、嫉妬がもとで妻を刺し殺す―。作者の性と愛をめぐる長い葛藤が反映された「クロイツェル・ソナタ」。トルストイの後期中編2作品。

出版社からのコメント
■死、嫉妬、愛…生をめぐる葛藤
19世紀ロシアの一裁判官が、「死」と向かい合う過程で味わう心理的葛藤を鋭く描いた「イワン・イリイチの死」。社会的地位のある地主貴族の主人公が、嫉妬がもとで妻を刺し殺す――。作者の性と愛をめぐる長い葛藤が反映された「クロイツェル・ソナタ」。トルストイの後期中編2作品。


カスタマーレビュー

「イワン・イリイチの死」は凄い小説でした5
古い小説ですし、そんなに長くもありませんが、圧倒される読後感でした。
帝政ロシアのエリート官吏が、ふとしたことで原因不明の病を得て、まだ若いのに死んでゆく。死に瀕した彼の恐怖・悩み・苦しみは、家族も誰も理解してくれない……「私は死んでゆくのに、世界は私に気づいてくれない」と叫びたくなるような、この断絶感は、帝政ロシアであろうが現代の日本であろうが何千年前であろうが変わらない。怖い小説でした。最期にちょっと救われますが、徐々に死んでゆく主人公イワンの心理描写は全編ホラーでしたよ。

怖いものを読みたい方、おすすめです。ただし、単なるホラーではありません。ガーンとした読後感がもれなく付いてきますので、そのつもりで。ソリッドな恐怖、死への畏敬、日常の安心感といったものがぐらつく瞬間に、なんと文庫本を読むだけでアクセスできます。

短編小説家としてのトルストイ5
 長編小説で有名だが実はトルストイの本当の文章スタイルは短編小説(人類の教師と言われたトルストイはその弟子たる人類が途中で投げ出さないような短い話ばかりを実は書いており、長編は全体の数%にすぎない)であり、「神父セルゲイ」など傑作も多い。本作はその中でも最も有名な2作が収録されている。
 「イワン」はいわゆる「「アンナ.カレーニナ」以後」の作品で、この作品以来説教調になった転機の小説としてトルストイ研究では重要な作品。人類史上最も「死」を描いたと言われる臨終のスペシャリストのトルストイらしく、非常にリアル。全体的に人類愛に満ちた切ない内容で、涙なくして読めないが、主人公の友人が主人公の遺体を見て自分が生きているという幸福感を感じた、等人間の本質をえぐる冷徹さが随所にあり、単に泣きの作品になっていないのはさすが。ホスピスの先駆けともなっており、医療関係者にはぜひ読んでもらいたい。
 「クロイツエル」は人類史上最も性欲を糾弾した文学作品と言われ説教師としてのトルストイの真骨頂となっておりトルストイ愛読者でも苦手な人の多い作品。しかし、随所に格調高い文章と鋭い人間観察が見られ、文学作品としての輝きを放っているので、まああまり嫌わずに読んでほしい。

重い病気になったら読み返すかも?5
とりわけ「イワン・イリイチの死」に、深い感銘を受けました。
読者は、死に臨んだ人間の絶対的な孤独の世界にたたき込まれます。
そういう意味では、ホラーがちゃちに思えるくらい、恐ろしい読書体験でした。
しかし、単なる怖さに留まらないところが、大作家トルストイ。
日常生活では思い至らない、人間の深い本質を知らされた気がします。
読み終えた時は、いつか自分が重いやまいを得たとき、もう一度読み返すだろうな、と思いました。
もちろん恐怖体験のためではなく、もっとも苦しい時の救いのよすがとして。