遺書配達人 (光文社文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #960089 / 本
- 発売日: 1986-10
- 版型: 文庫
- 258 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
昭和19年夏、上海で発病した西山民次は死地に赴く13人の遺書を預かり内地に戻った。息子の帰りを待ちきれず息絶えた『墓の女』から、本人に直接遺書を手渡すことになる『受け取り人なし』まで、西山の辿る8年間が14話から成る。西山は有馬自身だ。「戦争体験の風化を厳しく告発した」という著者の言葉が新鮮に甦る名作!
カスタマーレビュー
「靖国問題」の今だからこそ・・・
高校生の頃に読んだ。今井正監督で「ああ声なき友よ」で映画化されている。南方に赴く戦友たちから預かった遺書を、主人公は「配達」していく。14編の連作に登場する遺族。戦争と戦争終結から8年の歳月は遺族とその境遇を変えていく。それでも主人公は、時の流れに抗うかのように、憑かれたように「配達」をやめない・・・。ところで、映画版が2006年7月28日の深夜にテレビで放映されていたのは、意図を感じる。なぜなら、遺族の一人はA級戦犯容疑者であり、その息子の遺書には「父よ、若者が死に、老人が生き残るというのは、僕が許せません、あなたが許せません」と書いてあったから。この作品のリアリティは、「遺族」には個々の人生があり、個々の人々はまた時間の流れや事情によって所与の人生を違えていく。それを、主人公の執念、そして「怨念」によってひとつの物語に束ねていることだ。まるで崩れ行く積み石を必死で支えるように。この作品を思い起こすと、「慰霊」「英霊」という言葉が安易に軽々しく飛び交う昨今の状況がいかに浅ましものかを痛感する。傲慢な国家的慰霊なるものが、主人公の足下にも及ばないものだということが思い知らされる。

