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強権と不安の超大国・ロシア   旧ソ連諸国から見た「光と影」 (光文社新書)

強権と不安の超大国・ロシア 旧ソ連諸国から見た「光と影」 (光文社新書)
By 廣瀬 陽子

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  • 発売日: 2008-02-15
  • 版型: 新書
  • 278 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
光が強ければ強いほど、その影は濃くなるものだ。
「親日ブーム」に沸くロシア、世界一の産油国となり経済発展著しいロシアを「表の顔」とすれば、「裏の顔」は謎に包まれた部分が多い。
暗殺事件・チェチェン紛争・独裁体制......。これらはたしかに深い闇だ。
しかし、旧ソ連新興独立諸国をくまなく訪れ、体当たりで取材してきた筆者は、翻弄される側の国ぐにからロシアを覗いてみることによって、その"KGB的体質"を明るみに出していく----。
外交においても、ビジネスにおいても、かの国ぐにとの関係が深まる今日、本書は日本人が直視しておくべき「現実」である。

内容(「BOOK」データベースより)
光が強ければ強いほど、その影は濃くなるものだ。世界一の産油国となり、経済発展著しいロシアを「表の顔」とすれば、「裏の顔」は謎に包まれた部分が多い。暗殺事件・チェチェン紛争・独裁体制…。これらはたしかに深い闇だ。しかし、旧ソ連新興独立諸国を数多く訪れ、体当たりで調査・研究してきた著者は、翻弄される側の国ぐにからロシアを覗いてみることによって、その“KGB体質”を明るみに出していく―。一方で今、「日本ブーム」が旧ソ連地域で盛んだ。外交においても、ビジネスにおいても、かの国ぐにとの関係が深まる今日、本書は日本人が直視しておくべき「現実」である。

著者について
廣瀬陽子(ひろせようこ)一九七二年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科准教授。専門は国際政治・コーカサス地域研究。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、博士課程単位取得退学。政策・メディア博士(慶應義塾大学)。国連大学秋野フェローとしてアゼルバイジャン在外研究、慶應義塾大学総合政策学部講師などを経て現職。著書に『旧ソ連地域と紛争----石油・民族・テロをめぐる地政学』(慶應義塾大学出版会、二〇〇五年)、共編著に『コーカサスを知るための60章』(明石書店、二〇〇六年)。


カスタマーレビュー

斬新な切り口と実体験で旧ソ連を知る!5
コーカサスの専門家のはずの筆者が「ロシア」を掲げて新書を出したので、驚いたが、視線は主にコーカサスからだったので、納得した。専門の本というよりも、筆者が現地で経験したことから多くのことが述べられていて、大変勉強になった。すごく斬新な切り口だと思った。また、筆者の武勇伝にも驚いた。良くあんな危険なところで現地調査をしてきたと感心した。前の本も読んでいるが、ずいぶん苦労して書いたんだろうなと、思い、前の本に対しても見方が変わった。旧ソ連に関心がある人、ない人、どちらにとっても、非常に楽しめ、かつ勉強になる本だと思う。あっという間に読み終えてしまった。きちんとした基礎を持つ専門家がこういう一般向けの斬新な切り口での本を出版するのは大変意義が大きいと思う。

ロシアのCIS外交を鋭く照射5
日本の隣国、米・中・朝の政治に関する新書はそれこそ毎月のように出ているが、残る隣国、ロシアはそれと比べ、日本の関心が薄いせいか、目立って少ない。まして、日本と全く関係のないナゴルノ・ガラバフ戦争や、旧ソ連に散らばる、世界のどこも承認しない未承認国家について、新書で読む機会があるとは思わなかった。本書は、旧ソ連諸国におけるロシアの外交政策を概観している。ロシアを論じるはずなのにロシアの外縁の国々を中心に記していて、一見遠回りに見えるのだが、本書を通して見る旧ソ連諸国から、まるで鏡のようにロシア外交の狡猾さ、強面さが写し出される。

著者は、日本では考えられないハプニング続きの留学経験(これがエッセイやコラム的に描かれていて面白い)から筆を起こし、独裁が続く未承認国家・沿ドニエストル国の奇妙な監視社会を記した。コーカサス諸国、沿ドニエストルも入国が非常に難しいだけに日本と全く異なる文化の著述だけでも興味深かったが、利害が複雑に錯綜するコーカサス諸国同士、および対露関係が整理されてよかった。グルジア内の未承認国家の大統領選結果にロシアは異議を唱え、やり直しをさせる。この強権外交ではCIS諸国民がロシアを嫌うのも当然だと思った。しかし、CIS国民はロシアと付き合わざるを得ない。なぜなら、ロシアはCISに自国内の紛争やエネルギー供給などのカードを振りかざして従属を迫るからだ。ロシアとの距離感はCISにとって国家の根幹を成す重要な政策である。

読了して、戦争、失政続きでネポティズム、スパイ体質が蔓延し、有能な人材の国外流出が止まらず疲弊しきったコーカサス諸国の未来の暗さを再認識した。著者は民主的なシステムの構築で国家建設を行うために日本もコミットすべきと訴えるが、展望がない国家に希望を持つというのは容易ではないと思う。著者への考えはさておき、本書は分かりやすさと、情勢分析の質の高さが両立している。巻末にはCISの域内グループを整理した表があり、旧ソ連内にこれほど多くの国家間組織があることをはじめて知った。著者自身もロシアへの警戒感が強く感じられたほか、エピローグのロシア政治は専門外だからか本書を手に取る人にとってはやや平凡に感じそうな展望ではあったが、全体を見ると、質の高い報告になっている。

重みのある内容5
先日の南オセチアをめぐるロシアとグルジアの紛争の背景を知りたいと思い、この本を買った。世界中で最も日本人になじみの薄い地域の深刻な事情をわかりやすく、実体験も盛り込みつつ書いてある。
私が最も興味深く読んだのは、「未承認国家」の一つ「沿ドニエストル」についての記述。大国ロシアが民族紛争を種に自らの勢力を確保・拡大する過程が活写されている。