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不幸な子供

不幸な子供
By エドワード ゴーリー

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  • 発売日: 2001-09
  • 版型: 単行本

エディターレビュー

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   人気のゴーリー、邦訳第4弾の本書は、文字どおり不幸な少女の物語。

   ある日、軍人の父親にアフリカ行きの命令がきた。それが、主人公シャーロットの不幸のはじまりだ。以来、父の戦死、落胆してたちまちやつれ死ぬ母、ただ1人頼みの叔父は、こともあろうにレンガの落下で脳天を割られ、あっという間に孤児になるシャーロット。寄宿学校へ入れられるが、そこでもいじめられて脱走、悪人の中へ。ところが、死んだと思われていた父が生還。あろうことかそれがさらなる不幸のきっかけになろうとは…。

   苦労や不幸があっても、ハッピーエンドでカタルシスにもっていくのがお話の定型だとすれば、これは、ページを繰るたび不幸また不幸、不幸のどん底へまっしぐらの、型破りなお話。でも、これだけ徹底して悪いことが続くと、「ここまでやるか!」といっそ小気味よく、しまいに笑いがこみあげて、それなりに浄化もされるから不思議だ。有無を言わさずどんどん進むテンポのせいか、気品ある訳文のおかげか、それとも、私たちの心の奥に隠れていた、人の不幸を喜ぶ悪いタネが、意地悪なゴーリーに暴かれての苦笑なのか。

   白黒の、緻密なペン画の1コマごとに、トカゲとコウモリが合わさったような、怪しい生き物が見え隠れしている。そいつが、シャーロットの不幸をいつものぞいている。そしてその小怪獣の目は、絵の中から、本書を見ている私たちのことも、見つめ返してくるようだ。(中村えつこ)

内容(「MARC」データベースより)
あるところにシャーロット・ソフィアという女の子がおりました…。トレードマークの微細な線画で圧倒的な背景を描き込み、1人の少女の不幸を悪趣味すれすれまでに描いたエドワード・ゴーリーの傑作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ゴーリー,エドワード
1925年、シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表している。またE・リアやS・ベケットらの作品の挿画や、劇場の舞台美術なども手がけた。その幻想的な作風と、アナグラムを用いた(Ogdred Wearyなど)ペン・ネームを使い分け、たくさんの私家版も出版したために多くの熱狂的コレクターを生みだした。2000年4月15日、心臓発作のため死去。享年75歳

柴田 元幸
1954年、東京生まれ。アメリカ文学研究者、翻訳者。東京大学文学部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

なんだこれという気持ちが大事4
これは、不幸な子を描いた、不幸なお話絵本です。
例えば、主人公の女の子が地下に監禁されてしまう部分。
もちろん監禁中の一切の描写はされていませんが、何となく行間(ページ間?)の状況を予測してしまう怖さがあります。
この子は、ページとページの間にも、我々の知らない不幸を体験しているのではないか?という怖さです。
そうして我々の想像の中で無限大に肥大する彼女の不幸は、圧倒的に不幸な結末によって、淡々と、話は結実を見ます。
我々は彼女の不幸を、悲しめばいいのでしょうか?笑えばいいのでしょうか?
そんな不思議な絵本。

乾いた『不幸』4
この本は二度読んだ。
一度目に読んだ時は酷い鬱状態だったのもあり、ひたすら気持悪く後味悪く、
二度と読みたくないと思った。
随分時間を空けて二度目に読んだ時は落ち着いた心境で、最初の作者が友人を偲んだ言葉から、内容、解説までをしっかりと読んだ。
内容が意外なほどに乾いて淡々としている事に気が付いた。

感情を交えずに、ただ目の前の景色をガラスのレンズの如く淡々と見ている雰囲気だった。
物語になる『幸福な子供』などほんの一握りでこれが『当たり前』なのだと言わんばかりの淡々とした乾いた視線。
『不幸も死も珍しくなど無いのだ』とでも言いたげな乾き。
何でこんなに乾いた目で哀しいものを見るのだと思いながら、ページを繰り、

解説を見て、最初に書かれた作者!の友人が若くして亡くなっている事を知った。
幼くして不幸なまま死んだ少女の物語を、溢れる才能を持ちながら若くして亡くなった友人を偲んで描いたこの作者は多分にペシミスト的な視線を持った人だったのだろう。
読み終えて、その人が呟く声をうっすらと聞いた気がした。

『罪無き幼子でも不幸になるし、若く才能があっても亡くなってしまうのだ』
この本は皮肉めいたペシミストの声なき嗚咽なのかも知れない。

黴のように沈殿する空気。5
 ゴーリーの絵本は今までで二冊よんだことがあります。
ひとつめがギャシュリークラムのちびっこたち。
そして2作品目となるこの「不幸な子供」でした

 ギャシュリークラムの26にんの子供達よりも
更に主人公を追いつめ、死に追いやってしまう
ゴーリーの描写は救いようがないと思わせると同時に
諦観、尊敬の念が生まれてくるように思います。

徹底的な冷酷さこそ、ゴーリーのもっとも
得意とする手法なのかも知れません。

 ひたすら暗いものの好きな私としては、
とても好きな部類に属しました。
 自分の心の深層に没頭する人にこそ
読んで頂きたい一冊です。