どれくらいの愛情 (文春文庫)
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商品の詳細
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- 発売日: 2009-08-04
- 版型: 文庫
- 494 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
5年前、結婚を目前に最愛の女性、晶に裏切られた正平は、苦しみの中、家業に打ち込み、思わぬ成功を収めていた。そんな彼に突然、電話が。再会した男と女。明らかにされる別離の理由(表題作)。目に見えるものだけでは分からない「大切なもの」に気づくとき、人は感動に打ち震える。表題作の他3作を収録した傑作恋愛小説集。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
白石 一文
1958年福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、2000年に『一瞬の光』で小説家としてデビュー。2009年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で、第22回山本周五郎賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
やさしい小説、力強いメッセージ
かつて作者の白石一文は、ある雑誌のインタビューに答えて次のようなことを言っていた。
「僕はみなさんにこの腐りきった世の中によって植え付けられた価値観を変えてもらいたいと思って小説を書いています。美人かどうかや、子供を産む産まないに価値基準を置くのは間違いだし、自分が今幸福か不幸かの価値基準だって間違いです。」(2002年ダヴィンチ誌上)
そんなふうに力強く語っていた彼に期待をしながら作品を読んできた。
しかしこれまでの作品を読む限り、少なくとも私にとって価値観が変わるほどの強いインパクトを持った作品には出合っていない。
先ごろ山本周五郎賞を受賞した『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』でさえ、なるほどストーリー構成の巧みさや洗練された文体と読者に思考を促す文章はさすがと思いはしたが、それでも先の作者の言葉を具現化したものとは言い難い。
それはおそらく――この作者の作品についてしばしば言われることと重なるが――登場人物が優秀で美男美女揃い、不要とも思えるほどの濃厚な性描写、そして一流の企業に勤務するエリートの物語であったからだろう。
あれほど強い言葉を吐いたにしてはどこか保守的とも言える作品たちには、むしろ作者が自身に裏切られているような、そんな歯がゆさを感じずにはいられなかった。
そんな思いを抱きながら、一方で「この人はいつか凄い小説を書くのではないか」と期待もしていた。
個人的には白石一文のなかでナンバーワン。
中でも『ダーウィンの法則』『どれくらいの愛情』は秀逸である。
作品構成としてはやや強引さを感じない点がないではないが、それを補ってなお余りある作者の強烈なメッセージに心を打たれた。
力強い意思の力
『愛する人を失うこと自体が人間にとって恐怖なのではなく、愛する人を失うのではないかという不安こそが、その恐怖の実体だからだ。』
『相手のことを心から思う気持ちがあれば。その人との愛は決して失われることはないのだろう。』475p
部分的に抜き出すと陳腐化しそうだが、物語では実感を伴って響いてくる。
大切な人と別れた時や、愛することとは何なのか考えた時に読むと良いだろう。
白石作品の足跡をさぐれる作品
直木賞をとった白石だが、まだこの小説を書いていたあたりは、くどいような文体が目立つ恋愛小説。とくに「ほかならぬ人」から白石を知った人がこの作品を読むと、がっかりか。しかしながら、九州の方言使いがリアル感を出しており、行ったことはないが風景描写など想像がかき立てられるのはやはりすごい!




