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もうひとつの日本は可能だ (文春文庫)

もうひとつの日本は可能だ (文春文庫)
By 内橋 克人

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  • 発売日: 2006-12
  • 版型: 文庫
  • 250 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
アメリカ追随、格差拡大、跋扈する市場原理主義。国民の支持のもとで推し進められてきた“構造改革”の結果、現出した日本の形。しかし、これが本当に私たちが望んだ日本なのか?マネーではなく、人間を主人公とする“もうひとつの日本”を、今こそ追求すべきだ。常に時代を見通してきた著者の、警告と希望の書。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
内橋 克人
1932年神戸市に生まれる。時流に惑わされず本質を見抜き、冷静な分析と勇気ある発言を続けてきた。『破綻か再生か』(94年)、『共生の大地』(95年)などでいちはやく市場原理主義への対抗思潮を展開し、『規制緩和という悪夢』(95年、共著)では規制緩和万能論を徹底的な取材で突き崩した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

私のように経済に疎い人にこそ読んでもらいたい5
 「マクロな経済数値をもてあそんで”人間”を見ず、時流に便乗し世の中を見下して。”市場が淘汰する”なんて、
どんな怖い言葉を口にしているかわかっているのか」
ここ十年ほどの経済をめぐり世にはびこる言説に対しての著者のこの言葉に思わず圧倒されました。
まさしく目の前で著者がこぶしを握りしめ怒りに震えるさまがありありと浮かんできます。むろんただの情緒的批判では
ありません。事実に基づいて語る著者の論理の根底には常にまっとうな倫理観があるからこそ心に響くのだと思います。

 私がこの本を手に取ったのは、たまたま朝のラジオでこの方の言葉を聞き感銘を受けたからですが、恥ずかしながら
「経済評論家」と呼ばれるような人で、このような心の伝わる言葉を述べる人がいるのだと初めて知りました。経済を
語る人(大企業経営者含む)といえば私の知る限りでは、発言内容は間違いなく「賢い」けれど果たして「正しい」と
いえるのだろうかと(あるいはそんなこと考える私が甘ちゃんなのかなとも)思ってしまうような人ばかりでした。
 例えば「今は一人勝ち社会で、常に一番にならねば意味がない、それを肝に銘じて努力をせよ」と語る人はいても、
一番以外は平然と切り捨てられ富の寡占化が加速する「一人勝ち社会」そのもののいびつさを説く本書のような言葉は、
およそ評論家と呼ばれるような人々の口からはこれまでほとんど聞いたことがありません。

 この本を通じてこれまでのアメリカを中心とした経済の流れを知ること自体にも意味があるとは思いますが、少なくとも
今の世の中をめぐる経済の動きに疑問を持つためには、必ずしも、フリードマンがどうしたとかこれまでのアメリカ経済が
どうであったかとか数々のマクロの数値などの詳細な知識で理論武装をする必要は全くないと思います。
ただ一つ、経済の徹底的なグローバル化による格差拡大や弱者切り捨てが天災のような絶対不可避なものではなく、
一握りの勝者の傲慢がもたらすれっきとした人災だという事実さえわかっていれば、「生き残るため」などという言葉に翻弄
される必要はないことがわかります。市場原理主義そのものにNOをつきつけることは、決して努力を放棄した人間の甘えや
責任のなすりつけではないのだという確信が持てます。
本書一冊で知ることの出来る情報はたかがしれていますが、より深く知ろうとする入り口として十分本書の意味はあります。
経済の知識は、一部のエリートが他人を出し抜いたり他人の無知を責めたり見下すためのツールではありません。
だからこそこの本はむしろ経済などあまり興味がなくても今の世の中の流れに違和感を持つ多くの人に手にとってもらいたい
と思います。

内橋克人の主張を理解するための良書5
人間が中心であって、経済に人間を従わせてはいけない。筆者の主張は痛いほど、今の時代に響きます。新自由主義の元祖、フリードマンのことも、宇沢弘文との対談を引用する形をとって、わかりやすく紹介してます。
内橋克人を既に読み込んでいる人には、これまでの著作と同様の主張が展開されていると感じられることでしょう。クローニー資本主義(アジア的縁故資本主義)からは決別しなくてはいけないがその解は新自由主義経済ではない、という彼の主張も、いつも筆者が繰り返して述べるテーマのようです。
ですが、私のように、内橋克人をちゃんと読んだのは本書が初めて、という人間には、内橋哲学の入門書としては最適のように感じました。同じテーマを繰り返し主張する筆者の姿勢がぶれてない所も気に入りました。出版年も2003年ですからその内容は決して古すぎることはありません。
本書では、『読者へ、いまなぜ、「もう一つの日本は可能だ」というのか』という、30ページにわたるプロローグがあります。本書執筆の理由が書かれており、それは同時に筆者の宣戦布告だと感じました。この箇所を読んで、買って良かったとつくづく思いました。
今の経済を巡る日本のあり方を概観したい方にはお薦めですし、多くの方は私同様に勇気をもらえる本であるのではないでしょうか。
もう一つの日本は読者一人一人が考えていくべきであると考えるので、参考程度にかんがえればいいんじゃないでしょうか。本書の価値は、現状分析を平易に誰にでも判るように展開してくれたことであり、そのため星5つ、と判断します。

で、どうするの?3
小泉構造改革による行き過ぎたアメリカ型資本主義への批判と人間が尊重される社会の実現を提言する。価値観は共有できるのだが、前半の批判部分に力が入り過ぎていて、後半の提言部分の説得力が弱いのが残念。