夕暮れをすぎて (文春文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #8316 / 本
- 発売日: 2009-09-04
- オリジナル言語: 日本語
- 版型: ペーパーバック
- 344 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
愛娘を亡くした痛手を癒すべく島に移り住んだ女性を見舞った想像も絶する危機とは?平凡な女性の勇気と再生を圧倒的な緊迫感で描き出す「ジンジャーブレッド・ガール」、静かな鎮魂の祈りが胸を打つ「彼らが残したもの」など、切ない悲しみから不思議の物語まで、天才作家キングの多彩な手腕を大いに見せつける傑作短篇集。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
キング,スティーヴン
1947年、アメリカ・メイン州生まれ。「シャイニング」「IT」「ミザリー」ほか、数々の名作を発表、現代最高の物語作家として世界的な声価を誇る巨匠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
ぐいぐいと引っ張ってゆくスリリングな話の面白さ。手に汗握るキング節を堪能しました
久しぶりに刊行されたキングの短編集。原書を二分冊にした前半の一冊目で、分量、味わいとも様々な七篇が収められています。なかでは、「ジンジャーブレッド・ガール」と「エアロバイク」のふたつが、とても面白かったな。
中篇に近い分量の「ジンジャーブレッド・ガール」。赤ちゃんを亡くし、夫と喧嘩して家を飛び出した主人公エミリーの“走る”理由を描いて、話の立ち上がりはアンダンテ。ゆっくりしたテンポで始まりますが、途中、エミリーには不運な偶然から、頭のいかれた男と遭遇するシーンから、俄然、話はオーバーヒート。白熱、加速化して行きます。監禁されたエミリー vs.いかれた殺人鬼・ピカリングの死闘。エミリーの視点で描く、殺人鬼からいかにして逃れるかの描写が、素晴らしくスリリング。これまで読んだキングの中篇では、「霧」(『骸骨乗組員』所収)、「刑務所のリタ・ヘイワース」(『ゴールデンボーイ』所収)ほどではないにせよ(これは、超A級の面白さを持つこの二篇と比べるのが悪いのですが)、それに迫る出来栄え。どうなる、どうなるって、途中からのジェット・コースター的展開にはらはら、ドキドキ。いやあ、手に汗握ったなあ。
もう一篇。「エアロバイク」は、ぶっ飛んだ、奇想天外な面白さ。身体の脂肪を落とすべくエアロバイクを購入した主人公の男・シフキッツが、自らが創り出した想像の世界に親しむうちに、やがて現実が想像世界に浸食されていくって話。およそ不条理きわまりない、アホな話の展開なんだけど、悪夢の黒い影が現実世界の昼の光を覆い隠していく怖さがあって、その辺、ぞくぞくさせられました。
話のラストに吹き抜ける風のさびしげな雰囲気。それが、レイ・ブラッドベリの短篇に通じる余韻を残す「ウィラ」。2001年9月11日に起きた同時多発テロが、いかにアメリカ人の心に深く、癒し難い傷跡を残したか。そのことをひしひしと感じた「彼らが残したもの」。この二篇も、忘れがたい趣を持つ好短篇。
久々の短編集に大満足。
すべてにおいて、以前の彼の短編には感じられなかった深い満足が得られた。どれが一番というのはない
のだが、老いて熟成されたキングの手並みは確かに素晴らしい。巻頭の「ウィラ」は、状況が把握できな
いまま話が進むので少し戸惑うが、なんとも静謐な印象を与える秀作である。すべてが氷解する瞬間は感
動的ですらある。次の「ジンジャーブレッド・ガール」は真っ向勝負のエンタメ作品だ。連続殺人鬼に追
われる傷ついた女性というよくあるシチュエーションだが、とっかかりの部分で少し疑問があるとはいえ
、ページターナーぶりはさすがといわざるを得ない。「ハーヴィーの夢」と「卒業の午後」はキングが夢
からインスピを得て書かれた作品。淡々とした日常から狂気ともいえる異形が現出するさまは、戦慄をも
よおす。「パーキングエリア」は、キングが実際に体験した出来事と彼お得意の作家物を掛け合わせた小
品。「エアロバイク」は、あの「道路ウィルスは北にむかう」や「サン・ドッグ」を想起させるような奇
想が全面に押し出された作品で、不気味さと焦りが絶妙に調整されてて読ませる。「彼らが残したもの」
は9.11事件を正面から描いた作品。奇妙な出来事が引き起こす顛末を語る筆勢は静かなのだが、底の
方から響いてくる重い旋律は、読むものに深い余韻をもたらす。
以上七編、久しぶりのキング作品を充分堪能した。彼の短編集を読んでこんなに満足したことはない。
さて、次は待望の「悪霊の島」だ。これは本当に楽しみなのだ。はやくお目にかかりたいものだ。
全部、初出しと思ったのですが...
「彼らが残したもの」
何処かで読んだ話だと思ったら、これはハヤカワの「十の罪罪」に
ディーヴァの短編とともにメインとして収録されていたものでした。
解説に<本書の白眉>と言うなら、記載しておいて欲しかった。ちょと損した気分。
「ウィラ」
雰囲気のある幽霊譚。日常から非日常への暗転というお得意の展開のサイコパス話
「ジンジャーブレッド」も良かったが、これは長編でじっくり書けばいいじゃないか、
ということで寒々とした感じの「ウィラ」にゾックとした。
ただよう○○達ということでは、映画<パッセンジャー>が本編に非常に似かよって
おり、本編が気に入った人は非常に楽しめると思います。




