火の路〈上〉 (文春文庫)
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商品の詳細
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- 発売日: 2009-07-10
- 版型: 文庫
- 483 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
新進の考古学者・高須通子は、石造物の調査のために訪れた奈良で、殺傷事件に巻きこまれた海津信六を助ける。海津は、かつてT大史学科に籍をおく気鋭の研究者だったが、ある事情で学界を追放された過去があった。通子は、酒船石の用途を研究するうちに海津の示唆を受け、ペルシア文明との関連を調査するためイランへと旅立つ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
松本 清張
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により第6回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
古代史を背景としたミステリー
飛鳥路を歩く新進気鋭の考古学者高須通子は、ふとした偶然から殺傷事件にまきこまれた保険外交員海津信六を助けたが、海津はかつて古代史の俊英学者であった。高須は梅津と意見交換をしているうちに、日本の飛鳥の謎を解く鍵がイランにあると考えるようになり、イランへと旅立つ。
イランから飛鳥へという広い射程の歴史学を横軸に、才能がありながら機会に恵まれない女性考古学者、その毒舌故に多くの敵を持っている博物館員、そして女性問題で学会を追われた学者の人間ドラマを縦軸にして物語は進んで行く。
圧巻であるのは、この小説の中で高須と梅津の会話や書簡が、或る意味で1つの優れた考古学研究となっていることである。このような小説は古今東西で存在しないであろう。
松本清張はこの小説を書くために、何人もの考古学の権威者と意見の交換を綿密に行っている。またイランでのゾロアスター教の遺跡などの描写も精密かつ、心に訴えるものがある。しかしそれが故に読者にはかなり難しいと感じられる部分も多い。
少し残念なことがある。それは縦糸とも言うべき現代の人間ドラマは歴史の力強さに比べてかなり弱い。松本清張の能力の大部分が古代史に費やされていると言うべきかもしれない。
この小説は新聞小説だったので、或る程度期限に追われたであろう。そのことを考えると仕方ないかもしれない。
しかし作品の完成度を考えると、後で加筆してもらえたら凄いものになっただろうが、膨大な作品数を残していく松本清張にとっては、加筆の時間はなかった。




