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TVピープル (文春文庫)

TVピープル (文春文庫)
By 村上 春樹

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  • 発売日: 1993-05
  • 版型: 文庫
  • 210 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
生と死、現実と非現実のあいだの壁が取り払われて、さて何が起こるのか。小説の領域を一挙に拡大する作家の、新しい到達点を示す

内容(「BOOK」データベースより)
不意に部屋に侵入してきたTVピープル。詩を読むようにひとりごとを言う若者。男にとても犯されやすいという特性をもつ美しい女性建築家。17日間一睡もできず、さらに目が冴えている女。―それぞれが謎をかけてくるような、怖くて、奇妙な世界をつくりだす。作家の新しい到達点を示す、魅惑にみちた六つの短篇。


カスタマーレビュー

「眠り」は面白い!4
短編集だが、一番長い「眠り」は66ページあり読み応えがある。短編としては一番好きかもしれない。村上春樹は最も好きな作家だが、たまに唯一ひっかかる所がある。それは子どもに関する記述。それは本作にもある。「私が息子を愛していることには間違いない。でも将来、この息子のことを自分はそんなに真剣に愛せないようになるだろうという予感がした。母親らしくない考えだ。世間の母親はそんなこと考えもしないだろう。でも私にはわかるのだ。私はある時ふとこの子供を軽蔑するだろう。私はそう思った。子供の寝顔を見ているうちにそう思ったのだ。」ここでは母親らしくないと断っているが、長編を含めて他の村上作品にも親子の絆、親子愛を描いたものは思い出せない。それが特徴の一つであるが、それを差し引いても十分に面白い。「アンナ・カレーニア」を読みたくなった。
「眠り」の前の「ゾンビ」では短いながら思いっきり毒を吐いていて爽快ささえ覚える。他にも「我らの時代のフォークロア」などは新鮮な感じがする。

特に印象的な短篇「眠り」について5
忘れられないのが、「眠り」という短篇。村上さんの(とくに中期以降の)小説の魅力は、「超自然的なできごとと肉体的な感触の混淆」だとぼくは勝手に思っている。それがもっとも如実に表れたのがこの短篇だと思う。いまでもこの短篇を無性に読み返したくなるときがしばしばあって、それはおそらくこの話の中に含まれている「何か」がぼくを揺さぶるんだろうけれども、それが何なのかは全然わからない。小説というのはやはりすごいものだと思った。

感じちゃう4
この作品は、他の村上短編集とは、ちょっと雰囲気が違う気がします。
…何というか、こわい。とにかく、こわい。
自分の現在の立ち位置は、実はものすごく不確実で、何の根拠もないモノに支えられているのだ、というカンジが、じわじわと襲ってきます。

そりゃー、万人に共通の、安全で確実な立ち位置なんてない(少なくとも、「ここだ!」って示すことはできない)ってことは、少し考えれば分かります。
でも、分かってるけど、それを”感じちゃう”と、すっごくこわい。

いや、本当は、分かっていなかったのかもしれない。
そのことを、一番感じたのは、「眠り」でした。