睡蓮の長いまどろみ(上) (文春文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #323317 / 本
- 発売日: 2003-10-11
- 版型: 文庫
- 304 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
「三千人の私を生きたい」そう言って母は消えた
突然、目の前で身を投げた女から、死後に手紙が届く。四十二年前に自分を捨てた母が暗闇に見たものは? 人間の宿命を問う畢生の巨篇
内容(「BOOK」データベースより)
イタリアのアッシジで、42年前に自分を捨てた母・美雪に身分を隠して再会した順哉は、帰国後、喫茶店のウェイトレス千菜がビルから飛び降りるのに遭遇する。自分と父を捨てて家を出た美雪の事情がしだいに明らかになる一方で、死んだはずの千菜から手紙が届くようになる―。謎が謎を呼び、ミステリアスに物語は展開する。
内容(「MARC」データベースより)
「睡蓮の花が開く瞬間が、私、好きなんです。仏教では、蓮の花は大きな譬喩の象徴ですのよ。」 自殺したはずの女から届く謎の手紙。宿命とは、不幸を幸福に転じるとは何かを問う。『文学界』連載作品。
カスタマーレビュー
一人だけの空間
離別した母親への思慕はなぜか強い。
第一章は、そんな母親に他人に成りすまし会いに行く順哉。
日常が戻って来たと思わせた瞬間に、ある事件が起こる。
自殺する瞬間を目撃した心の動揺の描写が広がり、淡々と物語は進む。
驚きと死を目の当たりにした恐怖心を生きている人間だからこそ感じ、その脆さを主人公も周囲の登場人物も形を変えて数日後にあわられてきた。
それから起こるミステリーは死んだはずの千菜の名前で手紙が届く。
誰にもいえない秘密を抱えて人は生きていくから面白い。
宮本文学に咲いた至高の花
いつも人間の宿命をいろんな角度から掘り下げて、だんだんと核心に迫り明確なメッセージを最後に掲げる宮本文学ですが、今回は特にそれを強く感じました。
睡蓮と蓮という、誰もが同一視しがちな花をモチーフに、ある宿命を背負った女性・美雪と、その生き別れた息子・順哉の周囲に起きた事件を絡み合わせて、タイトルにつながるテーマを上手く浮き彫りにしていきます。
「因果倶時」という、蓮に込められた、そして人間の宿命にまつわる、諦めとも高潔さとも神秘性とも言い換えられる崇高さをもって、泥の中から汚れに染まらず生き抜き、花を咲かせる清々しさを、宮本輝はこの小説によって訴えたかったのでしょうか。終盤近くでタイトルに睡蓮を選んだ意味に気が付き、いつもながらのタイトルの付け方の妙に絶句しながら、睡蓮が咲くいろんな国でこの花が神聖化され、宗教観を抱かせるまでに崇められてきた理由までわかった気がしました。
この小説を読んで、睡蓮そして蓮という古代から咲く花が私にとっていっそう興味を掻き立てる存在になりました。
さすがの宮本輝氏の作品
この作品は、目の前で人が自殺したら・・・ということから始まり、主人公を中心として生母のこととか、まわりの人物とか、いろんな人々が出てくる。それらの人々がいつもどおり宮本氏の独特の雰囲気で描かれている。
また、自然に対する描写もすばらしい。読んで満足させていただける作品であった。





