太公望〈上〉 (文春文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #44477 / 本
- 発売日: 2001-04
- 版型: 文庫
- 490 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
古代中国史の中で、この男ほど謎と伝説に彩られた武人はいない。遊牧民の子が、苛烈な試練をへて、商王朝を覆滅する雄渾な歴史叙事詩
内容(「BOOK」データベースより)
羌という遊牧の民の幼い集団が殺戮をのがれて生きのびた。年かさの少年は炎の中で、父と一族の復讐をちかう。商王を殺す―。それはこの時代、だれひとり思念にさえうかばぬ企てであった。少年の名は「望」、のちに商王朝を廃滅にみちびいた男である。中国古代にあって不滅の光芒をはなつこの人物を描きだす歴史叙事詩の傑作。
内容(「MARC」データベースより)
羌という遊牧の民がいて、少年は「望」と呼ばれた。彷徨と苦難のすえ、のちに商帝国を覆滅させた男である。古代中国史上、最大の謎と伝説にいろどられた、意志と知謀の人、太公望の生涯を描く歴史叙事詩全3巻。
カスタマーレビュー
流浪の太公望
愛読する作家、宮城谷氏の作品です。
今回描いている人物は太公望。本名は呂尚です。「太公の望んだ人物」
がその敬称の所以とも云われている。古代中華史において、これほど
重要な人物はいないにも限らず、文字が普及し始めたばかりの頃の人
物なので、伝説と史実の中で良く分からない人である。
この上巻では、望(太公望)の少年期に始まり、仲間と離散集合を繰
り返しながら、成長し妻帯者になるまでを描いている。
望は羌族の人だという。羌といえば、遊牧民族。当時の中国には羌族
が多かったようだ。いや、中国のほとんどの族が遊牧をしていたので
あろう。商(殷)だけが突出し農耕を行い、その余剰生産物で交易を
行い、商業を興こしたと考えたほうがよさそうな印象だ。
彼の人生はこの物語が始まった瞬間から商の受王への復讐を一貫した
志としている。
これは殺戮を志した人生を選択した事になる。自分自身も賊にたびた
び襲われ、死地を潜り抜けるのだが、賊が悪であるとするならば、自
分の大志も賊と変わらないというジレンマを望自身が感じている事に、
物語の深みを感じている。
中巻以降も楽しみです。
単純な商王朝打倒の物語ではない
私は、太公望については、中国初期の商(殷)王朝を打ち倒した周の軍師であるという知識しかなかった。実際、3000年ほど前のことなのでよく分からないことが多い人物らしい。
その謎の多い人物を小説として活き活きと描いてくれた。他の作品と同様、魅力にあふれ、読み応えのある作品だった。
意外だったのは、太公望が打倒する相手、商の紂王の描き方だった。酒池肉林や妲己という愛妾、残虐な炮烙の刑などで有名なので単なる亡国の暴君かと思っていた。しかし、筆者はそのような悪徳にもそれなりの論理を持たせて(主に商という国家の宗教性として)描いてあった。むしろ紂王は、その英明さからその前時代的な国家システムを改革しようとしている賢君となっていた。
この小説が、主人公が敵を打倒するというシンプルな構図であるにもかかわらず、単なる勧善懲悪ものにはならず、深みのある物語になっている要因はこのあたりにもあるのだと思う。
革命者自身の変化を追った作品
『神の時代から人の時代へ』-千歳に一度の大変革であった商周革命期を扱った作品。
少年時代に父を商王に生贄にされ復讐を誓った望は、肉屋に扮しながら反商の地下組織を率い、やがて西方の雄・周の文王の知己を得てその軍事力をも利用して革命を成し遂げようとする。ところが商王朝打倒が現実のものとなりつつある中、『祖霊を喜ばせるために異民族を生贄にしても心の痛みを覚えない商王朝が倒れた後、どのような王朝がくるべきか』を構想するようになる。そして周を中心とした革命に全力をそそぎながらも、自らは『民族の差異を超えた公平な邦の建設』を理想とし、ついに斉を建国する。
表面的には無名の若者が一国の主となるサクセスストーリーに見える本作だが、実は単なる復讐者から時代の構想者へと主人公が変化してゆくさまこそ宮城谷先生が本当に描き出したかったものではないだろうか。
だから本作は同じ題材をとりあげた『王家の風日』より深いし、おそらく一度読んだだけでは味わえ尽くせないだろう。





