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神鷲(ガルーダ)商人〈上〉 (文春文庫)

神鷲(ガルーダ)商人〈上〉 (文春文庫)
By 深田 祐介

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  • 発売日: 2001-05
  • 版型: 文庫
  • 431 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
インドネシア大統領第三夫人の直美を軸に、近代国家を目指す大統領と利権を争う日本商社の思惑が二つの国と彼女の運命を揺さぶる

内容(「BOOK」データベースより)
昭和33年、インドネシアに対する賠償協定が調印されたのに目を付けた日本商社は、巨額の利益を求め画策する。その翌年、日本を訪れたインドネシア大統領スカルノは、ナイトクラブで美貌の歌手、根岸直美を見初める。戦後の日本、アジア関係の原点となる賠償に巻き込まれた人間たちのたどる数奇な運命を、壮大なスケールで描く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
深田 祐介
1931(昭和6)年、東京生れ。暁星高校を経て、55年早稲田大学卒業。日本航空に入社し、海外駐在員、広報室次長を歴任。83年退社し、作家活動に専念。76年『新西洋事情』で大宅壮一ノンフィクション賞、82年『炎熱商人』で直木賞を受賞。87年文芸春秋読者賞を受賞した『新東洋事情』以来、アジア情報・分析において、読者の絶大なる信頼を集める。著書に『暗闇商人』『激震東洋事情』『美食は人にあり』『鍵は『台湾』にあり!』(共著)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

デビ夫人の原点4
あくまで小説の形をとっていますが、ノンフィクションを
読んでいるいるような感じで上下巻とも一気に読破しました。
登場するスカルノ大統領の第三夫人のディアのモデルは
いうまでもなくデビ夫人ですが、彼女の強さの理由がわかるような
気がしてきます。彼女の人生を通して、戦後の日本とアジアとの
関係の原点でもある賠償問題が浮かび上がってきます。

もしデビ夫人の鼻が1センチ低かったら5
「もしクレオパトラの鼻が1センチ低かったら、世界の歴史は変わっていただろう」と言われるが、「もし直美(デビ夫人)の鼻が1センチ低かったら」、あるいは「もし彼女が歌手でなかったら」日本とインドネシアの関係も今と違ったものになっていたかもしれないし、賠償ビジネスなるものが存在しなければ、彼女がインドネシアに行くこと自体が実現しなかっただろう。このように、国家と個人、歴史と個人の関係に思い至る作品である。そして、この作品を読む前と後では、デビ夫人に抱く印象も違ってくるはずである。エンタテインメント性も高いので、瞬く間に上下巻を読み切ってしまった作品でもある。
(これは上下巻を通してのレビューです。)

誰が、誰にとっての神鷲か?4
「神鷲(ガルーダ)」 インドネシアを旅すれば至る所でガルーダを眼にする。地元の人々の心に棲む奇跡の鳥、ガルーダ。
インドネシアでは困った時にはガルーダが舞い降りて人々を救ってくれるのだという。

この国には回教徒が多く、遠くメッカの地まで巡礼船を仕立てて生涯一度の巡礼に赴く。その為の船舶調達に絡む利権、戦後賠償、
貿易ビジネス。大統領の心を掴むために日本から送り込まれた直美と咲子。様々な立場の人々が個人の幸せや会社の利権に
振り回されながら生きて行く。主人公は日本人女性直美ということになっているが、インドネシアの戦後の一時期を
さながら鳥瞰図のように上から眺めて書いた作品のように思われる。一女性のルポルタージュと言うよりは 大きな歴史の
渦に投げ込まれた人達が歴史のうねりの中で何を、どう判断して生きて行くのかが描かれているように思う。

主人公直美は、強靭な精神力と並はずれた努力によってスカルノにとっての神鷲になったのであろう。しかし直美自身は
富と地位を手に入れて幸せだったのか?日本の商社や政治家は?オランダ人に差別されながらも必死で勉強した大統領自身は?
作品終盤、直美が大統領に政界引退を促すが大統領が頑なに拒否するくだりは老いた権力者の醜さと悲しさ、更には
人間の力ではコントロール出来ない歴史の流れと人間の弱さを感じずにはいられない。

自分の一生を、良心と歴史に恥じないように生きることができるのか、考えさせられた作品であった。