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一茶 (文春文庫 ふ 1-2)

一茶 (文春文庫 ふ 1-2)
By 藤沢 周平

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  • Amazon.co.jp ランキング: #182723 / 本
  • 発売日: 1981-01
  • 版型: 文庫
  • 332 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
生涯二万に及ぶ発句。一方遺産横領人という消しがたい汚名を残した男。俳聖か風狂の人か、あるいは俗事にたけた世間師か。稀代の俳諧師の複雑な貌を描き出す、著者渾身の力作長篇。解・藤田昌司


カスタマーレビュー

俳人一茶の生き様3
一茶というと、「痩せ蛙まけるな一茶是にあり」、「やれ打つな蠅が手を摺り足をする」といった句で知られるように、善良な目を持ち、多少こっけいな句を作る俳諧師のイメージがありました。しかしこの小説を読んでみて、一茶の全く違ったイメージにびっくり。世俗にまみれ、生活に苦労し、諸国を廻っては生活の糧を得る。貧乏は生涯ついて廻る。それでも俳句を捨てず、独自の境地を開いていく。その俳句は、結局は俳諧には受け入れられず、孤高の人となっていきます。とうとう晩年は遺産分配でトラブルを起こしてまでも、故郷に帰らざるを得なくなってしまいます。老境に入ってから娶った妻と子どもに死に別れ、これでもかこれでもかと不幸が襲ってきます。しかしそのような境遇にあっても、けっして俳句への情熱は忘れません。自分や自分の境涯を皮肉った句の中にも、どこかユーモアが漂うのはなぜでしょう。初めて一茶という人に触れ、その生き様に感銘しました。

負けるな一茶5
いぶし銀のような筆を持つ名手藤沢周平による俳人小林一茶の伝記的小説です。あとがきによると藤沢周平が、結核療養中に小林一茶に興味を持ったようです。生涯2万句と多作であり、何でも詠んだ一茶ということである。作品では、郷里から江戸に出てきて、俳諧修行をし、晩年になっても、施しを受けながら旅を続けた一茶の姿が描かれています。当時の師匠に何とか取り入ろうとし、江戸で名を上げようとしたが、それも果たせず、郷里に戻っています。老いてから、老後の生活を心配し、弟の田畑の半分をだますようにして、取りあげています。また、老いてからも何人も若い嫁をもらうなどの好色ぶりも見られます。非常に俗っぽいといえば、俗っぽいですが、とても人間的であるし、年をとってからの敗者としての寂しさは、とても共感できるものがあります。サラリーマンなどは、我が身に引きつけて共感できるところがあるのではないでしょうか。藤沢周平作品は面白いですし、この本は、小林一茶のあまり知られてない一面を知り、その作品を知るのにとても大切な本だと思います。俳句に興味のある人には特にお薦めです。

これが真実なのかもしれないが3
しかし、一つも楽しくなれなかった。
一茶に感情移入することも、その生き方に共感することも、正直難しかった。

多少なりとも趣味で、句というものに触れ、だからこそ、元々フアンであった藤沢周平の一作品の中に、一茶を見つけたときには、少なからず興奮して、期待を持ってこの一冊を手に取った。
しかし、これが確かに一茶の人間像、人物像なんであろうが、さすれば一茶とは、正直私はとうてい好きになれる人間ではない、と言う気分になった。

一茶が江戸で過ごしても、西国を旅しても、どこにいても、彼の生家新潟の、重く雲が垂れ込め、雪に閉じ込められた日常が、いつもいつも、一茶の頭の上を覆っているような、そんな人生であった。
これが彼の句作に必要だったのかもしれない。
と言うか、だからこそ、血を吐くように、ほとばしるこの世への、不遇の思いが機関銃のように、滝のように、怒濤のようにほとばしったのだろう。
自分自身も決して恵まれてはいないな、と言う思いがある私は、だからこそ一茶を見るとまるで自分の嫌な部分を見せられているようで、たまらなかった。

正直、読後決してさわやかとは言えない、一茶の青春であり、成熟であり、老年期であった。