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芙蓉の人 (文春文庫)

芙蓉の人 (文春文庫)
By 新田 次郎

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  • 発売日: 1975-01
  • 版型: 文庫
  • 254 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
日本の天気予報を正確にするには富士山頂に観測所が必要だ。その信念に燃えて真冬の富士山頂にこもる野中到と命を賭けて夫と行をともにした千代子夫人の行動と心情を感動的に描く。解・山本健吉


カスタマーレビュー

千代子夫人は憧れの女性5
中学校の英語の教科書で、野中到の偉業をかいつまんで紹介していた。教師が「日本に数ある野中氏関連の本でこれがもっとも読みやすい」ということでこの本を薦めていた。当時中学生ながら(もう15年も前になるが)自然の厳しさ、それに立ち向かう彼らの勇気に圧倒された。殊に千代子夫人の、なんと強く、あたたかく、美しいことか。「あんな素敵な女性になりたい」---「芙蓉の人」というタイトルをかみしめながら、何度も読んでは、千代子夫人に憧れた。

買ってよかった5
新田次郎さんの本はもともと好きだけれどこの本には涙が出そうになった。100年以上も昔に重要な任務として冬季の富士山での気象観測を行った偉業が想像を絶します。山を登った経験のある人であればそれがいかに大変だったかわかると思います。なお魅力的なのはその偉業を支えたのが明治女性であったことに爽快な後味を覚えます。

まさに命がけの献身5
天気を正確に予報するには上空の高いところの気象を観測する以外にないと、民間人の野中到が厳冬の富士山頂での観測に挑みます。
まさに明治のプロジェクトX。
富士山は当時冬に登山する人は皆無でした。
想像を絶する自然の猛威に立ち向かおうとする夫の執念を支える妻・千代子の物語です。

当時の女性は「耐え忍ぶ」ことを美徳とし「夫に逆らう」ことなど許されませんでした。
しかし、千代子は極寒の環境で一日2時間おきに12回気象観測をするなど正気の沙汰ではないと危惧し、夫の後を追います。
男でも冬の富士登山は危険なのに、足腰を鍛え、またひそかに気象データの取り方を学びました。
また、女性は今のような下着もなかった時代。外国の史料を参考に試行錯誤で用意します。
そして、とうとう父母、義父母の反対を押し切って登山します。

荒れ狂う富士の猛威のなか、命がけで夫の命を支えゆく妻の愛と献身に感銘を受けました。

これが実際に存在した人であることに感銘を受けます。

また、残された家族や見守る人々の絆や愛情もすばらしい。
平易ながら美しい新田次郎の文体もまたすばらしかったです。
感動の作品でした。