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無宿人別帳 (文春文庫)

無宿人別帳 (文春文庫)
By 松本 清張

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  • 発売日: 1996-08
  • 版型: 文庫
  • 365 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
罪を犯し、人別帳から除外された無宿者。身分制度に苦しみ、自由を渇望する男達の逃亡と復讐を鮮やかに描いた十篇の時代短篇集

内容(「BOOK」データベースより)
人別書きを持たずに故郷を出奔した者に就く職はない。無宿者は江戸制度の谷間であった―。賭場の喧嘩で八丈島へ流され、赦免船を待ちわびる忠五郎、牢の火事で思わぬ自由を得た平吉、佐渡から島抜けを図る新平、入墨を暴かれて堅気の暮しを失う卯助など、自由と公正を渇望する男達を描いた傑作時代短篇集。


カスタマーレビュー

時代物のエンターテイメント!5
時代物の面白さを十分堪能できる一冊。
全作面白く読めたが、とりわけ佐渡の金山へ送り込まれた無宿人達の
逃亡を描いた『逃亡』、入墨者の悲哀を描いた『左の腕』が良かった。
江戸時代という太平の世における監視制度や法制度の厳しさを、
ストーリーを通じて実感できる点も素晴らしい。
おすすめできる短編集です。

制度の谷間5
 江戸時代、経済的・社会的・政治的事情があって生まれ在所にいられなくなった者達が全国から江戸に流入した。本書は、人別帳に名がないためきちんとした職に就けず、共同体からの保護も受けられない彼ら「無宿人」達が、呻吟しながら生きてゆく様を描いた連作短編集。彼らは治安を乱す不穏分子とみなされていたので、何かあればすぐ役人に引っ立てられて伝馬町の牢屋敷にぶちこまれ、さらにそこから石川島(人足寄場)や佐渡(金山)や八丈島に厄介払いされた。本書ではこれら地獄の一丁目の実情について非常に詳しく描写されており、それぞれに、想像を絶する悲惨な世界であったことがよく分かる。
 現代で無宿人に当たるのは、難民をはじめとした無国籍者だろう。地球全体が主権国家の割拠体制となっていて、いずれかの国民として生きていれば、最低限度の社会保障や軍・警察による安全保障にあずかれるが、そうでなければ、いつどこで野垂れ死にしようと一顧だにされない。無宿人が「江戸制度の谷間」であったように、彼らは「主権国家体制の谷間」にいる。

今ごろの江戸時代古文漢文のお勉強4
「逃亡」と松本清張の同じく江戸時代に様々な苦境を飲んだと言われている無宿人と呼ばれている人たちを綴った短編集。ただ書かれている其々の無宿人たちの時代の中での苦しい状況を垣間見ると言うより、江戸時代に研究されているでしょう分からないよと嘆きたくなるような監獄の仕来りとかの慣習の詳しい描写やまるで舞台をみているがごとき其の時代特有の古文を読んでいるがごとき目が回りそうな台詞回しには参りました。出ている無宿人とかの惨状をみていてもまるで「逃亡」の縮図を読んでいるがごときその「逃亡」でも源次が置かれた状況と無宿人の惨状が同じ時代の中で描いていますから当然なんでしょうが悪徳警官のごときのごとき目明かし仁蔵の「町の島帰り」牢獄から抜け出すために火事を利用してい!!く「赤猫」や重なっているような感じがしました。ただいい加減なお役人が出てくる「流人騒ぎ」は何か其のいい加減なお役所体質が現在でも殆ど変わっていないのは何とも言えず興味深かったです。短編だから仕方ないとはいえ読み進んでどうなるのかなと思ったら終わり、って箍をはずされるような気分に陥ってしまいました。分からなくて迷うような気に陥りまくりの時代風俗の細かい描写に古文・漢文を読んでいるがごとき其の時代特有の台詞回しにはホトホト参りましたが、長編小説「逃亡」の縮図版のごときこんな無宿人たちがいたんだと其の惨状にいまと変わらぬお役所体質とともに成る程と頷くばかりで、いい勉強になったと思います。