昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか (文春新書)
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商品の詳細
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- 発売日: 2007-12
- 版型: 新書
- 231 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
エリートたちはどこで誤ったのか?昭和の陸海軍の人材を語ることによって見えてくる、日本型組織の弱点!!「文藝春秋」で大反響を呼んだ話題の座談会を収録。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
黒野 耐
1944(昭和19)年生まれ。元陸将補、武蔵野学院大学講師
戸高 一成
1948(昭和23)年生まれ。海軍史研究家、呉市海事歴史科学館館長
戸部 良一
1948(昭和23)年生まれ。防衛大学校教授
秦 郁彦
1932(昭和7)年生まれ。日本大学講師
半藤 一利
1930(昭和5)年生まれ。昭和史研究家、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
日本型組織の破滅原因はいつも官僚主義と思考停止なのか
私は特に軍事ものが好きなわけでも、特に詳しいというわけでもない。そのため、本書の読み始めの時点では、初耳の名前が出てきたり、色々と読み進めるのに困難な状況もあった。しかしながら、読み進めていくうちに、日本が戦争に突入し、戦い、そして負けた一連の流れと、特にバブル経済崩壊後の日本の政治、行政、経済の動きが酷似しているところが多くあると思い、ある意味、慄然としながら本書を読み進めた。
日本の近代軍事組織は明治維新以降に海外の列強を真剣に模倣することで、急速に整備された。その過程で、軍部の下に幼年学校、士官学校、大学が整備され日本の富国強兵政策を強烈に推進しようとし、結果、その通りとなった。そして、日清、日露戦争で大勝利を納めその地位は確立され、世界にも有数の軍事力と評されるようになった。ここまでは良かったのだが、その後、日清、日露の成功体験に溺れた軍部は既存勢力となり、組織は硬直化し、官僚主義、学歴主義が蔓延し、陸軍内部、海軍内部、ひいては陸軍と海軍の対立を招き、最後には国益を損ね、明治維新以来培ってきた日本の伝統的軍事力を全て失うこととなった。本書を読むとその過程で起こった様々なできことが見せつけられるようだ。
いつの時代も、エリート組織が自壊する過程では、派閥抗争が改革潰しを行い、良識を持った正当派は追いやられ、一部の無責任なエリート階層の指導部が勝手に暴走して全てをなし崩しにする。本書ではその過程が嫌というほど詳しく述べられている。
日本の将来の道筋はどうあるべきか、またあらざるべきかを真剣に論じたいのであれば、本書を通じて、過去の教訓から学ぶべき点は驚くべきほど多いことが分かる。そして、今のこの日本の状況、太平洋戦争の末期の敗色濃厚な時期の日本によく似ていることも分かる。失われた15年の日本型組織と太平洋戦争末期の日本型組織の一大共通点は、恐らく思考停止ということであろう。
本当の昭和史
どうして、先の大戦に敗北したのか。
それを、根本的から問い直す本です。
昨今の議論では、自虐史観がどうだとか東京裁判史観がどうだといっていますが、
これは正しい歴史総括ができていない典型例に他なりません。
今、世間を騒がしている社会保険庁問題。この一連の事件の根本にあるのは責任を取らない、あるいは事なかれ主義を象徴する無能な官僚体制にあります。
この官僚制は、日本軍部からの延長にあると言っていいでしょう。
本来この陸軍省、参謀本部、海軍省、軍令部を支配した官僚制の暴露と問題点の指摘と糾弾が戦後必要でした。
しかし、連合国から一方的に押し付けられた問題だらけの東京裁判によってその機会と客観的歴史認識は失われたのです。
そして、現在の右派対左派の果てしない歴史論争を生み出していきました。
本来、この昭和史から学ぶべきはこの人命を省みない無能な官僚達が何故国のトップになれたのか、という疑問の解決ではないでしょうか。
昔の陸軍大学校や海軍兵学校のような頭の固い幕僚達を増産したこれらの学校と、今のエリート学校は似ています。
この官僚制の問題こそが昭和史の根本にあると思います。民族の誇りや国の誇り、それらを学ぶ事ではないのです。
もう、感情と思いだけで語られる昭和史は終わりにしましょう。
そのさきがけとなる本だと思います。
人物論・組織論より見た日本陸海軍
人物評価を中心にして日本陸海軍の欠陥を語りあったもの。座談会なのであまり史料引用という厳密さに関係なく、率直な人物評価が語られていて、類書にない面白さがあった。
評者は昭和史については相当詳しいつもりでいたが、それでも今まで聞いたこともなかった話がかなり出てきたので、史料引用という形式にとらわれない、研究者達の印象というのも重要だとかんじた。
印象的だったのは、繰り返し出てきたつぎのこと。
1.陸軍の至宝、永田鉄山ありせば、東條の如き小才が出る幕はなかったであろうこと。
2.皇族伏見宮が後任に選んだ軍令部総長、永野修身は「グッタリ大将」とよばれる人物で、「グズ元」「便所の扉」こと参謀総長、杉山元とともに開戦時の軍事最高責任者であった。この二人を前にした昭和天皇の胸中はどれだけ不安であったか。海軍人事を専横した伏見宮の責任は大きいが皇族であるがゆえに不可触であった。
この他にも、これじゃ、戦争に勝てるわけないな、と思うに十分な人材配置が満載である。
人物論なので、あの時この人がいれば、あいつでなかったならという話になりがちだが、必要なときに必要な人がいなかったからこそ危機は生ずるのであろう。
しかしその危機は、そうした人物を放逐するような社会風潮、場の空気があったからこそ生じたのであって、結局誰がいても同じだったのではないかという気はする。
そうだとしたら、一体なにが原因なのか、あの戦争は避けられたのか、疑問はやはり解けないままである。





