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あの戦争になぜ負けたのか (文春新書)

あの戦争になぜ負けたのか (文春新書)
By 半藤 一利, 中西 輝政, 福田 和也, 保阪 正康, 戸高 一成, 加藤 陽子

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  • 発売日: 2006-05
  • 版型: 新書
  • 267 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
「対米戦争の目的は何だったのか」、「陸軍エリートはどこで問違えた」等、戦後六十余年、「あの戦争」に改めて向き合った六人の論客が、参戦から敗戦までの疑問を徹底的に掘り下げる。「文藝春秋」読者賞受賞。

内容(「MARC」データベースより)
「対米戦争の目的は何だったのか」「陸軍エリートはどこで間違えた」等、戦後60余年、「あの戦争」に改めて向き合った6人の論客が、参戦から敗戦までの疑問を徹底的に掘り下げる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
半藤 一利
1930(昭和5)年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。「週刊文春」編集長、「文藝春秋」編集長、専務取締役等を歴任。『漱石先生ぞな、もし』(新田次郎文学賞)『ノモンハンの夏』(山本七平賞)ほか、著書多数

保阪 正康
1939(昭和14)年生まれ。ノンフィクション作家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰者。同志社大学文学部卒業。近現代史をテーマとする作品を多数発表。平成16年、菊池寛賞受賞

中西 輝政
1947(昭和22)年生まれ。京都大学総合人間学部教授。京都大学法学部卒業。ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。主な著書に『大英帝国衰亡史』(毎日出版文化賞)等

戸高 一成
1948(昭和23)年生まれ。呉市海事歴史科学館館長。多摩美術大学美術学部卒業。国立公文書館アジア歴史資料センター委員、総務省一般戦災データベース委員等

福田 和也
1960(昭和35)年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部教授。文芸評論家。慶應義塾大学文学部卒業。主な著書に『日本の家郷』(三島由紀夫賞)『甘美な人生』(平林たい子文学賞)『地ひらく』(山本七平賞)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

日本の陸軍の餓死者は戦死者の70%を占めていて、これが米国なら大統領が刑事告訴されていた5
 すべて興味深く、考えさせられる内容なのですが、特に印象に残るのは特攻に関する議論。特攻に関する英雄論と犬死論は、どちらも生者の奢りが感じられ、それより特攻を行ったという事実は《戦後日本の隠れた抑止力になっている》(p.195)というあたり。なるほどな、と思わせる半分、しかし、それでも戸高一成が二部で書いている「果たされなかった死者との約束」という文章は重いと思います。

 戸高さんは昭和19年8月25日に《陸海軍の人事制度の中に「掌特攻兵」という特修兵を加えている。同時に各地の海軍航空隊では、生還を期し得ない新兵器の搭乗員、つまり特攻要員の募集が始まっているのである。この決裁書類には天皇が御璽を押印しているのであるから、この時点で特攻兵の何たるかは、一定の説明を受けていた可能性はある》(p.248)と書いています。そしてほとんどの特攻隊員は、指揮官の「自分たちも後から必ず行く」という訓示を受けて、遅かれ早かれしょうがないと諦観して出撃していった、と。しかし、最後に行く約束だった指揮官の多くは、終戦と同時に「死ぬことよりも、戦後の復興に尽くすことが重要」だとして、こうした約束をすっぱり忘れた、と。《他人に死を命じながら、命を懸けた約束をきれいに忘れ去った人間と、これを許容した社会が作った戦後、命を懸けた約束でも、状況が変われば破っても良いという戦後が、どのようなものになったか、日々眼前に見るとおりである》(p.251)という言葉は痛烈。

あの戦争での失敗を現在の日本人の教訓にするための素晴らしい材料の書と言えます。 5
太平洋戦争で体験した悲惨から平和の尊さを学ぶのは当然として、われわれの先祖がなぜかくも無謀な戦いに突入したのか、多方面からの分析がなければ反省を現在に生かすことができない。

本書にはその点に関して有益な情報が満載されており、その中のいくつかは多くの人を目から鱗が落ちる思いにさせるだろう。太平洋戦争の悲惨をより大きくした要因は、重大な判断を下すべき局面で、正確な情報と正しい論理を置き去りにして、曖昧で情緒に流された、希望的観測に基づく判断を繰り返してきたことによるものだたのだ。

 われわれにとって他人事でないのは、同様のメカニズムが根っこのところで現在の日本にも、生きているということ。すでに情緒的な日本人に必要なのは、情緒ではなく、正確な情報をもとに、論理的に、正しく判断できる能力を身につけることだと思う、その意味では、あの戦争での失敗を現在の教訓にするための素晴らしい材料の書と言えます。

歴史復習副読本4
私はいままで、あの戦争が起こった経緯や、その中でいつ誰がどのように考え、動いたか、などということはもうとっくに掘り尽くされていて、その総体的な政治的総括だけが処理されないまま残っている問題だ、と何となく思っていた。

が、この対談集を読んでちょっと驚いたのは、政策形成に携わった(戦争を「おこした」「同伴した」)人たちの思想背景にも、たとえば、皇道派 vs 統制派の思想と実務能力のねじれ関係とか、日露戦争や第一次大戦戦史の一次資料がほとんど全く知られていなかったこと、コミンテルンの影響もありうるらしいなど、まだ完全には検証され尽くしていない点が結構あるのだ、ということである。

私の両親や祖父母は、戦中派、戦前派の人間だったから、戦時中の庶民生活の雰囲気は彼らからなんとなく伝えられたけれども、皆、当然歳をとるわけで、こうした社会的記憶はいま、急速に失われつつある。そのような社会的記憶が完全に書物だけのものとなってしまう前に、あの戦争にさいして、本書で示唆されるような、「当時の日本人に何が分かっており、何がわかっていなかったのか、そしてそれはなぜだったのか」といったことにかんする基礎的事実が、なるべく早く正確に発掘され、幅広く共有されることを願いたい。