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CIA 失敗の研究 (文春新書)

CIA 失敗の研究 (文春新書)
By 落合 浩太郎

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  • 発売日: 2005-06-20
  • 版型: 新書
  • 241 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
第二次大戦終結後、東西冷戦構造下で対ソ戦略の中核を担い、世界の情報戦争をリードしたアメリカ。なかでもスパイ=人的諜報のイメージで広く知られたCIAは、その代表格だった。だが冷戦の終焉とともにCIAは対テロ戦略という方向転換を時代に迫られたのだが、「9・11」の悲劇は起きた…。「失われた十年」といわれる九〇年代、なぜCIAは堕ちていったのか?組織とリーダーの在り方の問題をも衝く、気鋭の意欲作。

内容(「MARC」データベースより)
冷戦崩壊後、仮想敵を失ったCIA。9・11を事前に察知しながら防げなかった、全米最大の諜報機関の葛藤と苦悩の10年を検証するとともに、組織とリーダーの在り方の問題をも衝く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
落合 浩太郎
1962年、東京生まれ。慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程中退。東京工科大学コンピュータサイエンス学部助教授。専門は国際政治学・安全保障論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

米諜報機関の実態を描いた力作5
「この世界ほど、映画や小説と現実がかけ離れているものはない」と冒頭で諜報機関関係者の言葉を筆者は引用する。本書は、丹念な文献調査によって、秘密のベールに包まれた米諜報機関の中枢CIAの実態を描き出している。なぜ9.11テロは防げなかったのか? なぜイラクの大量破壊兵器について誤った報告をしてしまったのか? 組織内部の問題、リーダーシップの質、政権との関係など、多角的な視点からCIAの失敗の本質が解き明かされる。巻末の情報源リストも便利。

日本がCIAから何を学ぶべきかという視点も重要なのでは3
 筆者は元々インテリジェンスの研究者では無いので、昨今のブームに乗じてインテリジェンス研究に転じた者による著書かと訝しがっていたのだが、筆者は公開資料を中心にCIAにかかわる様々な情報を収集し、手際よくまとめてある。中には、政府関係者へのインタビューによって得たと思われるような情報も散りばめられている。本書を読めば、CIAの失敗の歴史、そして米国のインテリジェンス・コミュニティの問題点をよく理解することができる。

 勿論、CIAの失敗から学ぶべきものも多いが、CIAの成功から学ぶべきものも多い。CIAはその存在自体が価値なのであり、敵対国にとっては脅威であり、抑止力となる。CIAに問題があるのは勿論であり、それを批判して得られることも多いのは確かだが、今の日本にとっては、CIAの存在自体から学ぶべきことの方が多いのではないだろうか。筆者は歴代大統領のインテリジェンスへの関わり方やCIA長官の管理能力をとことん批判しているが、全てを金太郎飴的に批判しても得られるものは少ないのではないか。

 巻末の参考文献集が充実していることからも、本書はCIAと米国のインテリジェンス・コミュニティを知るための入門書として位置づけられるべきであろう。本書を読んだのみでCIAを知った気になるのは危険であり、その他のCIA本もともに読まれるべきであろう。

願わくば歴史的視点を・・・3
 情報は常にノイズをもたらす。特に高度情報化社会といわれて久しい現代においては、相手側の情報を取ることも重要だが、それ以上に、溢れる情報の中から真に価値のある情報を選り分け、それを政策に反映させることが必須となってくる。今回のブッシュ政権が犯した失態は、こうしたノイズによって判断が曇らされたのと同時に、9・11後の混乱の中で、結論ありきの政策が優先されてしまった結果であろう。

 だが、こうした失敗はブッシュ政権に特有のものではない。かつて日本軍による真珠湾奇襲を見抜けなかったルーズベルト政権にも、今回のブッシュ政権と同じような批判が浴びせられた。また、予測が外れたというケースも、CIAの歴史をひもとけば決して珍しいことではない。むしろ重要なのは、そうした失敗をアメリカ外交が如何にして乗り越えてきたのかという点にあるのではないだろうか。ここに、情報と外交の本質的な関係が薄っすらと見えてきそうである。

 本書は、ブッシュ政権の失敗を多角的かつ詳細に検証する好著である。しかし、より歴史的に見て、あの失敗をどのように位置づけるのかという視点を欠いているようにも思う。世界史的な事件を招いた原因が一過性のものなのか、それともアメリカの伝統的な情報文化に由来するものなのかは、アメリカのみならず、今後日本でも外交や情報のあり方を考える際に大きなヒントを提供するだろう。その意味で、本書はその土台を与えるものであり、広く情報活動を知る際には是非とも押さえておきたい一冊であるといえよう。