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楽園〈上〉

楽園〈上〉
By 宮部 みゆき

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  • 発売日: 2007-08
  • 版型: 単行本
  • 416 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
「模倣犯」事件から9年が経った。事件のショックから立ち直れずにいるフリーライター・前畑滋子のもとに、荻谷敏子という女性が現れる。12歳で死んだ息子に関する、不思議な依頼だった。少年は16年前に殺された少女の遺体が発見される前に、それを絵に描いていたという―。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮部 みゆき
1960年、東京都生まれ。87年に「我らが隣人の犯罪」で第26回オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。92年に『本所深川ふしぎ草子』で第13回吉川英治文学新人賞、『龍は眠る』で第45回日本推理作家協会賞を受賞し、93年には『火車』で第6回山本周五郎賞を受賞。97年に第18回日本SF大賞を『蒲生邸事件』で、99年には『理由』で第120回直木賞をそれぞれ受賞した。2001~02年にかけて『模倣犯』により第55回毎日出版文化賞特別賞、第5回司馬遼太郎賞と第52回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。07年には『名もなき毒』で第41回吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

上巻は星5つつけたが・・・・・5
9年前の事件−『模倣犯』−に関わったライター前畑滋子のもとに奇妙な依頼が持ち込まれる。12歳で事故死した少年・萩谷等に超能力があったのではないか。彼は隠蔽されてきた少女殺害事件を、発覚前に「絵」の形で予知していたという。彼は他にも多くの不思議な「絵」を残していた。彼の死後それに気づき驚いた母親・敏子が、息子の能力の真偽を調べてほしいと頼み込んできたのだ。

9年前の事件で大きなダメージを受けた前畑の再起、等の超能力の謎、息子を失い大きな悲しみを背負った敏子の「喪の仕事」、そして少女殺害の真相・・・などの要素が絡む。

(以下、内容にふれています)
上巻は、まるまる一冊等の「絵」、能力の謎に費やされるから驚く。宮部作品にはすでに超能力を扱った著作があるが(『龍は眠る』『クロスファイア』など)、超能力の検証にここまでページを割くような作品ではない。『模倣犯』での暴走を悔いる前畑の慎重ぶりが伝わり、徐々に謎に迫っていく過程にぞくぞくさせられ怖いような迫力があった。特殊能力を持つ人間(しかももう彼はこの世にはいない・・・)の悲哀が溢れ、前半のクライマックスとしてずっしり重い。だが少女殺害事件に重きを置いて読むならば、とんでもないスロースタートだ。
少女殺害事件の核心になかなか近づかないのは、前畑と敏子の心の機微、敏子の家の歴史などもかなり突っ込んで書かれているせいもある。なんとまあ今回も丁寧すぎる程に細かいことを書き込んでいているなあ、と感じる。このあたりは好みが分かれるだろうが、後でじわじわ効いてくるのでこらえて読んでいただくとよいと思う。・・・とは書いたものの、事件の方がぼやけてしまった感はあり、なんだかもやもやするんだなあ・・・(下巻のレビューに書きます)

親子の間の誤解はどこで生まれたのでしょう?3
模倣犯事件を引きずり、ライタ−としてのキャリアを棒に振りそうになっていた、滋子に
持ち込まれた不思議な絵からこの物語は始まる。

少年犯罪と並び、現代の日本に重く影を落とす、親の子殺しをテ−マに滋子の懇親のレポ−トが再開される。

子供や親族を思う気持ちが交差する中、解き明かされる真実は、子を持つ親として、人事では決してない、重く悲しい真実がある。

躾けや、教育、何がモンスタ−をこの世に生み出すのだろうか?
わが子を手にかける親のその瞬間の心理とは?

今回も社会に氾濫するテ−マを取り上げた作品だが、いまいちつめが甘いような気がする。
殺されてしまった少女の生い立ちや親子の間の誤解など、もっと深く掘り下げて欲しかったように個人的には思います。

また、少年の山荘の絵の謎が、解明されていないようです。

9年後の前畑滋子3
あの「模倣犯」の正体を暴いた前畑滋子が帰ってきた!
小さい字が見にくいと老眼鏡を取り出す前畑さん,
・・・うーん。9年の年月経過がリアルににじみ出ていてちょっと哀しい。
一軒家の床下で16年間発見されずに眠り続けた美少女の死体と
超能力でそれを「見た」愛くるしい少年。
・・・とくると,なにかワクワクしそうな物語の始まりですが,
実際のところ,今回,前畑さんが夢中になってる事件は,
模倣犯のような猟奇的殺人でもないし愉快犯的なものでもなく,
ある一家の暗い過去にまつわるものです。
ですので,見ようによっては,
前畑さんが普通の家庭の暗部を根掘り葉掘り暴いているようにも見えて
前畑さん,そこまでしなくてもいいんじゃない,と声をかけたくなることもありました。
また,前畑さんの必然でもない単なる推測が何故かビシビシ的中するのも
ちょっと強引な感じがしました。
相変わらず,登場人物一人ひとりの人物像を丁寧に書き込んでいて
宮部みゆきさんらしいなと思いましたし,
上下巻あっというまに読み終わりましたので退屈というわけじゃないのですが
感想として,面白かったかと聞かれると,そうでもない。
「模倣犯」には遠く及ばないし,
超能力を扱ったものとしてみても,
「蒲生邸事件」のようなファンタスティックな色合いもなく,
ちょっと残念でした。