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名残り火 (てのひらの闇 (2))

名残り火 (てのひらの闇 (2))
By 藤原 伊織

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  • 発売日: 2007-09
  • 版型: 単行本
  • 389 ページ

エディターレビュー

出版社 / 著者からの内容紹介
堀江の無二の友人・柿島が殺された。その謎に満ちた死に疑問を持った堀江は調査に乗り出すが……。卓越した描写力で展開する長篇

内容(「MARC」データベースより)
堀江の無二の友人・柿島が殺された。その謎に満ちた死に疑問を持った堀江は調査に乗り出す。そこには流通業界に横たわる新たな闇があった! 著者の遺作となった長篇ミステリー。『別冊文芸春秋』連載に加筆修正し単行本化。


カスタマーレビュー

未完成とはいえ、やはり藤原伊織の世界がある4
いちおうの完成はみているものの、著者は途中まで加筆訂正中だったという。
その頭で読んだせいかもしれないが、ところどころ、「ん?」と
ひっかかる箇所がないでもない。
しかしそれでも、そこらへんのお手軽ミステリなど足下にも及ばない出来である。

「遺作にして最高傑作」と帯にあるが、決してオーバーではない。

「てのひらの闇」の続編という形で、主人公も同じだが、
まったく別物として読んでもかまわない。
ただできれば、「てのひらの闇」を先に読んでからのほうがいい。
というのも、主人公・堀江の人物造形が、
「名残り火」単体ではやや不完全だからだ。

このままでも十分に藤原伊織の世界と物語の面白さを堪能できるのだが、
著者が納得のいく形で、推敲を終えた段階で世に出してあげたかった一冊である。
合掌。

惜別の涙5
藤原伊織の作品の中で一番好きな『てのひらの闇』の続編と知り、読むのをためらっていた。
『てのひらの闇』の完成度があまりに高かったので、万が一にも蛇足になっていたら哀しい。
そんな風に思っていた自分の浅はかさを、嗤いたくなるほどの面白さだった。
この『名残り火』単体でも充分楽しめるが、やはり『てのひらの闇』を読んでからの方が、
相関関係も分かりやすく物語世界にすんなりと入り込めると思う。
本当に、くたびれた中年男の意地と悲哀を書かせたら、藤原伊織の右に出る者はいないと思う。
唯一の親友のために、破滅覚悟で突っ走っていく主人公の背中に、作者自身の影をみたような
気もしてしまった。
第一章から第八章までは、作者の推敲が済んでいたとある。
確かに、全体としてみれば推敲不足による不完全さを感じさせないでもない。
でも、今はそんなことよりも、最後の力を振り絞ってこの作品を残してくれた藤原伊織に、
心からの感謝を捧げたいと思う。
ご冥福をお祈りします。

間違いなく藤原伊織の世界です4
逝去されたばかりの著者の、(一応の)完結を見た最後の作品です。
それだけに、作品を純粋に評価するのは難しいところがあります。

文体、登場人物、構成などは間違いなく「藤原伊織」その人のものであり、レベルは凡百のミステリー作家などを凌駕していますし、著者への余計な思い入れがなくても最後までぐいぐい引っ張っていかれます。

ただ・・・これは無いものねだりかも知れませんが、「テロリストのパラソル」、「ひまわりの祝祭」、短編集「雪が降る」に比べると、失われていく過去への思いという切なさ、主人公がひたすら自己の誇りのために厳しく自分を律する姿、本当は望んでいない犯罪へと走っていく敵=かつての友の哀しさ・・・など、この著者でなければ描けない数々のものは失われているように思えてなりません。

週刊誌の連載、という制限の中では、主な読者層である勤め人の願望(仕事はできるが阿らない、そういう男の価値を理解できる若い女性に慕われる、など)をある程度具現し、業界の内情(今回はコンビニ業界)なども取り込む必要があったのでしょう。その中でこれだけのレベルを維持できるのは流石、という見方もあるでしょうが、物足りなさも正直覚えます。

なにより、軸となる犯行の動機(ネタバレになるので詳しくは書けませんが)が破綻こそしていませんが納得しにくいこと、伏線のいくつかがそれと分かってしまうことなどが残念でなりません。

連載終了後、著者は推敲を進めていたとのことなので、全部が終わっていれば不満の多くは解消されたのではと、叶わぬ期待も抱いてしまいます。著者が誠実に作品に向かい合っていたことだけは確信が持てますので、ファンの方なら迷わず一読を・・・。